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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[内閣名] 第99代菅義偉内閣(令和2.9.16〜令和3.10.4)
[国会回次] 第204回(常会)
[演説者] 麻生太郎財務大臣
[演説種別] 財政演説
[衆議院演説年月日] 2021/01/18
[参議院演説年月日] 2021/01/18
[全文] 

 令和二年度第三次補正予算及び令和三年度予算の御審議に当たり、財政政策の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、予算の大要を御説明させていただきます。

 日本経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあります。令和二年度第一次補正予算及び第二次補正予算の政策効果等もあり、持ち直しの動きがみられますが、新型コロナウイルス感染症が内外経済を下振れさせるリスクは十分に注意する必要があります。

 このような状況の下、昨年十二月八日に、国民の生命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策を閣議決定いたしました。総合経済対策を通じて、雇用と事業を支えながら新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するとともに、ポストコロナに向けた経済構造の転換、好循環の実現を図り、防災・減災、国土強靱化等の推進など安全、安心の確保を進めてまいります。

 先般、新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言が発出されました。今後も感染状況や経済、国民生活への影響を注意深く見極め、引き続き、新型コロナウイルス感染症対策予備費を含めた累次の補正予算、令和二年度第三次補正予算及び令和三年度予算の着実な執行により、適切に対応してまいりたいと考えております。

 日本の財政は、少子高齢化に伴う構造的な課題にも直面をいたしております。経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇等を踏まえ、二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化目標等の達成に向けて、引き続き、これまでの歳出改革の取組を継続し、経済再生と財政健全化の両立を図ってまいりたいと考えております。

 次に、総合経済対策の実行等のために今国会に提出をいたしました令和二年度第三次補正予算の大要について申し述べます。

 一般会計につきましては、歳出面において、総合経済対策に基づき、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策に係る経費に約四兆三千六百億円、ポストコロナに向けた経済構造の転換、好循環の実現に係る経費に約十一兆六千八百億円、防災・減災、国土強靱化の推進など安全、安心の確保に係る経費に約三兆一千四百億円の合計十九兆一千八百億円を計上いたしております。

 このほか、国税の減少に伴う地方交付税交付金原資の減額の補填等を行うとともに、既定経費の減額を行うことといたしております。

 歳入面におきましては、租税等の収入について、最近までの収入実績や企業収益の動向等を勘案して約八兆三千九百億円の減収を見込んでおります。また、税外収入について、約七千三百億円の増収を見込むほか、前年度剰余金約六千九百億円を計上することといたしております。

 以上によってなお不足する歳入について、公債を約二十二兆四千億円発行することとしております。

 なお、剰余金の処理につきましては、別途、所要の法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。

 この結果、令和二年度一般会計第三次補正後予算の総額は、一般会計第二次補正後予算に対して歳入歳出ともに約十五兆四千三百億円増加し、約百七十五兆六千九百億円となります。

 また、特別会計予算につきましても、所要の補正を行っております。

 財政投融資計画につきましては、総合経済対策を踏まえ、現下の低金利状況を活かして、生産性向上や防災・減災、国土強靱化を加速するとともに、ポストコロナ時代の社会経済構造変化に対応した民間投資を促進するため、約一兆四千三百億円を追加いたしております。

 続いて、令和三年度予算及び税制改正の大要を御説明させていただきます。

 令和三年度予算は、令和二年度第三次補正予算と合わせて、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている国民の命と生活を守るため、感染拡大防止に万全を期すとともに、将来を切り拓くために、中長期的な課題を見据えて着実に対応を進めていく予算といたしております。

 具体的には、感染症危機管理体制や保健所体制の整備等によって感染拡大防止に万全を期すとともに、予期せぬ状況変化への備えとして、五兆円の新型コロナウイルス感染症対策予備費を措置することとしております。また、デジタル社会、グリーン社会の実現や、全世代型社会保障の構築など、中長期的な課題にもしっかり対応するものといたしております。

