[文書名] 内外情勢調査会全国懇談会 岸田内閣総理大臣講演
皆さん、こんばんは。御紹介にあずかりました、内閣総理大臣の岸田文雄です。
内外情勢調査会、今年もお招きにあずかりました。今、御紹介いただきましたように、3回目となります。ここにお招きにあずかりますと、いよいよ今年も残りわずかという感じがしております。今年もこうしてお招きにあずかりましたこと、心から厚く御礼を申し上げます。
そして、今日は題にありますように、今年を振り返り、来年を展望する、こういったことでお話をさせていただこうと思いますが、まず冒頭申し上げさせていただきますのは、自民党の政策集団の政治資金に関しましてのことであります。今、国民の皆さんから政治とカネの問題、疑念の目で見られていること、疑念を持たれる事態を招いていること、大変遺憾なことであり、まずもって心からおわびを申し上げなければならないと思っております。
「国民の信頼あっての政治の安定」であり、「政治の安定あっての政策の推進」であるということを、肝に銘じて対応してまいらなければならないと考えます。
今、正に、我が国は、内外で大きな変化に直面をしております、そして、その変化を力に変えて前進していかなければならない、こうした時期を迎えています。こういった中にあるからこそ、こうした変化の流れを基盤として政策を進めていかなければならない、そして、その取組の土台となるのが「政治の安定」であります。このことは単に国会ですとか、あるいは永田町にとどまるものではありません。
「政治の安定こそが最高の外交政策であり、政治の安定こそが最大の経済対策」であるということ、このことを念頭に、自民党総裁として、総理として、党の先頭に立って国民の信頼回復に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
その上で、今日は、経済、社会、外交、この3つのポイントで一年間を振り返り、そして来年に向けた展望をお話したいと思っております。
まず最初は経済についてです。本年5月に新型コロナを5類感染症に分類して以来、経済活動は正常化し、そして各種指標は力強さを取り戻しつつあります。賃上げ、投資、株価、また各経済指標には、「30年ぶりの」という枕詞(まくらことば)が付き、経済の潮目、確実に変わっていると思います。
バブル崩壊以降約30年にわたって、低物価・低賃金・低成長が続き、停滞が続いてきました。
その大きな原因は、「物価は上がらない」という予見が日本全体に広がるこの社会通念、「ノルム」として、こうしたデフレ心理が定着してしまった、このことは大きかったと思います。
30年来のデフレ心理のまん延、これは経済の深刻な「質的な劣化」を生みました。過少投資はイノベーションの基盤を弱め、生産性の低下をもたらしました。また、労働コストのカットは、人的資本の蓄積を遅らせ、新たなスキルやビジネスモデルの導入を阻害しました。
その結果、我が国経済のファンダメンタルズは、大きく毀損してしまった。
この30年を「失われた30年」と呼ぶ向きもありますが、私は、むしろ亡くなられた青木昌彦スタンフォード大学教授が訴えた、「移り行く30年」と呼ぶべきではないかと考えています。
つまり、「高度経済成長期に最適化した経済社会構造」から、「イノベーションと社会課題の解決に最適化した経済社会構造」へ転換するためには、一つの世代、すなわち30年程度が必要だという議論です。
経済構造の移行のためにこの30年、世代を超えて営々と積み上げてきた改革努力の成果、ようやく花開こうとしている、このように考えます。
グローバルな経験を積んだ経営者の輩出。コーポレートガバナンス改革への海外投資家からの高い評価。GX(グリーン・トランスフォーメーション)や人口減少社会など国家課題を「官民連携」によって解決していこう、こういった気運も高まっています。
今年10月に日本で初めてJapan Weeksという取組を行いました。2週間にわたりまして、世界中の有力な投資家を東京に集めて、様々な会議やイベントを展開した、こうした行事を行いました。その際に、最後を締めくくる形で、総理官邸に世界の主要な投資家に集まってもらい、会議を開きました。その会議に出席した世界の投資家が保有・運用する資産、「延べ3,300兆円」という数字が示されていました。これだけの世界の投資家が東京に集まった、そして投資家から口々に、日本経済の先行き、そして改革への強い期待が表明された、大変印象的な2週間でありました。
