[文書名] COP28における首脳級ハイレベル・セグメント 岸田総理スピーチ
COP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)は初のグローバル・ストックテイクを完了させますが、世界はまだ1.5度目標の道筋に乗ってはいません。軌道修正のためには、2030年までの行動が決定的に重要となります。
2050年ネット・ゼロの達成、全温室効果ガスを対象とする経済全体の総量削減目標の設定及び2025年までの世界全体の排出量ピークアウトの全てが必要です。
日本は、2030年度に46パーセント減、更に50パーセントの高みに向け挑戦を続けています。既に約20パーセントを削減しており、着実に進んでいます。
G7広島サミットで確認されたように、経済成長やエネルギー安全保障と両立するよう、多様な道筋の下で、全ての国が一緒になりネット・ゼロという共通の目標を目指そうではありませんか。
日本は、GX(グリーン・トランスフォーメーション)推進法に基づき、成長志向型カーボンプライシング構想を実行していきます。来年には、世界初の国によるトランジション・ボンドを国際認証を受けて発行いたします。排出削減、エネルギーの安定供給、経済成長の三つを同時に実現するGXを加速させ、世界の脱炭素化に貢献します。アジアでは、アジアゼロエミッション共同体の枠組みの下で各国との協働を進めており、今月には初の首脳会合を開催する予定です。
日本は、徹底した省エネと、再エネの主力電源化、原子力の活用等を通じたクリーンエネルギーの最大限の導入を図ります。我々には、太陽光の導入量が世界第3位となる実績があります。この文脈で、日本は、世界で再エネ容量を3倍とし、エネルギー効率改善率を2倍とするとの議長国の目標に賛同いたします。
あわせて、クリーンエネルギーサプライチェーンの多様化に向け、公正で持続可能な事業環境をグローバルに整備することを目指します。
また、排出削減対策の講じられていない石炭火力発電所については、各国の事情に応じたそれぞれのネット・ゼロへの道筋の中で取り組まれるべきです。日本は、自身のネット・ゼロへの道筋に沿って、エネルギーの安定供給を確保しつつ、排出削減対策の講じられていない新規の国内石炭火力発電所の建設を終了していきます。
官民合わせて700億ドル規模の支援を行うとの我々のコミットメントの実施も、着実に進んでいます。
その上で、世界銀行とアジア開発銀行に信用補完の供与を通じた合計約90億ドル規模の融資余力拡大に貢献する用意があり、また、アフリカ開発銀行の新基金へも貢献いたします。
日本は、人類共通の課題である気候変動問題に各国と共に取り組み、国際社会をリードいたします。ありがとうございました。