データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日UAEビジネス・フォーラム 安倍総理スピーチ

[場所] 
[年月日] 2018年4月30日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

 アッサラーム・アライクム。御列席の皆様、本日、このビジネス・フォーラムにおいて、御挨拶の機会を頂いたことに対して感謝申し上げます。

 総理として、今回、3回目となるアラブ首長国連邦訪問を行うことができたことを大変うれしく思います。特に、アラブ首長国連邦建国の父、故・ザーイド大統領の生誕100周年を祝う特別な年にアブダビを訪問できたことを、大変光栄に思います。

 故・ザーイド大統領の偉業を継ぎ、多様性を尊重し、寛容を愛する国として発展してきたアラブ首長国連邦の歩みに対し、心から祝意と敬意を表します。

 日本は、過去45年以上にわたり、中東地域の発展の先駆者であるアラブ首長国連邦と、共に手を携えながら歩んでまいりました。そして、前回私がアブダビを訪問してから、この5年の間には、両国関係は大いなる飛躍を遂げ、正に戦略的関係と呼ぶのにふさわしい関係へと発展してまいりました。

 特に、今般の海上油田権益の更新で、エネルギー分野における両国関係は、この上なく強固なものとなっています。さらに最近では、インフラ、文化、教育、そして宇宙開発を含む最先端技術分野においても両国の協力関係が発展しております。

 人的交流においても、5年前にお約束した長期・短期の日本への留学・実習生500名受入れが達成されました。その履修生が、各分野でアラブ首長国連邦の国づくりを力強く担っていることを誇りに思います。私が2007年、UAEを訪問した際、日本人学校を訪問させていただきました。そこには2名のUAEの少年が学んでいたのでありますが、そのときの2人の中学生が今、日本の高校に留学生として通っている。このことを本当にうれしく思うところでございます。

 また、この5年間に、日本産食品がアラブ首長国連邦の皆様に広く親しまれるようになりました。本日は、質の高い日本の青果物のすばらしさを更に深く実感いただけるよう、御来場の皆様に新鮮でおいしい最高級メロンやフルーツトマトなどを御用意しました。このフォーラムからお帰りの際に是非、御試食をしていただきたいと思います。本日を機に、世界に誇る日本産食材が、アラブ首長国連邦の皆様に一層近い存在となることを期待しています。

 こうした両国関係の飛躍的発展は、本日御出席されている両国のビジネス関係者の皆様の御尽力抜きには語れません。今回の訪問にも、日本を代表する27の企業や大学などのトップに同行していただいています。日本政府といたしましても、本日署名される投資協定を通じて、両国の経済関係の強化を更に後押ししてまいります。

 ムハンマド・アブダビ皇太子は、ポリオ撲滅に向けた国際的な取組をリードされています。日本も、UNICEF(国連児童基金)等と連携し、ポリオ撲滅のため長年貢献してまいりました。人々の幸福を重視する日本とUAEは、これまでも、そしてこれからも、ビジネス関係を超えて、地球規模の課題に取り組む強力なパートナーであることを皆様に宣言いたします。

 最後に、2020年ドバイ万博の御成功、アラブ首長国連邦のますますの御発展を、心より祈念いたします。

 御清聴ありがとうございました。シュクラン・ジャズィーラン。