 同時に、歳出全般にわたり見直しを行い、一般歳出等について、新経済・財政再生計画の目安を達成するなど、歳出改革の取組を継続いたしております。

 一般歳出につきましては約六十六兆九千億円であり、これに地方交付税交付金等約十五兆九千五百億円及び国債費約二十三兆七千六百億円を加えた一般会計総額は、約百六兆六千百億円となっております。

 一方、歳入につきましては、租税等の収入は約五十七兆四千五百億円、その他収入は約五兆五千六百億円を見込んでおります。また、公債金は約四十三兆六千億円となっております。

 なお、特例公債の発行につきましては、別途、所要の法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。

 次に、主要な経費について申し述べます。

 社会保障関係費につきましては、職員の処遇改善にも配慮した介護報酬改定、障害福祉サービス等報酬改定の実施に必要な経費を確保しつつ、毎年薬価改定の実現等、様々な歳出抑制努力を積み重ねた結果、実質的な伸びを高齢化による増加分におさめるという方針を達成いたしております。

 文教及び科学振興費につきましては、小学校三十五人以下学級の実施に向けて必要な教職員定数の措置及び合理化等を図るほか、大学改革、安全、安心な学校の施設整備等を推進するとともに、科学技術基盤を充実し、イノベーションを促進することといたしております。

 地方財政につきましては、国税及び地方税の税収の落ち込みに対し、地方の一般財源総額を適切に確保し、地方に最大限配慮することといたしております。

 防衛関係費につきましては、安全保障環境の変化に対応するため、中期防衛力整備計画に基づき、調達の効率化を徹底しつつ、宇宙やサイバーといった新領域を含め防衛力を着実に強化することといたしております。

 公共事業関係費につきましては、ハード、ソフトが一体となった防災・減災対策と維持更新コストの増加抑制の観点を踏まえつつ、国土強靱化の取組への重点化を図るほか、生産性向上のためインフラ整備等を推進することといたしております。

 経済協力費につきましては、新型コロナウイルス感染症の国際的な収束に向け、保健分野での途上国支援を強化しつつ、ODAは予算、事業量ともに必要な額を確保することといたしております。

 中小企業対策費につきましては、生産性向上を促進するための設備投資や、事業再生、事業承継に対する支援を充実するほか、資金繰り対策にも万全を期すことといたしております。

 エネルギー対策費につきましては、再生可能エネルギーの主力電源化やカーボンリサイクルの推進など、イノベーションによる脱炭素化を推進するほか、災害時に強いエネルギー供給網の整備に取り組むことといたしております。

 農林水産関係予算につきましては、農林水産物・食品の輸出拡大、農業経営の生産性向上を進めるほか、グリーン社会実現に向けた森林資源管理や、改正漁業法を踏まえた適切な水産資源管理に取り組むことといたしております。

 東日本大震災からの復興につきましては、第二期復興・創生期間の初年度において復興のステージに応じたきめ細やかな取組を着実に実施するため、令和三年度東日本大震災復興特別会計の総額を約九千三百億円といたしております。

 令和三年度財政投融資計画につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた企業、事業者及び地方公共団体への強力な支援、イノベーションの大胆な加速と事業再生、構造転換、低金利を利用した生産性向上や防災・減災、国土強靱化等につながるインフラ整備の加速のため、総額約四十兆九千百億円といたしております。

 国債管理政策につきましては、借換債を含みます国債発行総額が約二百三十六兆円と、過去に類を見ない規模になる中で、引き続き市場との緊密な対話に基づき安定的な国債発行に努めてまいります。

 令和三年度税制改正につきましては、ポストコロナに向けた経済構造の転換、好循環の実現を図るための企業のデジタルトランスフォーメーション及びカーボンニュートラルに向けた投資を促進する措置を創設いたすとともに、こうした投資等を行う企業に対する繰越欠損金の控除上限の特例を設けることといたしております。また、中小企業の経営資源の集約化による事業再構築等を促す措置を創設することといたしております。さらに、家計の暮らしと民需を下支えするため、住宅ローン控除の特例の延長等も行うことといたしております。

