データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] AIソウル・サミット首脳セッション 岸田総理発言(ビデオメッセージ)

[場所] 
[年月日] 2024年5月21日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

 冒頭

 今回のサミットを主催頂いた、尹大統領及びスナク首相のイニシアチブに感謝いたします。

 本日は残念ながら、リアルタイムでの参加が叶いませんが、この重要な会議に一言ご挨拶申し上げたく、参加させていただきます。

2 安全、安心で信頼できるAIの実現に向けて

 AIで得られる革新的な機会を最大化するためには、偽(にせ)情報等のAIのリスクを軽減し、「安全、安心で信頼できるAI」を実現するための国際ガバナンスの形成が急務です。

 昨年、日本が議長国を務める中、G7で立ち上げた「広島AIプロセス」では、国際指針や行動規範を策定し、具体的なリスク低減に取り組んで来ています。これらの「広島AIプロセス」の成果の土台の上に、私は先日、OECD閣僚理事会に出席して、本日ご参加の各国を含む49カ国・地域の参加を得て、「広島AIプロセスフレンズグループ」を立ち上げました。G7を越える多くの国々の仲間と、「安全、安心で信頼できるAI」の実現に向けた取組を進めていきます。

 本サミットの取組は、「広島AIプロセス」と相互補完的です。AIの安全性に関する国際的な議論を深めることは、AI開発企業等による国際行動規範の履行を促すためにも不可欠です。

 日本国内では、「広島AIプロセス」の成果も踏まえ、「AI事業者ガイドライン」を先月公表しました。幅広い事業者がリスクに応じて、AIを活用できるよう、取組を後押ししていきます。

 また、AIの安全性評価について、本年2月、「AIセーフティ・インスティテュート」を設立しました。国際的なパートナーと緊密に連携して、相互運用可能な安全性評価手法の確立に向け、取り組んでいきます。

3 結語

 あらためて、日本として、本サミットの趣旨に賛同し、AIをめぐる国際的な議論に貢献していくことをお約束します。最後に、今回のサミットの盛会と、実りある議論と成果の達成をお祈り申し上げます。ご清聴ありがとうございました。