また、私は先月、APEC(アジア太平洋経済協力)出席の際に、アメリカ、スタンフォード大学で、韓国の尹(ユン)大統領と共に、米国西海岸で活躍する日本と韓国の若いスタートアップ経営者と車座対話を行いました。
その際に感じたことですが、かつて日本の若い人達は、様々な分野で世界を目指し頑張る、こういった志を持っていました。しかし、今や若い人達、例えば、野球大リーグで活躍する大谷翔平選手のごとく、もう「世界を目指す」というのではなくして、最初から世界レベルの志を持って、世界で伍(ご)して戦う、こうした力を持っている若い経営者、韓国のみならず、日本人のスタートアップ経営者の中にも、そういった若者たちがどんどんと出てきている、大変心強い頼もしい思いをした、これが記憶に残っています。
こうした様々な明るい兆し、賃金と物価が動き始め、明るい兆しが出ている今日。単にチャンスが巡ってきたというだけではありません。
バブル崩壊後の様々な苦労を経て、我々日本は、ようやく「移り行く30年」の「出口」に差し掛かりつつある、こう言えるのではないかと思っています。
このチャンスを逃してはならない。30年以上続いたコストカット型経済とデフレの弊害、とりわけ日本人と日本企業に染みついてしまった、「デフレ・マインド」の払拭には、タイミングと効果の最大化に狙いを定めた、これまでにない対応が必要であると考えます。一人一人の「実感」が積み重なって初めて社会全体の「マインド」も変わっていく。国民の皆さんに「賃金が上がり、所得が増える実感」を持ってもらう必要があると考えます。
何よりも大事なのは、「物価上昇を上回る賃上げ」です。このため、今年3月には8年ぶりに政労使の意見交換を官邸で開催いたしました。そして11月にも政労使の意見交換会を開催して、その場で私から直接経済界に対して、足下の物価動向を踏まえ、来年の春闘に向け、「今年を上回る水準の賃上げ」の協力をお願いいたしました。
それを後押しすべく、政策を総動員してまいります。賃上げ税制を強化し、「今年を上回る賃上げ」を強力に後押しするとともに、赤字中小企業でも利用できる繰越控除を創設いたします。この制度の対象となりうる企業は中小企業全体の8割をカバーすることになります。裾野の広い賃上げの実現につなげてまいります。あわせて労務費の転嫁が円滑に進むよう公正取引委員会による指針の策定などの取組を通じて、全国で広く、賃金上昇を実現出来る環境、これを実現してまいります。
さらには全就業者の14パーセントを占める医療福祉分野において、医療・介護に携わる幅広い現場で働く人々について、物価に負けない「賃上げ」が行われる仕組みを構築いたしました。先日の医療介護等の同時改定においても、賃上げ、これをしっかりと念頭に数字を考えていく、900万人と言われるこの分野における労働者の賃上げ、これもしっかり押し上げていく、こういった取組を行いました。
また、物価高を乗り越える途上にある来年の可処分所得を下支えするため、賃上げとの相乗効果という観点から、所得税・住民税の定額減税を来年6月から実施いたします。定額減税の対象となるものの、その恩恵を十分に受けられないと見込まれる所得水準の方々にも、補足的な給付を行ってまいります。
もちろん、切れ目なく国民生活を守る観点から、目の前の物価高への対応も重要です。燃料油、電気・ガス料金の激変緩和措置の延長に加えて、補正予算の成立で、物価高に最も切実に苦しまれている方々への支援、これも進めてまいります。住民税非課税世帯の方への1世帯7万円の追加給付、これは年内に開始され、年明け、更に多くの給付が続く見込みです。それ以外にも、今般の減税の恩恵を受けられない世帯や、子育て中の低所得者世帯への支援など、きめ細かくこうした物価高への対応を講じてまいります。
あわせて、賃上げの原資となる「企業の稼ぐ力」を強化する「供給力の強化」、これは経済対策の重要な柱です。全国に国内投資の胎動が生まれつつあります。
先週21日には、「国内投資促進パッケージ」を取りまとめました。11府省庁による、200を超える施策群であり、まさに政府を挙げて、予算・税制・規制のあらゆる面で、世界との「政策競争」で伍していけるものとしております。
一例として、「戦略分野 国内生産促進税制」というものを用意しました。予見可能性の観点から、イニシャルコストのみならず、「生産段階でのコスト」にも着目した税額控除措置を講ずる、まさに世界に伍する、前例の無い取組だと自負しています。
熊本県の半導体工場においては、全国平均より5万円以上高い水準の初任給が実現しており、九州7県においても、設備投資額の伸び率が前年度実績に比べて、全国平均の20.1パーセントを大幅に上回る61.7パーセント増と過去最高を記録するなど、九州全体に投資効果が波及しつつあります。
