データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「共に歩む」 ー ジャパン・タイムズ紙への岸田総理大臣寄稿

[場所] 
[年月日] 2024年7月15日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

我々の太平洋と「キズナ」で結ばれた日本と太平洋島嶼国は、今までも、そしてこれからも、互いにとって、かけがえのないパートナーです。

日本と同地域の友情の輪は、スポーツや地方自治体レベルなどを含めた様々な交流を通じ拡大してきました。例えば、太平洋島嶼国の近海で捕獲されたマグロやカツオは長く日本人の食文化を豊かにしてきました。また、日本と太平洋島嶼国は長年にわたり、気候変動や防災をはじめとした共通の課題に共に手を携えて取り組んできました。そして、JICAの海外協力隊は、時に外交関係樹立よりも前から、地元の方々と共に、その国の発展に全力を尽くしてきています。私自身、こうした貢献についての心温まる物語を各国首脳から耳にし、大変誇りに思います。

太平洋・島サミット(PALM)が始まったのは20世紀に遡ります。私自身、もう10年以上も前からPALMプロセスに関与してきています。外務大臣として出席した2013年の第2回中間閣僚会合で私は、日本と太平洋島嶼国が対話と協力を着実に深めていること、そして我々の双方向協力が重要であること、を強調しました。これこそが日本と太平洋島嶼国が誇りをもって、今に至るまで培ってきた精神です。

今年はPALMが始まって27年目。そして、今から数えて27年後は2050年、すなわち、太平洋諸島フォーラム(PIF)のリーダー達が支持した「ブルーパシフィック大陸のための2050年戦略」の目標年です。30年近いPALMプロセスの歴史に裏打ちされた「キズナ」や共通の価値・原則を土台として、時代の変遷に対応しながら、強固な信頼と友好の関係を次なる30年につないでいきたいと思います。

日本は、2050年に向けて、太平洋島嶼国と共に歩んでいきます。