データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] COP26世界リーダーズ・サミット 岸田総理スピーチ

[場所] 英国グラスゴー
[年月日] 2021年11月2日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

 始めに、この会議を主催する、私の友人、ボリスのリーダーシップを称えます。

 気候変動という人類共通の課題に、日本は総力を挙げて取り組んでまいります。その決意を皆さんに伝えるために、このグラスゴーの地に駆けつけてまいりました。

 パリ協定の採択から6年。当時、ローラン・ファビウス議長の下、決意を新たにした、あの瞬間を、我々は忘れてはなりません。「どうしても、これをフミオに渡したい」そう言って、友人であるローランがくれた木槌(きづち)を、私は、気候変動問題に真摯に向き合う覚悟の証として、今でも大切に持っています。

 目標の達成に向け、この10年が勝負です。高い野心を持って、共に全力を尽くしていこうではありませんか。

 「2050年カーボンニュートラル」。日本は、これを、新たに策定した長期戦略の下、実現してまいります。2030年度に、温室効果ガスを、2013年度比で46パーセント削減することを目指し、さらに、50パーセントの高みに向け挑戦を続けていくことをお約束いたします。

 議長、日本は、アジアを中心に、再エネを最大限導入しながら、クリーンエネルギーへの移行を推進し、脱炭素社会を創り上げます。

 アジアにおける再エネ導入は、太陽光が主体となることが多く、周波数の安定管理のため、既存の火力発電をゼロエミッション化し、活用することも必要です。日本は、「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ」を通じ、化石火力を、アンモニア、水素などのゼロエミ火力に転換するため、1億ドル規模の先導的な事業を展開します。先進国全体で年間1,000億ドルの資金目標の不足分を率先して補うべく、日本は、6月に表明した、向こう5年間で、官民合わせて600億ドル規模の支援に加え、アジア開発銀行などと協力し、アジアなどの脱炭素化支援のための革新的な資金協力の枠組みの立ち上げなどに貢献し、新たに5年間で、最大100億ドルの追加支援を行う用意があることを表明いたします。

 ボリスと協力し、先進各国も、日本に続くよう呼びかけてまいります。

 これらの支援により、世界の経済成長のエンジンであるアジア全体のゼロエミッション化を力強く推進してまいります。

 日本は、世界の必需品である自動車のカーボンニュートラルの実現に向け、あらゆる技術の選択肢を追及してまいります。

 2兆円のグリーンイノベーション基金を活用し、電気自動車普及の鍵を握る次世代電池・モーターや水素、合成燃料の開発を進めます。

 イノベーションの成果をアジアに普及し、世界をリードしてまいります。

 日本は、グローバル・メタン・プレッジにも参加いたします。脱炭素への移行を進めていく中で、足下のエネルギー価格の上昇といった問題について、我々リーダーが対応を議論していくことが必要です。

 さらに、日本は、防災など、気候変動に適応するための支援を倍増し、約148億ドルの支援を行います。先端技術を活用し、国際機関と連携しながら、世界の森林保全のため、約2.4億ドルの資金支援を行うことを表明いたします。

 我々が気候変動問題に向き合う時、誰一人取り残されることがあってはなりません。日本は、対策に全力で取り組み、人類の未来に貢献してまいります。ありがとうございました。