これ以外にも、先週は、サムスンから半導体関連の新たな先端開発投資の表明もされるなど、既に具体的な動きが次々と始まっています。
また、先週は、「アジア・ゼロエミッション共同体構想」の初めての首脳会合を東京で開催いたしました。4,000兆円と言われるアジアのGX投資へ、経済界と連携し、日本の技術力、そして金融力を役立てながら、一方でアジアの成長力を日本に取り込んでいきたいと考えています。
また、地方経済を牽引(けんいん)する存在である、中堅・中小企業の稼ぐ力もしっかりと強化してまいります。人手不足解消、労働生産性向上を同時に実現するために、省力化の支援措置を強力に位置付け、カタログ形式など実際に利用しやすい工夫も凝らしました。
こうした投資の動きを後押しするためにも、先日、「資産運用立国実現プラン」を策定しました。
家計の資金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで更なる投資あるいは消費につながる、こういった好循環の実現を目指してまいります。
来年1月から始まります、新しいNISA(少額投資非課税制度)の普及を進めるとともに、コーポレートガバナンス改革の実質化、さらには資産運用業とアセットオーナーの運用力の向上にも取り組んで、我が国のインベストメント・チェーンを強化していきたいと思います。
以上が経済について申し上げたところですが、続きまして2つ目として社会について申し上げさせていただきます。社会については、人口減少という大きな変化に正面から取り組んでいかなければなりません。
今年の年頭の会見において、私は、少子化対策に挑戦する年にしたいと申し上げました。若年人口が急減する2030年代に入るまでが、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであるという思いで、取り組んできました。
4月のこども家庭庁の発足、そして6月の「こども未来戦略方針」における当面の集中的な取組としての「加速化プラン」の提示を経て、今月には「こども未来戦略」をまとめました。
子育てに係る「経済的支援の拡充」を抜本的に図ってまいります。児童手当の所得制限の撤廃、支給期間の高校生までの延長、第3子以降の支給額の月3万円への増額に加えて、高等教育費の思い切った負担軽減として多子世帯の大学・短期大学に通う学生、高等専門学校の4・5年生、専門学校に通う生徒について授業料・入学料を無償といたします。
また、「こども誰でも通園制度」の創設に加えて、貧困・ひとり親、虐待防止、障害のあるこどもや、医療的ケアが必要なこどもへの支援策をお示ししました。そしてその中で、ひとり親世帯向けの児童扶養手当の拡充や、障害を持つこども向けの補装具費の所得制限の撤廃など長らく指摘されてきた課題、これを実現いたします。
さらに、育休制度の強化、柔軟な働き方を選べる制度など、これからの共働き・共育て社会を支える基盤を整備いたします。
あわせて3.6兆円という規模の「加速化プラン」の実施により、わが国のこども1人当たりの家族関係支出は、16パーセント、すなわちOECD(経済協力開発機構)トップのスウェーデンに達する水準となります。画期的に我が国の家族関係支出が前進いたします。そして制度の拡充ばかりでなくして、施策が社会や職場で活用され子育て世帯にしっかり届くことが大切です。社会全体でこども・子育て世帯を応援する機運を高めるべく、社会の意識改革にも取り組んでまいります。
例えば企業における育児休暇にしても、制度はあっても使えなければ意味がないわけです。育児休暇を使える企業文化あるいは企業の体制、これを充実させなければならない。あるいは、社会においても公共施設において子育て世帯に対するファーストトラックを用意するなど、社会全体でこども・子育て我がこととして考えていく、こういった社会意識の変革、これを経済的な充実と合わせて進めることが、こども・子育て政策を進める上で、そして実現する上で大変重要だということで国民運動を進めていく、こういった取組も進めているところであります。「加速化プラン」を支える財源確保についても、徹底した歳出改革等によって確保すること、これを原則として、実質的な負担が生じないとの考え方を、財源の具体的な内訳や金額とともにお示ししました。
人口減少下においても、国民のニーズの多様化、そして複雑化は進んでいます。こうした変化に対応するため、新しくデジタル行財政改革を始動させていきます。デジタルの力を借りた、国と地方の行財政、制度や仕組みの改革を進めてまいります。利用者起点で発掘した課題を踏まえ、教育、交通、介護、そしてデジタル基盤の各分野で方針を示し、実行していきます。
