[内閣名] 第60代第3次池田(昭和38.12.9〜39.11.9)
[国会回次] 第45回(特別会)
[演説者] 田中角栄大蔵大臣
[演説種別] 昭和三十八年度補正予算についての演説
[衆議院演説年月日] 1963/12/10
[参議院演説年月日] 1963/12/10
[全文]
ここに、昭和三十八年度補正予算を提出するにあたり、その概要を御説明いたします。
まず、一般会計予算の補正におきましては、国家公務員等の給与改善、食糧管理特別会計への繰入れ等、当初予算作成後に生じた事由に基づき緊要となった経費を追加することとなし、これに応じまして、法人税等経済の拡大に伴う租税及び印紙収入の自然増収を見込むことといたしておるのであります。その総額は、千二百四十二億円でありまして、これにより、昭和三十八年度一般会計予算総額は、歳入、歳出とも二兆九千七百四十二億円と相なるわけであります。
歳出追加の第一は、国家公務員等の給与改善に関する経費であります。国家公務員の給与水準につきましては、民間給与との格差を是正するため、前年度におきましてもその引き上げをいたしたにもかかわらず、その後の民間給与の上昇に伴い、再びこれとの間に相当の格差を生じておるのであります。このため、先般の人事院勧告の内容を尊重いたしまして、本年十月一日から所要の改定を行なうこととなし、これに要する経費として総額二百六十二億円を計上いたしたのであります。
第二は、食糧管理特別会計への繰り入れでありますが、昭和三十八年度産米の買い入れ価格が当初予算における見込みを上回って決定されたこと等によりまして、同会計の食糧管理勘定における損失が大幅に増加する見込みとなりましたので、同会計の経理運営の改善をはかるため、同会計の調整勘定へ二百五十億円を追加繰り入れすることといたしております。
第三は、農業共済再保険特別会計への繰り入れでありますが、本年春以来の長雨による昭和三十八年産麦の著しい減収に伴う農業共済再保険特別会計の支出する再保険金支払い財源の不足に対処する等のため、百六億円を計上いたしたのであります。
第四は、災害復旧等事業に要する経費でありますが、昭和三十八年の発生にかかる災害の復旧につきましては、すでに既定の予備費をもって応急の措置を講じてまいったのでありますが、さらに今後の復旧等事業に必要な額百五十七億円を追加計上し、また、昭和三十七年以前の発生にかかる災害の復旧等事業費につきましても、極力その進捗をはかるために百五十八億円を追加計上いたしております。財政投融資計画におきましても、これらの追加計上に伴う地方公共団体の資金需要の増加に充てるため、所要の追加を行なうこととし、その復旧に遺憾なきを期しておるのであります。
最後に、地方交付税交付金でありますが、所得税、法人税及び酒税を歳入に追加計上することに伴い、三百九億円を計上いたしたのであります。
また、特別会計予算におきましては、一般会計予算の補正及び公務員の給与改善に関連して、食糧管理特別会計等につき所要の補正を行なうことといたしておりますとともに、政府関係機関の予算におきましても、日本国有鉄道につき、東海道幹線増設費に不足を生ずる見込みとなりましたので、四百四十三億円を追加し、予定通り明年十月の開業を期することといたしておりますほか、日本電信電話公社に九十億円の予算を追加計上して、工事の円滑な進捗に資することといたしておるのであります。
なお、予算の補正に伴い、財政投融資計画におきましても、すでに申し述べました地方公共団体に対する追加のほか、政府関係機関予算の補正に関連して、日本国有鉄道、日本電信電話公社について所要の資金措置を講ずることといたしておるわけであります。
以上、昭和三十八年度補正予算の大綱を御説明いたしました。何とぞ、政府の方針を了とせられ、本補正予算に対しすみやかにご賛同あらんことをお願いいたします。