データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 三海域イニシアティブ首脳会合 石破総理メッセージ

[場所] 
[年月日] 2025年4月29日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

 今回の三海域イニシアティブ首脳会合が、設立10年という節目を迎えることに対し、心からお祝い申し上げます。
 バルト海、黒海、アドリア海の3つの海域に囲まれ、欧州の東方に位置する中・東欧及びバルト諸国が地域の結束性や連結性の強化を図る本イニシアティブは、今日の国際社会において、ますます重要性を高めております。発足以来、強い指導力を発揮して本イニシアティブを発展させ、また、今回の会合を主催されるドゥダ大統領に敬意を表します。
 我が国は、三海域イニシアティブとの連携を一層深めていくべく、昨年の首脳会合において戦略的パートナーとなりました。
 安全保障環境は厳しさと複雑さを増しています。ロシアによるウクライナ侵略が示すとおり、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分です。現在行われている各国の外交努力が、戦闘の終結、ひいてはウクライナにおける公正かつ永続的な平和の実現に繋がるよう、我が国としても、本イニシアティブの加盟国や戦略的パートナーとも緊密に連携し、外交努力を展開していきます。
 また、今回のテーマにも挙げられている三海域イニシアティブ域内の経済成長や環大西洋関係の強化は、域内の連結性を高めるのみならず、域外とのパートナーシップ強化にもつながります。これはウクライナの復旧・復興にとっても大変重要な要素となります。その一環として、国際協力銀行(JBIC)は、新たにワルシャワ駐在員事務所を開設すべく準備しています。地政学的な重要性やデジタル・グリーンといった分野でのポテンシャルの高い中・東欧における取組を強化していきます。
 今後とも、我が国は、三海域イニシアティブの加盟国や戦略的パートナーとの協力関係を促進するべく、様々な分野での取組を継続していきます。