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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 農林水産物等輸出促進全国協議会総会 石破総理ビデオメッセージ

[場所] 
[年月日] 2024年12月20日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

 皆様、こんにちは。本日、「農林水産物等輸出促進全国協議会総会」が、多くの関係者の皆様方が参加されて開催されますことを心からお慶(よろこ)びを申し上げます。

 本日の総会に出席したいなと思っておりましたが、国会が開催されております、予算編成も山場となっており、どうしても出席がかないません。このような形で御挨拶をいたしますが、どうぞ御容赦を賜りたいと存じます。

 「日本食海外普及功労者」、また、「輸出に取り組む優良事業者」として表彰を受けられます皆様方、本日は誠におめでとうございます。食習慣の異なる海外におきまして、日本食の普及・市場開拓に取り組んでこられた皆様方の御努力に深く敬意を表する次第でございます。

 我が国の農林水産物・食品の輸出額は、昨年、過去最高を更新し、1兆4,500億円を超えました。

 これは、本日表彰を受けられます皆様方を始めとする方々が、海外において我が国が誇る食文化の普及に御尽力をされ、そして、安全でおいしい農林水産物・食品の生産や輸出に熱心に取り組んでこられた皆様方、そういう方々の御努力の賜物であります。

多くの関係者の皆様方の御尽力、これによりまして、海外におけます日本食レストランの数は、昨年は18万店を超え、なんと、10年前の3倍以上となったと承知をいたしております。

 日本を訪れる外国人旅行者の数は、この9月までで2,688万人に達しました。既に昨年1年分の2,507万人を突破して、旅行消費額も過去最高となっております。

 海外の日本食レストランに、本場の日本産食材が円滑に供給され、日本食のファンが増え、おいしいね、健康的だね、そういうようなファンが増えて、ますます日本からの輸出や日本へのインバウンドが増えていくよう、好循環を確立するということ、これが重要であります。こうした中で、インバウンド需要を取り込む「海外から稼ぐ力」を強化することが最も重要なことであると考えております。

 私は、作り手の皆様方が、食される方々のことを第一に考え、丁寧に育てて収穫し、あるいは漁獲をし、そうしておられます農林水産物、生産しておられる食品のおいしさは、安全性を考えれば、海外の皆様方にまだまだ受け入れられる余地があると、このように思っております。米を中心としますこの文化は、グルテンフリーにも大きく資するものでございます。持っておられる潜在力を、もっともっと高め、顕在化していくということが重要だと思っております。

 我々日本人には「おにぎり」は、本当になじみの深いものですが、ローマ字表記で「ONIGIRI」とこう書いて、ヨーロッパでもアメリカでも大人気、パリでもニューヨークでも長蛇の列であります。我々は、コメの輸出をもっともっと拡大したいと思っております。それは自給率の向上にも、当然つながるものでございます。そしてまたそれは、今まで生産調整ということで、作らないでくださいね、生産調整してくださいとねというふうに申し上げてまいりました。この政策については、またこれからいろいろな御議論があることかと思いますが、輸出が拡大するということは、いずれにいたしましても、農業に関係する方々を大変に元気づけるものだというふうに考えております。

 先日、習近平主席との間で日中首脳会談を行いました。中国によります、日本産水産物の輸入回復の早期実現に加え、我が国からの牛肉の輸出再開、精米の輸出拡大に係る協議の再開も求めてまいりました。

 今後も政府といたしまして、江藤農林水産大臣を始めとして関係閣僚一丸となって、世界が求める日本産農林水産物・食品の輸出拡大に努めてまいります。私自身、できる限りの努力をしてまいりたい、元農林水産大臣として、そのように考えております。官民挙げて、日本全体として、オールジャパンとしての取組が更に展開できますよう、引き続き、関係者の皆様の御協力、一層よろしくお願いを申し上げます。

 お醤油(しょうゆ)が輸出されるときに、茂木会長がどんなに努力をされたか、そのお話を以前、承って感動したことがございます。

 茂木会長を始め、本日御列席の皆様方のますますの御活躍、御健勝を心からお祈りして、私の御挨拶といたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。