[文書名] 日本創生に向けた人口戦略フォーラムinみやぎ 石破総理ビデオメッセージ
内閣総理大臣の石破茂です。
本日、「日本創生に向けた人口戦略フォーラムinみやぎ」、開催されますに当たって、一言御挨拶を申し上げます。
我々の政権におきましては、去年の暮れにこれまでの10年間の地方創生の取組の成果、そして反省を踏まえて、「地方創生2.0の基本的な考え方」を取りまとめました。東京の一極集中を是正して魅力ある地方と都市が結びついて、様々な国民の皆様方の幸せが実現できる、そういう日本を作りたいと思っています。作っていかなければなりません。
魅力ある地方を実現する上で、若い方々、女性の方々、そういう方々に選ばれる地方づくりは、どうしても実現をしなければならない、待ったなしの課題だと思っています。これを実現するためには、それぞれの職場、あるいはそれぞれの地域、そういうところの考え方、あるいは仕組みを変えていくことが必要だと思います。若い方々、女性の方々にとっては「魅力ある働き方・職場づくり」が大切だと思っています。
今、日本はどんどん人口が減って高齢化が進んで、人手が足りないな、人手不足だな、そういうことがあちらこちらで言われるようになりました。そういうときに、いや、そういうときだからこそ、働く人を一人一人大切にする社会を築いていかなければなりません。
「魅力ある働き方・職場づくり」をスタートとして、地域社会を変えていく。これが「地方創生2.0」。2.0というのは今までとは違いますよということを意味するのが2.0なんですけど、その第一歩だというふうに考えているところです。じゃあそのためには何を解決しなきゃいけないんだろうか。
第1はやっぱり賃金に格差があるね。それを是正していかなければなりません。短時間働いても正社員。正社員と言うと何だか長く働かなきゃいけないみたいに思われますけど、短時間でも正社員として働くことができる「短時間正社員」、あるいはいろんな正社員あるいは時間を短くして働く時短勤務なんて言いますが、その活用を推進していきますとともに、県や市や町や村、地方自治体の非正規職員の方を難しい言葉で「会計年度任用職員」なんて言いますけれど、地方自治体にも多くの非正規の方々が働いておられます。そういう方々のいろんな処遇を変えていく、良くしていく、そういうような在り方の見直しに取り組んでいきたいと思っています。
今日は多くの地方自治体の長の方々、市長さん、町長さん、村長さんお出かけだと思っています。皆様方の自治体におかれましても、いろんな自治体の良い事例を参考にして取組を始めていただければいいなというふうに思っています。
いわゆる「L字カーブ」というのがありますね。出産を契機として、非正規雇用に変わってねとか、こういうものは減らしていかなければなりません。あるいは「女性活躍推進法」という法律がありますが、これによって女性が本当に活躍するいろんな環境が整っていく、そういうものを「えるぼし」と言います。そんな認定の地方への更なる普及を進めていきたいなというふうに思っています。
あるいは育児休業を取ろうよね。そういうような取組を推進しています。ですけれど、育児休業、休んじゃうとな、みんなに迷惑かけるような、だから休めないよな。本当は育児休業を取ってこどもを育てるのを自分もやりたいんだけど、でもみんなに迷惑かけたらすまないな、そういう方って実は大勢いらっしゃるんだろうと思います。「同僚手当」って御存じですか。そういうような人たち、育児休業を取った、じゃあみんなでそれカバーしてあげよう。そういうときには手当を出しますよというのを「同僚手当」と言うんですけど、これの支給をもっと支援するようなそういう取組を進めていきたいと思います。そうしないと育児休業ってこれから広がっていきません。
これらいろんな課題がありますが、これの背景には、いや私たちが住んでるところにはそんなのないよ。うちの会社にはそんなことないよ。そう思ってらっしゃる方多いかもしれませんね。「アンコンシャス・バイアス」って無意識のバイアスみたいな、そういうような無意識の思い込みって言った方が正しいのかもしれません。「アンコンシャス・バイアス」と言うんだそうです。思い込みですよね。そういう解消を図っていかなければいけません。
気仙沼、私も何度かお邪魔をしたことがあります。水産の町ですね。気仙沼では、市が中心になって商工会議所、あるいは中小企業さん、多くの関係される方々を巻き込みながら、働き方・職場の在り方、そういうものを変えていくんだという成果を上げておられます。