 このほか、日本の金融資本市場を国際金融センターの一つとして発展させ、海外から金融事業者、高度人材を呼び込むことは、重要な課題と存じます。政府一体となってこの課題に取り組み、所要の税制上の措置を講ずることといたしております。

 以上、財政政策の基本的な考え方と、令和二年度第三次補正予算及び令和三年度予算の大要について御説明させていただきました。

 次の世代に未来をつないでいくためには、今回の危機を乗り越えるとともに、構造的な課題に着実に取り組むことで、経済再生と財政健全化の両立を進めていく必要があります。そのため、これらの予算及び関連法案の一刻も早い成立が必要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただくとともに、財政政策につきまして、国民の皆様及び議員各位の御理解と御協力を切にお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

○議長(大島理森君) 国務大臣西村康稔君。

    〔国務大臣西村康稔君登壇〕

○国務大臣(西村康稔君) 経済財政政策担当大臣として、我が国経済の現状と課題、政策運営の基本的考え方について所信を申し述べます。

 二〇二〇年の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、大変厳しい状況となりました。四、五月には、緊急事態宣言の下、経済を広く人為的に止めたことで戦後最大の落ち込みを経験しました。その後は、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、持ち直しの動きが続いていますが、経済は依然としてコロナ前の水準を下回っており、回復は道半ばです。

 特に、最近の感染拡大による経済の下振れリスクに十分な注意が必要です。

 政府は、今月、十一都府県を対象とする緊急事態宣言を発出したところですが、今回の緊急事態宣言においては、これまでの経験、知見や専門家の分析を踏まえ、感染リスクの高い場面に効果的な対策を徹底します。あわせて、昨年春の経験も踏まえ、いわゆるエッセンシャルワーカーの方々には配慮しつつ、テレワークにより出勤者数の七割削減、不要不急の外出自粛など、国民の皆様に御協力をお願いして、何としても感染拡大を抑えることを最優先に対応してまいります。

 この難局を国民一体となって乗り越えるため、これらの措置によって厳しい影響を受ける方々には、協力金の拡充など予備費の活用も含めた支援策を講じてまいります。また、対策の実効性を高めるため、新型インフルエンザ等対策特別措置法など関連法改正について、幅広い関係者の意見を聴きながら早期に国会に提出します。

 引き続き、国民の皆様の御理解、共感をいただけるよう適切な情報発信をしながら、感染対策に全力で取り組みます。

 政府は、昨年十二月、決してデフレには戻さないとの強い決意で、財政支出四十・〇兆円程度、事業規模七十三・六兆円程度の、国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策を閣議決定しました。

 医療提供体制の更なる強化やワクチン接種体制の整備など、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に全力を挙げるとともに、感染症の厳しい影響に対し、雇用と生活をしっかり守ること、同時に、成長分野への民間投資を呼び込みながら、民需主導の成長軌道の実現につなげることという二つの視点の下、予算、規制、税制といったあらゆる政策手段を総動員し、防災・減災、国土強靱化の推進も盛り込んだ総合的な対策としています。本対策の裏付けとなる令和二年度第三次補正予算を令和三年度当初予算と一体的に、十五カ月予算として切れ目ない経済財政運営を行ってまいります。

 これらにより、緊急事態宣言による厳しい状況を乗り越え、来年度の経済成長率は、実質四・〇%、名目四・四%程度、GDPは来年度中にはコロナ前の水準を回復することを見込んでおります。その実現に向けて、デフレ脱却、経済再生に全力で取り組んでまいります。

