データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ビジネス・フォーラム 岸田総理大臣ビデオメッセージ

[場所] 
[年月日] 2022年8月27日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

 日本国総理大臣の岸田文雄です。御列席の皆様、TICAD(アフリカ開発会議)へようこそ!本日、日本とアフリカの双方から多数のビジネス関係者の御参加を得て、こうしてビジネス・フォーラムを開催できることは大変うれしく思います。今回、私自身は残念ながら直接足を運ぶことはできませんでしたが、会場はさぞ熱気に満ちているのだろうと想像しています。

 本日午前、私はサイード・チュニジア大統領、サル・セネガル大統領と共に、TICAD首脳会合の議論をキックオフしました。今日から明日にかけて、2日間、いかに対アフリカ投資の熱を高めていけるか、議論してまいります。

 日本とアフリカの間の懸け橋となっているのは、正にこのビジネス・フォーラムに参加いただいている皆様です。モノに投資し、ヒトに投資し、アイディアに投資し、日アフリカ・ビジネスを現場で力強く前進させていっていただければと思います。

 人を育て、技術を伝え、地域社会と共に歩む。こうした日本企業の姿勢は、長年にわたりアフリカの信頼を得てきました。日本でも、新たな成長のフロンティアを求めて、ここアフリカで、新しいアイディアを試したいと考えている人がますます増えています。

 日本とアフリカは、課題への解決を共創し、「共に成長するパートナー」です。日本政府も、アフリカ・ビジネスを最大限支援していきます。特に私が重視するのが、スタートアップ支援、グリーン投資、人への投資です。

 アフリカでは、若者を中心に、社会的課題を現場レベルでのビジネスにより、直接的に解決する潮流が生まれています。今回のビジネス・フォーラムにも日本から10名のスタートアップ関係者が出席しています。

 こうしたイノベーティブな取組を支えるべく、日本政府としても、官民連携の下、日本からアフリカ展開を目指すスタートアップを支援していきます。

 同時に、アフリカへの投資促進のため、引き続きビジネス環境の改善にも取り組みます。現地で直面する様々な課題を解決するため、官民の協議体として、二国間ビジネス環境改善委員会を新たに4か国において設置します。

 2点目のグリーン投資について、今般、「アフリカ・グリーン成長イニシアティブ」を立ち上げます。本イニシアティブは、気候変動への対応をしつつ、脱炭素へのエネルギーの構造転換を目指すものです。アフリカにおける膨大なグリーン成長の潜在性や、適応ニーズを捉え、日本の技術により、グリーン成長を加速させていきます。

 この分野では、民間企業の皆様の協力が不可欠です。一緒に本イニシアティブを推進していきたいと考えています。

 第3に、「人への投資」です。企業や学術界等、様々なネットワークをいかした人材育成は、日本らしいアプローチの典型です。「人への投資」を強力に進めていきます。

 今般、新たに、若者をターゲットに、産業高度化に資する人材を育成する「未来の産業人材イニシアティブ」を立ち上げます。

 今後3年間で5,000人に対し、実践的なスキルを培うことのできる教育・研修の機会を提供し、未来のリーダーを育成していきます。

 また、産業人材に加え、未来を見据えた幅広い分野で、今後3年間で30万人の人材を育成します。

 民間企業の皆様におかれては、これまでの成果を発表していただくとともに、このフォーラムを将来のビジネス拡大に向けたネットワーク構築の機会として活用いただければと思います。

 この後、エネルギー、資源、インフラ、農業、保健、ITなど様々な分野のビジネスに係る90件を超えるMOU(覚書)のうち、代表的な33件が披露されると聞いています。こうした土台の上に、長期にわたるパートナーシップが築かれるよう期待しています。

 本日のビジネス・フォーラムが、日本とアフリカのビジネス関係の一層の深化に向けた一助となることを祈念します。