例えば、全国各地で深刻化する地域交通の課題を踏まえて、ライドシェアの課題に対応し、地域の自家用車や、一般ドライバーを活用した新たな運送サービスを、来年4月から開始することといたしました。
年明けからは、こうした施策の効果を検証しつつ、タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことを位置付ける法律制度について、来年の6月に向けて議論を開始していきたいと思います。こうした我が国の社会、この少子化対策を中心に、社会全体の意識改革、これも進めていきたいと思いますし、これを来年にしっかりつないでいきたいと思っています。
そして3点目として外交について申し上げます。外交・安全保障については、2023年は、大変大きな変化の年でした。ロシアによるウクライナ侵略に加え、イスラエル・パレスチナ情勢も予断を許しません。日本周辺においても、一方的な現状変更の試みや、北朝鮮の核・ミサイル開発は続けられ、安全保障環境は戦後最も厳しいものとなっています。
また、ロシアと欧米諸国が対立する中で、グローバルサウスと呼ばれる多くの国が、どちらにつくということではなく、世界の動きをじっと息を凝らして見ている、こういった状況にあります。こうした情勢の中で、国際社会は、再び協調に向けて一致することができるか、これが問われています。
本年も、人間の尊厳という最も根源的な価値を中心に据え、分断・対立ではなく、協調に導く外交を積極的に展開してきました。
特に、議長として迎えた5月のG7広島サミットに際しては、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化、そしてもう一つは、G7を超えたパートナーとの関係強化、この二つの視点から議論を行い、そしてG7の結束を示すことができました。
法の支配については、G7に加えてインド、ブラジル、インドネシアを始めとする招待国の首脳に加えて、ゲストとして参加したウクライナのゼレンスキー大統領も交えた場において、国際社会の平和と安定に関する議論を行い、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持や、主権や領土一体性の尊重といった国連憲章等の重要性について、出席した全首脳と認識を共有することができました。これは、歴史的に大きな意義あるものであったと確信しています。
そして本年は、韓国とのシャトル外交も再開いたしました。尹大統領との個人的な信頼関係を梃子(てこ)として、日韓関係を幅広い分野で深めることができました。
そして8月には数々の歴史の舞台であります、キャンプ・デービッドで「日米韓パートナーシップの新時代」を拓(ひら)いていくという決意を世界に示すことができました。経済安全保障分野を含めて、厳しさを増す国際情勢の中、戦略的な連携を進めていきます。
そして来年は、「緊迫の一年」となります。ウクライナ情勢、イスラエル・パレスチナ情勢に加えて、来年は年明けから台湾の総統選挙、インドネシアの大統領選挙、インドの総選挙、韓国の総選挙、あるいはロシアの大統領選挙、アメリカの大統領選等々、主要国で重要な国政選挙が目白押しであり、来年は「これからの10年を決める分かれ道」の年になる、こういった指摘があります。
日本はこうした時代に向き合い、これまでの様々な成果、これを土台としながら、2024年以降も引き続き、G7ですとか、日米韓、日米豪印、こういった枠組も活用しつつ、同盟国、同志国との連携を推進し、また引き続き国連の非常任理事国として、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢への対応も含めて、国際社会の平和と安定に貢献してまいります。
その中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に主導力を発揮する。分断や対立が続く中にあって、法の支配という拠りどころを各国と共有することによって、国際秩序の維持強化に努める。そしてその結果として、日本国民の安心安全を守り抜いていく、こうした外交を進めていかなければならないと思いますし、その中で、今、国際社会で影響力を増しているグローバルサウスの声に耳を傾け、日本らしいきめ細かい協力を行っていく、こうした外交力を発揮していきたいと考えております。
