[文書名] 陸上自衛隊高等工科学校卒業式 岸田総理ビデオメッセージ
本日、高等工科学校第67期生徒の卒業に当たり、自衛隊、そして日本の将来を担う卒業生諸君に、内閣総理大臣として心からお祝いを申し上げます。
諸君、卒業おめでとう。諸君は、十五の春に、「国を守り、国民を守る」という使命に燃え、ここ武山の門を叩(たた)いたことと思います。以来、弛(たゆ)むことなく勉学や部活動に励み、仲間と切磋琢磨(せっさたくま)して友情の絆(きずな)を育んだことでしょう。
諸君が青春をささげた高等工科学校での3年間は、日本の他のいかなる学校においても決して経験できない、唯一無二の輝きを持つ3年間です。最後まで頑張り抜いた自らの努力に自信と誇りを持ち、堂々と胸を張って巣立っていってほしいと思います。
本日の卒業は、新たな挑戦への始まりでもあります。戦後最も厳しい安全保障環境に直面する中、自衛隊に対する国民の期待は、これまでになく大きくなっています。特に、サイバー戦などの新領域での戦いが拡大する中、強い使命感と柔軟な発想で技術・技能を活用できる本校卒業生への期待は一層高まっています。
諸君一人一人が、本校で磨きあげた不屈の精神力と、学んだ知識・技術をいかし、そして更なる学びを続け、将来の自衛隊を背負って立つ存在となってくれることを強く望みます。
本年元日、能登半島地震が発生しました。在校生や諸君の御親戚にも被災された方がおられると伺っており、心からお見舞いを申し上げます。
自衛隊は発災直後から、危険を顧みず被災地に駆けつけ、夜を徹して道を切り開き、多くの命を救ってくれました。本校出身の多くの先輩たちも、献身的に任務に当たってくれました。諸君にも、常に国民に寄り添い、信頼される自衛官となってくれることを切に願います。
御家族の皆様、本日この日を迎えられ、心よりお祝いを申し上げます。かけがえのない時期に大切な御子息を預けていただき、深く感謝を申し上げます。
最後に、熱意と愛情を持って指導された今井学校長始め教職員各位に敬意を表するとともに、本校に多大な御支援を頂いている関係者の皆様に感謝を申し上げ、そして卒業生諸君の今後ますますの活躍と高等工科学校の一層の発展を祈念し、お祝いの言葉といたします。
令和6年3月20日
自衛隊最高指揮官
内閣総理大臣 岸田文雄