[文書名] 持続可能な海洋経済の構築に向けたハイレベル・パネル第3回首脳会合 岸田総理メッセージ
ストーレ・ノルウェー首相、
ウィップス・パラオ大統領、
皆様、
今般、新たにハイレベル・パネルのメンバーとして加わることとなり、大変光栄です。主要な海洋国家の首脳の皆様と共に幅広く協力を進められることを喜ばしく思っています。
昨年、本パネルは、「持続可能な海洋経済のための変革」を策定しました。この文書は、気候変動やSDGsにも密接に関係する海洋の保全と持続可能な利用について包括的に取り上げた大変有意義なものです。その中でも、持続可能な海洋計画の策定及び履行は重要です。日本は、第3期海洋基本計画の下、海洋の産業利用の促進や海洋環境の維持・保全等に取り組んでいます。日本として、全ての海域を持続可能な形で管理するための決意は、今後も変わりません。
気候変動対策については、昨年、日本は2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。そして、2030年度において、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、さらに、50%の高みに向けて挑戦を続けていくことを表明しました。
この目標を実現するため、「洋上風力産業ビジョン」を策定し、2030年までに10GW、2040年までに30~45GWという洋上風力発電の案件を形成するという目標を設定しました。また、海運分野では当初目標の2028年から前倒しで、温室効果ガスを排出しない「ゼロエミッション船」の商業運航を目指すことを発表しました。海洋の力を最大限活用し、具体的な取組を行っていくことで、パリ協定が目指す脱炭素社会の実現に向けた国際社会の取組を主導していきます。
また、海洋汚染の分野では、海洋プラスチックごみ対策が我々海洋国家にとって重大な課題です。日本は、自ら提唱した「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の下、国連環境計画国際環境技術センター(UNEP-IETC)等とも連携し、我が国が誇る高い技術を活用しながら、世界で6000人以上の廃棄物管理の人材を育成してきました。昨今この分野での新たなルール作りの機運が高まっています。来年2月の国連環境総会(UNEA)において、主要排出国・消費国を中心になるべく多くの国の参加の下、新たな国際枠組みに向けた交渉が開始されるよう、日本としても主導的な役割を果たし、ルール形成を後押ししていきます。プラスチックごみでこれ以上我々の海が汚れないよう、日本は引き続き積極的に取り組んでいく考えです。
目の前の課題は大きいですが、首脳間のパートナーシップを構築し、着実に持続可能な海洋経済の構築に向けた取組を進めていきたいと思います。
御静聴ありがとうございました。