 また、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、民需主導の成長軌道に戻すことに万全を期すとともに、新経済・財政再生計画改革工程表の着実な実行やデータに基づく政策立案により政策効果の高い歳出への転換を徹底し、財政健全化につなげてまいります。

 今回のコロナ危機は大変厳しい試練ではありますが、その一方で、これまで困難と思われてきた課題への対応も、やればできるということがわかりました。

 就業者の三割以上、東京二十三区では六割近くがテレワークを経験し、地方移住への関心も高まっています。内閣府の意識調査では、今では東京圏在住の三割が地方移住に関心を持ち、二十代の若者に限定すれば、その割合は四割に上るとの結果となっています。これは長年の課題であった東京一極集中是正に向けたチャンスでもあり、二地域居住やスマートシティーの実現、ワーケーションを始めとする新たな働き方など、未来に向けた芽が出始めています。

 こうした動きを後戻りさせず、新たな日常を定着させ、更に拡大してまいります。このことが、感染防止と経済の生産性向上を両立させつつ、ウィズコロナ、ポストコロナ時代の新しい成長につながると考えます。

 そのためには、まず、デジタル化の推進です。デジタルガバメントの確立に向けた取組を抜本的に加速し、あわせて、5Gのその後も見据えた通信網の高度化、交通、物流分野等におけるデジタル化など、デジタルニューディールを強力に推進し、デジタル化を通じた民間企業の経営革新を促してまいります。

 グリーン社会の実現に向けた取組もカギとなります。二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、成長が期待される十四の産業において、高い目標を設定し、あらゆる政策を総動員する戦略として、昨年末にグリーン成長戦略が策定されました。更なる深掘りを進め、今年の成長戦略に反映し、民間の大胆な投資やイノベーションに向けた取組をグリーンニューディールで全力で後押ししてまいります。

 また、日本企業の組織の硬直性を打破することが急務です。

 定期的にシリコンバレーを訪問してきていますが、あるベンチャー企業からは、日本企業はたくさん視察に来るが、いつも五十歳前後の男性ばかり。スーツ姿にネクタイだけ外して、毎回同じような質問ばかりして帰っていく。そして、その後何の連絡もない。なぜ、日本企業には外国人、女性、若者がいないのか。このように、日本企業の多様性の低さについて、目が覚めるような指摘を受けました。

 今こそ、多様な人材の登用を促し、多様な発想で未来を切り拓くときです。コーポレートガバナンス改革を推し進め、外国人や若者、女性の活躍の機会を増やすことにより、企業の経営革新につなげ、GAFAのような世界を牽引する企業が日本からも創出されるような事業環境を作ってまいります。大企業からベンチャー企業まで、産学官オープンイノベーションの推進に取り組みます。また、中堅・中小企業に対しては、新たな分野への展開、業態転換等を支援するための最大一億円の事業再構築補助金を創設し、前向きな取組を後押ししてまいります。

 そして、何より重要なのは人への投資であります。一人ひとりの人材能力を引き出し、新たな時代に適応したイノベーションを生む人材の育成に取り組みます。子供たちには、少人数学級とICT活用を両輪とした個別最適な学びの実現、社会人には、キャリアアップ支援やリカレント教育の強化、テレワークや副業、兼業、フリーランス等の多様な働き方の環境整備を進め、多様な人材の能力、発想が存分に発揮されるよう、人への投資、正にヒューマンニューディールを進めてまいります。

 成長戦略会議で取りまとめた実行計画において、ポストコロナ時代を見据えた主要改革の基本的方向性を具体化しました。今国会において、産業競争力強化法の改正など所要の法案を提出するとともに、最終取りまとめに向けて、成長戦略の検討を更に進めてまいります。

 イノベーションの創出や地方創生のためには、海外から高度な人材、技術、豊富な資金を呼び込むことが重要です。対日直接投資の一層の促進に向け、法人設立手続きのオンライン化、英語化に加え、高度人材の受入れや新しい時代に向けたデジタル投資や企業再編を促進すべく、税制改革を含めた事業環境の整備を進めてまいります。本年春までに、次期達成目標設定を含めた中長期戦略を取りまとめてまいります。

