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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国際女性会議WAW!2022 岸田総理開会挨拶

[場所] 三田共用会議所
[年月日] 2022年12月3日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

 グズニ・ヨハネソン・アイスランド大統領、

 マイア・サンドゥ・モルドバ大統領、

 シマ・バフース国連女性機関事務局長、

 そして、御列席の皆様方、

 おはようございます。

 本日は、国際女性会議WAW!(ワウ!)にお集まりいただき、誠にありがとうございます。

 私が外務大臣であった2014年に初めて開催されたWAW!が、本日、約3年ぶりに開催されますことを大変嬉しく思います。

 この数十年の間に、発展途上国も含め、世界における女性の社会進出は大きく進展いたしました。しかし、その一方で、女性・女児の社会的格差やジェンダー不平等が今なお大きな課題であることが浮き彫りになるような局面も見られます。例えば、コロナ禍では、ジェンダーに基づく暴力の増加が多くの国々で報告され、「影のパンデミック」とも言われるようになりました。医療や介護等の現場では、エッセンシャル・ワーカーの大半を占める女性たちが、感染リスクの高い中で過重労働を強いられました。また、ウクライナなどで避難民の9割が女性と子供であるとされています。女性に対する性的暴力等、ロシア兵による数え切れない蛮行も報告されています。

 このような中で、社会のあらゆる次元にジェンダーの視点を取り入れ、一人一人の活力を社会の成長へと繋げていく「ジェンダー主流化」が過去にも増して求められています。

 御列席の皆様、

 女性の経済的自立は、「新しい資本主義」の中核です。誰しもが生き生きと暮らせる社会を実現するには、女性の立場からの視点を制度や政策に反映することがかかせません。そのためにも、私は「ジェンダー主流化」を取り入れた「成長と分配の好循環」を推し進めて参りました。

 例えば、日本国内の大企業に対し、男性の賃金に対する女性の賃金の割合の公表を義務化し、男女間の賃金格差の是正に取り組んでいます。また、「産後パパ育休」の創設などの取組を積極的に進めています。

 国際開発協力においても、例えば、アフガニスタンや戦火のウクライナから逃れてきた女性たちへの一時避難施設の提供などを行っています。

 アジアやアフリカといった地域の女性たちのリーダーシップの育成や経済的自立に向けた支援も実施しています。ミンダナオ島のアニサ・タハ・アラブさんは、日本の支援する国連女性機関のプログラムを通じて、平和構築における女性の役割について学びました。そして今、彼女は、自身が司会を務めるラジオ番組を通じて、女性たちに「女性の権利と役割は何か」と語りかけ、平和構築への女性の参画意義を説いています。

 日本は、今後も、JICAや国連女性機関、また、紛争関連の性的暴力生存者のためのグローバル基金等を通じ、世界の女性一人一人に目を向け、人権の保護と能力向上、さらには平和・安全保障への参画推進等に取り組んでいきます。

 こうした様々な分野の政策をつなぎ、国際社会全体として、我々がジェンダー平等の実現のためにどのような取組をするべきかを議論するのが、この国際女性会議WAW!です。今年のWAW!では、「新しい資本主義」の理念の下、世界各国の第一人者とともに多岐にわたる諸課題について議論を行い、これらをジェンダーの視点から有機的に結びつけることで、「ジェンダー主流化」を加速させていきたいと考えています。

 男女間の賃金格差の是正、脱炭素社会での女性の参画、防災政策におけるジェンダーといった問題・・・我々が取り組むべき課題は山積しています。

 このほか、未来を担う若者世代の視点を交えながら、地方における諸問題にも目を向け、世代や地域を超えた議論となることを目指しています。その観点から、今回初めて地方のサテライト会場と東京の会場をオンラインで結び、地方からも直接参加できるようにいたしました。

 そして、本日ご臨席のヨハネソン・アイスランド大統領は、安倍元総理とともに、UN Womenの主導する初代HeForSheチャンピオンであり、私も2代目チャンピオンとして、本日この場で御一緒することが出来、大変光栄に思っています。ジェンダーの取組により多くの男性を関与させるよう主導していきます。

 誰しもが生きがいを感じられる社会の実現・・・今回のWAW!が、そのための重要な契機になることを期待しています。

 本日はご参加に心から感謝申し上げ、ご清聴いただきましたことに御礼申し上げます。ありがとうございました。