[内閣名] 第37代米内光政内閣(昭和15.1.16〜昭和15.7.22)
[国会回次] (帝国)第75回(通常会)
[演説者] 有田八郎外務大臣
[演説種別] 国務大臣の演説
[衆議院演説年月日] 1940/2/1
[貴族院演説年月日]
[全文]
皇紀二千六百年ノ初頭、茲ニ我ガ外交政策及對外情勢ニ付テ説明スルノ機會ヲ得マシタコトハ、私ノ欣快トスル所デアリマス
帝國外交ノ要諦ガ建國ノ大義ニ立脚シ、先ヅ以テ東亞ノ安定ヲ圖リ、進ンデ國際正義ニ基ク世界ノ平和ヲ招來スルニアルコトハ、申スマデモアリマセヌ、帝國ハ此ノ基本方針ニ依リ支那事變處理ニ邁進スルト共ニ、自主的立場ヨリ國際關係ヲ調整セントスルコトニ、努力シツツアル次第デアリマス、事變處理ニ關スル我ガ根本方針ガ、抗日容共政策ヲ清算セル新支那ト、東亞新秩序建設ヲ共同目的トシテ結合シ、相互ニ善隣友好、共同防共、經濟提携ノ實ヲ擧ゲントスルモノデアルコトハ御承知ノ通リデアリマシテ、爾來支那側ニ於キマシテモ、日支相提携シテ東亞百年ノ大計ヲ定メントスル、所謂和平救國ノ氣運ガ濃厚トナリ、今ヤ汪精衞氏ヲ中心トスル中央政府ノ樹立ヲ見ントシツツアリマスルコトハ、兩國ノ爲ニ欣快ニ堪ヘヌ所デアリマス、而シテ生ルベキ新中央政府ニ對シマスル帝國ノ態度ニ付キマシテハ、既ニ前内閣ニ於テ闡明致シマシタ通リ、其ノ志ス所、帝國ノ企圖スル所ト合致シテ居ル事實ニ顧ミ、現内閣ニ於キマシテモ、極力是ガ成立ト發展トヲ援助シテ行キタイト考ヘテ居ル次第デアリマス、尚ホ東亞新秩序ノ建設ニ關聯シ、帝國ガ支那ニ於テ第三國ノ權益ヲ排除スルノ意圖ヲ有スルモノノ如ク疑フ向モアリマスガ、既ニ累次ノ帝國政府ノ聲明ニ於テ明ニ致シマシタル通リ、帝國トシテハ徒ニ支那ニ於ケル第三國權益ヲ排除センコトヲ企圖スルモノデハ絶對ニナイノデアリマス、第三國トノ通商貿易ノ進展ハ之ヲ助長シ、經濟的投資ノ如キハ積極的ニ歡迎スル所デアリマス、右ハ啻ニ帝國政府ノ意圖デアルノミナラズ、新ニ生レントスル支那新中央政府ノ共ニ希望スル所デアルコトハ信ジテ疑ハザル所デアリマス、唯軍事行動繼續中ハ作戰ノ必要上、軍特殊ノ要求ニ基ク制限ハ免カレヌ所デアリマスガ、事態ノ平靜化ニ伴ヒ逐次調整セラルベキモノデアリマス、帝國ト善隣不可分ノ關係ニアル滿洲國ノ國運ガ駸々乎トシテ進展シ、今ヤ東亞ニ於ケル一大國ノ域ニ達シツツアリマスコトハ、東亞ノ安寧福祉ノ爲御同慶ニ堪ヘヌ所デアリマス
