[文書名] ジョン・F・ケネディ「勇気ある人々」賞 岸田総理ビデオメッセージ
私の親友であるキャロライン、そして御列席の皆様
1963年から60年となる本年、国際社会が歴史の転換点にある今、父君の御尊名、そしてその父君が政治のリーダーシップについて書かれた著作の名を冠した名誉ある賞を、こうしてユン大統領と共に受賞することを大変光栄に思います。
1960年代初頭、ケネディ大統領と、私の宏池会(こうちかい)の大先輩である池田勇人(いけだ はやと)総理大臣は、日米それぞれで今日にも残る大きな業績を上げ、そして日米関係の強化においても多大な足跡を残されました。1962年に米国を訪問した池田総理に、ケネディ大統領は「太平洋は日米を分かつものではなく、むしろ両者をつなぐものだ」という言葉を贈られたそうです。
当時は、日韓両国が国交正常化に向けて交渉を続けていた時代です。その後、1965年に国交正常化を成し遂げた両国は、今日に至る約60年の月日の中で、それぞれに重層的な人的交流を通して友情を培い、絆(きずな)を深めてまいりました。そして現在、私とユン大統領は、日韓関係の強化にかける強い思いを共有しています。ユン大統領との友情と信頼関係の下、日韓が、パートナーとして、力を合わせて新しい時代を切り拓(ひら)いていきたいと考えています。
今日、インド太平洋は日米韓、そして地域の諸国を分かつのではなく、ケネディ大統領が述べられたとおり、お互いを結びつけています。日本は、同じインド太平洋国家である米国や韓国と緊密に連携し、共に、地域の平和と安定に貢献していきます。
ケネディ大統領は1963年9月、国際社会に向けて行った演説において、「平和は協定や規約の中だけにあるものではありません。全ての人々の心と精神の中にあります」と述べられました。我々政治指導者には、人々の絆を平和の礎とし、言葉だけでなく行動で、今日よりも良い明日を目指していく責務があります。
私は日本の総理大臣として、バイデン大統領やユン大統領と共に、その責務を果たしていく覚悟です。
御清聴、ありがとうございました。