データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] JF(漁業協同組合)全国代表者集会 石破総理ビデオメッセージ

[場所] 
[年月日] 2024年12月4日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

 5年に1度の「JF(漁業協同組合)全国代表者集会」が、全国から多くの皆様方が参加されて開催されますことを、心からお慶びを申し上げます。総理大臣になります前まで、(自民党)水産総合調査会長をいたしておりました、石破茂であります。そのこともありまして、今日は何とか出たいと思っておりましたが、国会の関係上、どうしても出席ができません。深くお詫びを申し上げます。皆様方に、このような形でビデオメッセージとなりますことを、どうぞお許しをいただきたいと思います。

 能登半島の地震、本当に大変なことでありました。あのように海底が隆起するのは、千年に一度のことだそうです。私も水産総合調査会長として現地に行ってまいりました。いろいろなお声を聞きました。水をどうするのだ、油をどうするのだ、氷をどうするのだ、施設をどうするのだ、そういうお話を随分と聞きました。総理大臣になって、一番最初に行ったのも、能登半島でございました。直接、状況を確認をして、被災者の方々の、生のお声も伺いました。もうカニ漁が解禁になりましたが、カニ漁の解禁までに何とかしてくれというお声も、随分と聞いたところであります。被災地の皆様方の経済を支え、地域のなりわいであります水産業の復旧・復興に向け、今後とも政府を挙げて、切れ目のない支援を行います。ぜひ、いろいろな御要望を聞かせてください。よろしくお願いをいたします。

 「地方こそ成長の主役」だというお話もずっとしてまいりました。我が国の排他的経済水域の面積は、世界第6位という話も随分といたしました。そしてまた、海水の量で言えば、日本の周りの海は深いので、我々が、お魚が捕れる海水の体積ということで言えば、世界第2位か第3位だったはずであります。そしてまた、お魚の種類も何千といるわけであって、そういう意味で言えば、勤勉な漁業者の皆様との存在とも合わせて、日本の水産業の潜在力というのは、世界一、二を争うものだと思っておりますが、漁獲量も漁獲高のピークの半分以下になったと、これはどこに原因があり、それをどのように解決するか、ということは喫緊の課題だと思っております。水産物の自給率は相当に高いのですが、やはり、全体的な食糧安全保障の確保ということを図ります上でも、水産業がこれから発展していくということは、極めて重要なことであります。地方の成長、そして食糧安全保障の確保に向け、浜の中核組織である漁協の皆さん、坂本会長をはじめといたします、皆様方に担っていただく役割は、本当に大きいものだという思いは、今も全く変わりません。

 そして、水産総合調査会長として、ずっと皆様方とご相談をしてきましたのは、海業であります。小泉さん(衆議院議員)に委員長(自民党海業振興勉強会座長)になっていただいて、海業をどうやって発展させていくか、それは都市に近い水産地域は、それはそれで良いのですが、日本海側であったり、あるいは多くの地方の小さな漁村、そういうところにおいて、どうやって海業を取り入れていくかということは、本当に大きな課題であります。いろんな条件の整ったところは、上手くいくのだが、そうじゃないところはできないよということであってはなりません。能登の再生においても、私は、海業は大事なところだと思っております。狼煙(のろし)という集落に行ってまいりました。ここで運用できないかな、私は随分とそのように思ったことでございます。海業の成功は、漁協の皆様方の御活躍なくしてできるものではございません。もう一つは、これも随分とお話をしましたスマート水産業であります。若い方、女性の方、そういう方々が、漁業やってみよう、水産業やってみよう。そういうときには、格好がよくて、給料が高くて、休暇がある、3K(さんけい)なんて言いましたね。そういうような水産業になっていかねばなりませんし、それを実現するためには、スマート水産業というものがどうしても必要であります。海業、そして水産業、スマート水産業、これらの重要性をよく認識しました上で、政府として、引き続き皆様方の発展のために努力をしてまいりたいと思っております。水産業に従事をされる方、15万人ということになりました。かつての何分の一にもなりました。わたしはそれに歯止めをかけたいと思っております。収益が上がる、そして資源が持続的に利用可能である、これを両立させるということが最も大事だと思っております。我々としても、もう一回、先般の選挙で厳しい結果をいただきましたが、もう一度、浜を一軒一軒歩いて、皆様方の思いをきちんと受け止めて、これから先の水産業の発展のために、努力をしてまいりたいと思っている次第でございます。

  日本の水産業が、その力を最大限に発揮できますよう、皆様方と、なお一層連携をしながら取り組んでまいります。漁の安全、そして大漁、そして皆様方の収入が増えていく、そういうような賑わいあふれる漁村を実現するために、私どもも、皆様と共に、さらに努力をいたしてまいります。御発展と御安全を心からお祈りして、私の御挨拶といたします。どうぞよろしく、今後ともお願いいたします。ありがとうございました。