國際關係ノ調整ニ付キマシテハ、先ヅ「ソビエト」聯邦トノ關係デアリマスルガ、從來帝國政府ハ同國トノ國交ヲ調整シ、以テ東亞全般ノ平和確保ニ資センコトヲ期シテ居タノデアリマス、幸ヒ最近兩國間ノ空氣ハ好轉シテ參リマシタノデ此ノ際兩國間主要懸案ノ具體的且ツ實際的解決ヲ圖リ、仍テ以テ兩國國交ノ調整ヲ圖リタイト考へテ居ルノデアリマス、國境間題ニ付キマシテハ、昨秋「ノモンハン」事件ニ關シ、停戰協定ノ成立ヲ見マシタルニ續イテ、舊臘以來紛爭地域ニ於キマスル國境確定ノ爲、關係國間ニ臨時滿蒙國境確定委員會ノ開催ヲ見ルニ至ツタノデアリマスガ、政府ハ單ニ「ノモンハン」附近ノ國境ノミナラズ滿「ソ」、滿蒙國境全般ニ亙リ國境ヲ確定シテ、紛爭ノ防止ニ資スルト共ニ、國境附近ニ發生スベキ紛議ノ平和的解決ヲ圖リ、以テ極東國境全般ノ平靜化ヲ實現致シ度キ所存デアリマス、而シテ如上ノ見地ヨリ國境確定委員會及國境紛爭處理委員會ノ設置ヲ急ギ、目下交渉ガ進捗中デアルノデアリマス、又對「ソ」通商經濟關係ニ付キマシテハ、目下「モスコー」ニ於テ兩國ノ間ニ通商貿易協定ノ折衝中デアリマシテ、圓滿妥結ヲ期待致シテ居ル次第デアリマス、次ニ日「ソ」間年來ノ懸案タル漁業條約ノ締結ニ付キマシテハ、舊臘成立ヲ見マシタ暫定漁業協定所定ノ約束ニ從ヒ、成ベク速ニ是ガ實現ヲ期セントスルモノデアリマス
以上申述ベマシタ如キ状態ニアリマスルノデ、帝國政府トシテハ「ソビエト」聯邦側ニ於テ、此ノ際速ニ上述諸問題ノ解決ヲ圖リ、進ンデ北樺太ニ於ケル我ガ利權事業ニ對スル妨害ヲ歇メ、支那ニ於ケル抗日政權援助ノ政策ヲ改メ、東亞全局ノ平和確立ノ爲ニ協力センコトヲ希望スル次第デアリマス
日獨伊ノ關係ハ防共協定締結以來親交ヲ加ヘ來ツタノデアリマスガ、支那事變ニ際シ獨伊兩國官民ガ我國ニ寄セ來ツタ同情ト聲援トハ、國民ノ特ニ感謝シツツアル所デアリマス、帝國政府ノ防共ノ方針ハ不變デアリマシテ、此ノ方針ニ從ヒ防共協定調印諸國トノ間ニハ、從來通リ緊密ナル關係ヲ維持シテ行キタイト考ヘテ居ルノデアリマス
事變以來帝國政府ハ英國ヲシテ事變ノ眞相ヲ把握セシムル爲、有ユル努力ヲ致シテ參ツタノデアリマシテ、最近天津事件ヲ解決シ、進ンデ兩國國交ノ全般的調整ニ向ハントシツツアツタノデアリマス、然ルニ去ル一月二十一日英國軍艦ガ我ガ淺間丸ヲ臨檢シテ、獨逸人乗客中ヨリ二十一名ヲ拉致シタル事件ガ發生シ、殊ニ本件ガ日本近海ニ於テ行ハレマシタルコトハ、帝國政府トシテ國民ト共ニ頗ル遺憾ニ感ジテ居ル所デアリマス(拍手)本件ニ付キマシテハ目下英國側ト折衝シ、鋭意其ノ解決ニ努力致シテ居ルノデアリマス