我々政府においても、それぞれの地域が、そんなことないよと決めつけてかかる、そういうような無意識の思い込み、「アンコンシャス・バイアス」、そういうものを解消していくなど、働き方や職場をめぐるいろんな課題の解決に向けた取組をやっていこう、そういう際の支援チームを作りました。是非、これを使ってみてください。そういうようなものを解消するための支援チーム、我々作りました。
我々政府は皆様方に役に立つ政府でありたいと思っています。皆様方に、あって良かったな、そう思ってもらえる政府でありたいと思っています。安心して働いて暮らせる地方の生活の環境を整えていくためには、年齢を問うことなく、誰もが安心して暮らせる、そういう地方を強くしていくことが重要です。
私は選挙区が鳥取県なんですけど、鳥取県では2023年度、昨年度ですね。鳥取県内にチェーン展開しているスーパーマーケットさんが、名前は別に言いませんけど、20店舗を一遍に閉鎖しちゃうということが起こったのです。買い物不便になったな、困った人たちがいっぱい現れました。当たり前のことですね。こういうような事態に対して市町村、あるいは地域の関係する皆様方が何とかしようよ。そういうふうに取り組んでいただいて、鳥取県庁がそれを支援する。そういう形で地域のいろんな事情に応じて、今までと同じように買い物が続けられる。そういう環境を整備するように努力をしてきました。
サービスを維持したり、向上したりするためには、今日お集りの皆様方のそれぞれの地域においても役場、市役所、民間の皆様、みんなで力を合わせて、地域の医療・福祉、地域の経済と生活環境、そういうものを維持していくための将来のデザインを作り上げていただくことが重要なんだなと思っております。
地域を強くしていくということは、どういうことかと言えば、新しい経済の仕組みを作ることです。何が新しい経済の仕組みかというと、いろんな、宮城なら宮城で私も高校1年に修学旅行、宮城に行ってまいりました。松島のきれいさってよく覚えています。あるいは、今の仕事になりましてからも、我々自民党の政調会長を務めている小野寺さんを始めとして、いろんな方々に御紹介いただいて宮城の方々とのお付き合いもございます。そういうような宮城のいろんな素敵なものがありますね。登米のお米だっておいしいですよ。松島もきれいですよ。気仙沼のお魚本当においしいですよね。そして女川にしても石巻にしても本当にまだまだ復興十分ではないけれど、新しい町ができつつありますよね。女川へ行ってみたいな、石巻行ってみたいな、気仙沼へ行ってみたいな。あそこに行ってあれ食べたいな、ああいうようなサービス受けたいな。そういうものを付加価値って言うんです。この金出してもあれ食べてみたい。この金出してもあの商品が欲しい。この金出してもこういうサービスを受けたいな。そういうものを付加価値って言いますが、そういう付加価値をあちらこちらにもっと増やしていくことをデジタルあるいは新しい技術を活用することによって、もっともっと便利よく、もっともっと世界中に広める、そういうことが可能になり、それが地域の活性化につながるんだと思っています。
新しい地方創生交付金は、これは今、令和6年度ですが、令和6年度の補正予算、そしてこれから国会で御審議をいただく令和7年度当初予算案が実現すると3倍の金額になる、そのような額を計上いたしております。是非、国会で十分な御審議をいただきたいと思っていますが、別にお金さえ増やせばいいというお話ではありません。これをどう使うかは、皆様方のお話し合いの結果です。本当に楽しい地域ができたよね。面白い地域ができたよね。毎日毎日暮らしていて楽しいよね。そういう取組が宮城県いっぱいに広がっていくことが大事なんだなというふうに思っております。そういうことが広がっていくことが、地方創生の大きな力となります。
今日は私の長年の友人であります村井知事さんもスピーチをなさるのかもしれません。新しい日本、それは「強い日本」、「豊かな日本」、それが今までの価値観だったんだけど、これから先は強さも豊かさもそれは大事かもしれないけど楽しいな面白いな、そういう一人一人の幸せを実現する、それが大事なことだというふうに思っているところです。
色々と長々とお話をいたしました。まとまりのないお話になって恐縮なことでした。でも、今、歴史の変わり目に日本はいます。国を変えるのは、都の偉い人じゃない、地域・現場の一人一人の皆様なのだと私は信じています。本日、お集まりの皆様、どうかこの宮城から新しい日本をつくる、そういう思いの下に良いフォーラム、そして大きな成果、そういうものが得られますように、心からお祈りを申し上げます。以上で私の御挨拶といたします。どうぞよろしくお願いいたします。