[内閣名] 第62代第2次佐藤(昭和42.2.17〜45.1.14)
[国会回次] 第61回(常会)
[演説者] 福田赳夫大蔵大臣
[演説種別] 財政演説
[衆議院演説年月日] 1969/2/18
[参議院演説年月日] 1969/2/21
[全文]
あと一月余りで昭和四十三年度も終わろうとしておりますが、この際、本年度の財政状況について御説明申し上げます。
当面の財政金融政策につきましては、先般の財政演説において申し述べたとおりでありますから、重ねて申し上げません。
御承知のとおり、昭和四十三年度の予算は総合予算主義の方針のもとに編成され、恒例的な予算補正の慣行を排するという方針に基づいて運営してまいったのでありますが、国内米の政府買い入れ数量が著しく増加し、食料管理特別会計の損失額が大幅に増加する見込みになったという異常な事態に対処するため、補正予算を提出することといたしました。しかしながら、総合予算主義を堅持するという政府の方針には、今後ともいささかの変わりはないのであります。
この際、昭和四十三年度補正予算の大要を御説明申し上げます。
今回の一般会計補正予算におきましては、歳出において総額千二百八十億円の追加を行ないますとともに、既定経費の節減二百九十三億円を修正減少し、差し引き九百八十七億円を増加しておるのであります。
一方、歳入につきましては、租税及び印紙収入の増加見込み額二千四百五億円を追加計上いたしますほか、税外収入の増二百五億円を計上いたしておりますが、公債金を千六百二十三億円減額しておりますので、差し引き増加額は九百八十七億円となっております。この結果、昭和四十三年度一般会計予算は、歳入歳出とも五兆九千百七十三億円となるのであります。
歳出の追加につきましては、当初予算作成後に生じた事由に基づき、特に緊急に措置を要するものにつきまして所要の額を計上いたしておるのであります。
まず、食料管理特別会計への繰り入れに必要な経費として三百七十億円を計上いたしております。これは、国内米の政府買い入れ数量が著しく増加する見込みであること等により、食料管理特別会計の食料管理勘定における損失額が当初予算において予定いたした額より大幅に増加する見込みとなりましたので、同特別会計の経理運営の改善をはかるため、一般会計から同特別会計の調整勘定へ追加繰り入れすることにしたものであります。
次に、国民健康保険助成費の昭和四十三年度不足見込み額として百七十四億円を計上いたしております。
最後に、地方交付税交付金でありますが、これは所得税、法人税の増収及び酒税の減収を歳入に計上したことに伴い必要となるものでありまして、これらの三税全体としての増収額の三二%相当額の七百三十六億円を計上いたしておるのであります。
歳入につきましては、最近の経済情勢及び現在までの収入状況等を勘案し、まず、租税及び印紙収入におきまして、所得税、法人税等を中心に増収を見込むとともに、酒税と印紙収入について減収を見込み、全体として、増収見込み額二千四百五億円を計上いたしておるのであります。さらに、税外収入におきましては、日本専売公社納付金、日本銀行納付金等につき二百五億円の増収を見込んでおります。
最後に、昭和四十三年度の財政は、経済の予想外の発展を受けて順調な推移を示してまいりました。特に今回の補正予算において千六百二十三億円の公債減額ができますことは、財政体質の改善に資するところがきわめて大きいと存ずる次第であります。
以上、当面の財政運営について御説明いたしました。