 また、世界で自国第一主義が広がる中、TPP11協定等を通じた自由貿易の重要性が改めて認識されています。本年のTPP委員会の議長国として、特に、デジタルの実装、サプライチェーンの強靱化といった分野での議論を更に深め、協力を推進していきます。その一環として、デジタル経済に関してウェブ上の国際的なセミナーを開催したいと思います。

 このハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型のルールを世界に広めていくため、引き続き署名国による協定の早期締結を促すとともに、TPP11協定の着実な実施、拡大に取り組んでまいります。その際、加入に関心を示しているエコノミーが協定の高いレベルを満たす用意ができているかどうかについては、しっかりと見極めてまいります。

 医療や介護の現場の方々、生活に困っておられる方への支援に携わる方々など、年末年始も休まず最前線に立ち続けている皆様に心より感謝を申し上げます。

 今回のコロナ危機はそれぞれの社会の脆弱なところを浮き彫りにしており、我が国においても非正規雇用の方々や女性など弱い立場にある方々が大変厳しい状況に直面しています。生活困窮者やひとり親世帯への支援、再就職支援やトライアル雇用に対する賃金助成などを通じ、セーフティーネットを強化し、誰一人として取り残されない包摂的な社会の構築に取り組んでまいります。

 また、暮らしと雇用を守りつつ、一人ひとりの能力を最大限に引き出しながら働きがいを持って仕事に取り組めるよう、働きながら更なる能力向上に取り組める環境整備、新たな分野への円滑な労働移動の支援など、パッケージとして総合的に取り組みます。就職氷河期世代の方々についても、お一人お一人に寄り添いながら、それぞれの事情に応じたきめ細かな支援を行ってまいります。

 成長と分配の好循環を実現するためには、雇用の確保とともに、最低賃金を含めた賃上げの流れを継続していくことが大切です。厳しい状況にある企業も多くあることは承知をしておりますが、政府として、中小企業を始めとする生産性向上に向けた支援、雇用増や賃上げなど所得拡大を促す税制措置を講じるなど、賃上げのモメンタムを維持できる環境整備に全力で取り組んでまいります。

 少子高齢化が急速に進む中、少しでも多くの方に、支えられる側から支える側として活躍いただけるよう、現役世代の負担上昇を抑えながら、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築し、次の世代に引き継いでいくことが、我々の世代の責任です。昨年末閣議決定された全世代型社会保障改革の方針に沿って、少子化対策の抜本的強化と高齢者医療について負担の仕組みの見直しに取り組むことで、改革を更に前へ進めていきます。

 本通常国会では、方針において示された後期高齢者の自己負担割合のあり方等、必要な法案の提出を図るとされた項目について、法案を提出し速やかに御審議いただけるよう万全を期してまいります。

 新型コロナウイルス感染症は、我が国経済が抱えてきた長年の課題を改めて浮き彫りにしました。感染拡大を全力で抑えながら、今こそ、こうした課題に正面から取り組むときです。デジタル、グリーン、ヒューマン、この三つのニューディールに全力で取り組み、民間の創意工夫、投資意欲を引き出すとともに、多様な人材の能力、発想が花開く社会にしていきたい。コロナ禍の中、今は大変厳しい状況にありますが、その中だからこそ、未来への扉を開いていこうではありませんか。三つのニューディールこそが未来の扉を開きます。そして、一人ひとりが扉の向こうに向けて新たな一歩を踏み出す、その勇気を全力で応援していきたいと思います。

 本年二〇二一年が、我が国経済社会の大きな変革のラストチャンスとの気概を持って、日本が新たな、そして大きな一歩を踏み出す一年となるよう全力を尽くしてまいります。

 国民の皆様、議員各位の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)