昨年七月二十六日米國政府ハ明治四十四年以來日米兩國國交ノ楔デアリマシタ日米通商航海條約ノ廢棄ヲ通告シテ參ツタノデアリマス、米國政府ノ意圖致シマスル所ハ、主トシテ支那事變ヲ繞リ日米兩國間ニ發生シマシタ諸問題ノ解決ニ資セシメントスルニ在リト認メラルルノデアリマスガ、日本ノ立場ヲ一層米國側ニ徹底セシムルコトニ依リ、新條約ノ締結、少クトモ無條約状態ノ發生ヲ防止セント致シタノデアリマスガ、不幸日米兩國間ノ通商關係ハ、一月二十六日以後無條約状態ニ入ルコトトナツタノデアリマス、併シナガラ米國政府ハ舊臘其ノ國内手續ニ依リ、無條約關係ニ入ツタ後ニ於ケル日本船舶及ビ其ノ運送スル貨物ノ取扱方ニ付、差當リ從來通リノ待遇ヲ爲スコトヲ明ニ致シ、又所謂條約商人ノ入國滯在ニ付大體從來ノ取扱ニ變化ナキ意嚮ヲ表明致シマシタノデ、無條約状態ニ拘ラズ日米通商關係ハ、實質的ニ變更ヲ受ケザル次第デアリマス
今次事變ニ際シ帝國ノ方針ハ、米國其ノ他第三國ノ公正妥當ナル權益ヲ排除セントスルモノデナク、寧ロ東亞新秩序建設ノ爲ニハ、其ノ積極的協力ヲ希望シテ居ルノデアリマスガ、大規模ノ軍事行動ノ影響ガ往々ニシテ第三國ノ通商經濟活動ニ及ブコトガアルノデアリマス、帝國ハ此ノ間支那ニ於ケル第三國ノ權益保護ノ爲ニハ、有ユル手段ヲ盡スト共ニ、現地ニ於ケル部隊モ亦、是ガ爲ニ屡々作戰上ノ不利ヲサヘ忍ンデ參ツタノデアリマス、而モ不幸軍事行動ノ餘沫ニ因ル第三國人ノ損害ニ對シマシテハ、進ンデ之ニ適正ナル考慮ヲ拂フコトニ努力致シテ居ルノデアリマス、私ハ新秩序ノ建設進展スルニ伴ヒ、帝國ガ經濟通商ノ分野ニ於キマシテ、濫リニ排他獨占ノ意圖ナキコトヲ米國其ノ他ノ各國ニ於テ領得スルニ至ランコトヲ確信スルモノデアリマス、無條約状態ハ通商關係竝ニ一般國交關係ヲ不安ナラシムルモノデアツテ、日米雙方ニ取ツテ好マシカラザル所デアリマスノデ、帝國政府トシテハ兩國國交ガ條約ノ基礎ヲ有スル正常状態ヲ囘復スルニ至ランコトヲ期待シ、此ノ目的ニ向ツテ今後一層ノ努力ヲ拂ハントスルモノデアリマス
南方諸地方ニ對シマシテハ、帝國政府ハ是等諸地方トノ經濟的提携竝ニ資源ノ開發ニ協力スルコトニ依リ共存共榮ヲ希望スルモノデアリマシテ、右ノ趣旨ニ基イテ、益々南方諸地方トノ緊密關係増進ニ努力致シタイト考ヘテ居ルノデアリマス(拍手)
對外貿易ノ増進ト必要物資ノ確保トハ目下ノ情勢ニ於キマシテ帝國トシテ最モ力ヲ致サネバナラヌ所デアリマスノデ、通商關係各機關ハ互ニ密接ナル聯絡ヲ執リ、通商上ノ障碍排除、新市場ノ開拓、日満支經濟的協力ノ強化、互惠求償主義ニ依ル通商貿易協定ノ締結等ニ依リ、各國トノ經濟協力ノ促進ニ努力シ、以テ必要物資ノ確保ト輸出増進トニ鏡意力ヲ盡シテ居ル次第デアリマシテ、現ニ通商貿易ニ關シ交渉ノ行ハレテ居リマス國ハ、米國、「ソ」聯邦ヲ始メ、佛蘭西、伊太利、印度、中南米諸國等極メテ多數ニ上ツテ居ル有樣デアリマス、尚ホ歐洲戰亂勃發以來交戰國ニ於