以上、経済、社会、外交、この3つのポイントを通じて今年を振り返り、来年の展望を申し上げましたが、このように大きな変化の時代にある、だからこそ、立ち止まることは許されない。このように強く感じています。
本年は、政治の役割は、様々な声に耳を傾け、決断し、結果を示していくことである。このことを肝に銘じ、先送りできない課題に一つ一つ取り組み、結果を出すことに取り組んできました。来年は、まずは政治の信頼回復に全力を挙げ、そして2年間取り組んできた、こうした経済や社会やそして外交における取組の結果を「形」にしていく。このことに力を尽くしていきたいと考えております。
明治維新、戦後復興、高度成長期。これまでの先人たちの例に倣って、令和の時代にもう一度、経済でも、社会でも、また外交関係でも、「変化を力に」して、「明日は今日より良くなる」とみんなが思えるような環境を実現していくために、必要な政策を実行してまいります。
今年1年、振り返らしていただきましたが、こうした多くの取組を進めることができましたのも、今日御列席の多くの皆様方の御指導や御助力があったからこそと心から感謝を申し上げます。来年も、引き続き御指導を心からお願い申し上げ、そして何よりも皆様方にとって来年が良き年となりますこと、そして御健勝、御多幸を心から祈念申し上げて、私の話を終わらせていただきます。ありがとうございました。
(政治資金規正法の見直しに関して新たに設ける組織では何を議論するのか、また新組織での議論を経て政治資金規正法の改正案を通常国会に提出するのか。)
まず、今お騒がせしている自民党の政策集団の政治資金の問題については、これはそれぞれの団体において会計の在り方が様々であるとか、指摘をされている問題点も多岐にわたっています。こういったものについて実態が明らかになり、そして課題や原因が把握される、この的確に効果的な対策を講じるためにも、こうした実態を把握して、そして原因や課題が把握されることが重要であるということを申し上げてきました。しかし、その中で御指摘のように来年年明け、できるだけ早い時期に、自民党としてもこの問題を決して一政策集団の話ではなくして、自民党全体の問題であるという強い危機感の下に、党として信頼回復のための新たな組織を立ち上げるということを申し上げました。
そして、来年の通常国会、通常ですと1月の内には通常国家が始まる、これが通例でありますので、この議論を行いながら、通常国会において自民党としても責任与党として政治の信頼回復のために議論をしっかり行うことができるように、新しい組織の議論を進めていかなければならないと考えています。そういったタイムスケジュールで議論を進めていきたいと思っております。
そして中身についてですが、これは今言ったように、実態の把握をしながら原因・課題を明らかにしてかなければならないとは思いますが、少なくともこれは政治資金パーティの資金の透明化を図っていく。これは必ずやらなければならないことだと思いますし、その結果として御指摘のような政治資金規正法の改正、これが議論になることは十分あり得ると想定しています。そういった考えに基づいて、先ほど申し上げました、党における議論を進め、そして具体的な対策をしっかり用意し、国会の論戦にも備えていきたい。このように考えています。
(内閣支持率の低迷の原因について、また、適切なタイミングで衆議院の解散に踏み切る考えはあるのか。)
まず、最初の方の質問ですが、世論調査結果について、いろんな世論調査数多く出ておりますので、一つ一つについて申し上げることはいたしませんが、少なくとも政策の真意が伝わらないなど厳しい意見に対しては謙虚に耳を傾けていかなければならないと思います。そして、これに対してどう向き合うのかということですが、これはやはり政治は結果責任でありますので、様々な政策、先ほど言いましたが、経済でも社会でも外交でも結果を国民の皆さんに目に見える形で示すことが、何よりも政策に対する、あるいは政治に対する評価につながるものと信じて、この2年間取り組んできた様々な課題について、より具体的な結果、成果が出る、そういった1年に来年は特にしなければならない。このように感じています。
そして選挙についてどうかということでありますが、これは先ほど申し上げたように、まずは政治の信頼回復に取り組む、これが来年の冒頭取り組まなければいけない大きな課題でありますし、その上で今申し上げた経済や社会や外交における取組の具体的な結果を出していく。これに専念しなければならないと思います。そして、今はそれに専念する、それが全てでありまして、その先に何を考えるかということについては、今は何も考えはありません。