データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第4回世界海上保安機関長官級会合 石破総理ビデオメッセージ

[場所] 
[年月日] 2025年9月12日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

 日本国内閣総理大臣、石破茂です。イタリア沿岸警備隊の創立160周年記念に合わせて、「第4回世界海上保安機関長官級会合」がイタリアのローマで盛大に開かれますこと、心よりお慶(よろこ)びを申し上げます。

 2017年に日本の東京で始まりました「世界海上保安機関長官級会合」が、初めて海を越えて、ローマで開催されること、本当にすばらしいことだと思っています。今回、共同議長を務めます我が日本国といたしましても、この会議の成功に向けて、力を尽くしてまいります。

 青く美しい海、これは昔から多くの生命を育むとともに、交易や交流の場として国同士をつないで、世界に豊かな恵みをもたらしてきました。国際社会全体が平和と繁栄を享受するためには、世界をつなぐ海が、豊か、これを保って、法の支配に基づいて自由で開かれたものであり続けることが重要です。

 しかし、最近、地政学的な競争の激化、国際的な犯罪の脅威などが、自由で安全な航行に大きな影響を与えています。また、プラスチック投棄などによります海洋汚染、気候変動、乱獲による水産資源・海洋資源の枯渇など、様々な地球規模の問題も深刻化しており、生きとし生けるもの共通の利益が損なわれようとしています。

 平和で安定した海、清らかで豊かな海、これを維持することは、我々人類共通の利益です。その先頭に立っていただくのが、日頃より、航行の安全確保、違法行為の取締り、海難救助など、厳しくも崇高な職務に従事しておられる、世界の海上保安機関の皆様であります。

 我々は、先人から受け継いだ海を守り、次の時代へ引き継いでいく責任を有しております。その重大な使命を、海上保安機関の最高指揮官お一人お一人が胸に抱いて、皆の英知を結集させ、課題解決に向けて共に取り組む、そのような必要があるものと考えております。そのための対話と協力の場となるのが、この会合です。

 今回の会合での活発な議論を通じて、世界の海上保安機関の連携が更なる発展を遂げることを期待いたしますとともに、海洋の平和と繁栄が続いていくことを心から祈念をして、私の御挨拶といたします。よろしくお願いを申し上げます。