テ採リツツアル經濟政策ニハ、或ハ我方ノ必要物資ノ輸入ヲ阻害シ、或ハ我ガ輸出貿易ノ進展ヲ妨グルガ如キモノ多々アリマスノミナラズ、是等措置ノ中ニハ國際法ニ於テ認メラレタ交戰國ノ權利ノ範圍ヲ逸脱シ、通商ノ自由、海洋ノ自由ヲ破壤スルモノモ尠カラズアルト認メラルルノデアリマス、仍テ政府ハ關係國ニ對シ嚴重抗議ヲ爲シ、其ノ是正ヲ期スル等、通商權擁護ノ爲適當ナル措置ヲ講ジツツアルノデアリマス
昨年九月歐洲戰爭勃發ニ際シ、帝國政府ハ同戰爭ニ介入セズ、專ラ支那事變ノ處理ニ邁進スル旨ヲ中外ニ聲明致シ、爾來不介入ノ方針ヲ堅持致シテ參リマシタコトハ御承知ノ通リデアリマスガ、今囘ノ戰爭ハ其ノ歸趨ノ如何ニ拘ラズ、世界ノ一般情勢ニモ大ナル變化ヲ與フルモノト考ヘラルルノデアリマシテ、延イテ支那事變ノ處理及ビ東亞ノ安定ニ及ボス影響モ亦極メテ大ナルモノアリト信ゼラルルノデアリマス、隨テ政府ハ重大ナル關心ヲ以テ其ノ成行ヲ注視シ、形勢ノ變化ニ伴ヒ之ニ善處スルコトヲ怠ラザル覺悟デアリマス
凡ソ國際間ノ平和ノ保タレナイ原因ニハ種々アリマスガ、要スルニ人種、宗教、領土、資源、通商、移民等ニ關スル國際間ノ不合理不公正ナル現状ガ、或ハ排他的政策ニ依リ、或ハ自國ノ優越的地位ノ濫用ニ依リ、強ヒテ維持サレントスル所ニ起因スルコトガ多イト認メラレルノデアリマス、故ニ是等ノ原因ヲ省察シテ禍根ヲ芟除シ、萬邦各々其ノ所ヲ得シムルニアラザレバ、正義ニ基ク眞ノ世界平和ハ庶幾シ得ザル次第デアリマス、今ヤ歐洲ニ於テモ新秩序ノ要求ノ聲漸ク高ク、東亞ニ於テハ新秩序ヲ目標トシテ著々其ノ歩ヲ進メツツアルノデアリマス、寔ニ人類史上稀有ノ反省期ニ在ルヲ思ハシムル次第デアリマシテ、此秋ニ當リ愈々高調力説ノ要ヲ痛感致シマスルノハ外交ノ道義性デアリマス、從來帝國政府ニ於キマシテハ、此ノ信念ニ基キ、正義ニ立脚スル平和ノ樹立ニ專念シテ參ツタノデアリマスガ、此ノ際ニ於キマシテハ特ニ官民一致不退轉ノ決意ヲ以テ、東亞新秩序ノ建設ニ邁進シ、延イテ世界人類の福祉ニ貢獻センコトヲ期シタイト思フノデアリマス
以上ヲ以テ私ノ外交ニ關スル演説ヲ終ツタノデアリマスルガ、此ノ機會ニ於キマシテ只今ノ外交演説中ニモ一言致シテ置キマシタル、淺間丸事件ニ關スル英國側トノ交渉ノ經緯ノ概要ヲ附加説明致シテ置キタイト思フノデアリマス
歐洲戰爭勃發以來交戰國ハ中立國商船ニ依ツテ行ハルル通商ニ對シマシテ極度ノ制限妨害ヲ加へ、之ニ關聯シテ中立國船舶ノ臨檢停船等ノ厄ニ遇ヒタルモノ多數アリマスガ、何レモ歐羅巴ニ於ケル出來事デアリマシテ、歐羅巴ヨリ遠ク隔絶致シテ居リマス東洋方面ニ於テハ、何等此ノ種特異ノ事件ガナクシテ今日ニ至ツテ居ツタノデアリマス
然ルニ今囘發生致シマシタ淺間丸事件ハ、太平洋上ニ於キマシテ中立國デアル米國カラ中立國デアル帝國ノ港ニ向ヒツツアツタ本邦船舶ニ對スル、交戰國軍艦ノ強力行使デアルノミナラズ、事件ノ發生地ガ帝都ノ近海デアツタコト等ニ依リマシテ、痛ク我ガ國民ノ憤激ヲ買フニ至ツタノデアリマシテ、此ノ事ハ誠ニ當然デアルノデアリマス、政府ニ於キマシテ此ノ點ヲ特ニ遺憾ト致シマシテ、本事件ニ關スル報道ヲ接受致シマスルヤ、直チニ各關係方面ヲシテ事件ノ眞相ヲ究明セシメマスト共ニ、本件善後措置ニ關シテ協議致シマシタル結果、一月二十二日夜「クレーギー」英國大使ヲ外務省ニ招致致シマシテ、私ガ巳ムヲ得ナイ支障ガアリマシタノデ、外務次官ヲシテ帝國政府ハ本件英國軍艦ノ行動ヲ非友誼的行為デアルト看做サザルヲ得ナイコト、右ニ關シ至急英國政府ノ十分ニシテ且ツ根據アル説明ヲ要求スルモノナルコト、帝國政府ハ抑留獨逸人ノ引渡シヲ要求スルノ權利ヲ豫メ留保スルコト、竝ニ今後斯ル事件ノ繰返ヘサルルコトアラバ、帝國國民ノ對英感情ハ益々惡化スベキニ付、英國側ニ於テ右ノ點ヲ考慮シ善處スベキコト等ヲ指摘シマシタ嚴重ナル抗議ヲ申入レシメタノデアリマス、是ト同時ニ特ニ私ノ傳言ト致シマシテ、法律上ノ見解ハ兎モ角トシテ、此ノ際英國側ガ大局的見地カラ速ニ抑留獨逸人ヲ引渡スコトガ日英國交ノ爲最善ノ途デアルト信ズル旨ヲ申傅ヘシメタノデアリマスルガ、更ニ翌二十三日「クレーギー」大使ノ來訪ヲ求メマシテ、私自身カラ本件ニ關スル帝國政府ノ見解ヲ説明致シマスト共ニ、篤ト事件ノ重大性ヲ指摘シテ置イタノデアリマスルガ、其ノ後更ニ二十五日、二十七日、三十日及三十一日ノ四囘ニ亙リ英國大使ト會見ヲ重ネマシテ、本件ヲ有ユル角度カラ檢討致シマシテ我方主張ノ貫徹ニ努力シテ居ル次第デアリマスルガ、右此ノ我方ノ嚴重抗議ニ對シテ英國政府ハ二十七日「クレーギー」大使ヲ通ジテ囘答ヲ寄セテ參ツタノデアリマス、此ノ囘答ハ大部分英國側ノ法律上ノ見解ヲ述ベタモノデアリマシテ、之ニ對シマスル帝國政府ノ囘答ハ近ク交付スル積リデアリマスルガ、英國側ノ見解ハ我方ノ見解ト對立致シテ居ルノデアリマス
當地及ビ倫敦ニ於キマスル數次ノ交渉ニ於キマシテモ、英國政府ハ其ノ法律上ノ見解ハ抂ゲルコトガ出來ヌト云フ態度ヲ持シテ居ルノデアリマスガ、是ト同時ニ本件ガ我國國民輿論ヲ刺戟シマシタルコトニ付キマシテハ、特ニ愼重ナル考慮ヲ拂ツテ居ル模樣デアリマス
帝國政府ト致シマシテモ、法律上ノ議論ト竝行シテ日英國交ノ大局ニ立脚シテ、主トシテ政治的觀點カラ英國側ノ反省ヲ求メテ、本件ノ速カナル解決ヲ圖ルベク鋭意努力中デアルノデアリマス(拍手)