データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国際通貨基金協定

[場所] 
[年月日] 1945年12月27日
[出典] 多数国間條約集(下巻),外務省条約局,3-93頁.
[備考] 定訳
[全文]

   昭和二〇年一二月二七日ワシントンで作成

   昭和二〇年一二月二七日効力発生

   昭和二七年八月一四日署名

   昭和二七年八月一四日受諾書寄託

   昭和二七年八月一四日効力発生

   昭和二七年八月二六日公布(条約第一三号)

 この協定の署名政府は、次のとおり協定する。

  序

 国際通貨基金は、次の規定に従つて設立し、且つ、運営する。

  第一条 目的

 国際通貨基金の目的は、次のとおりである。

 (i)国際通貨問題に関する協議及び協力のための機構となる常設機関を通じて、通貨に関する国際協力を促進すること。

 (ii)国際貿易の拡大及び均衡のとれた増大を助長し、もつて経済政策の第一義的目標たる全加盟国の高水準の雇用及び実質所得の促進及び維持並びに生産資源の開発に寄与すること。

 (iii)為替の安定を促進し、加盟国間の秩序ある為替取極を維持し、及び競争的為替減価を防止すること。

 (iv)加盟国間の経常取引に関する多角的支払制度の樹立と世界貿易の増大を妨げる外国為替制限の除去とを援助すること。

 (v)適当な保障の下に基金の資金を加盟国に利用させ、こうして国内的又は国際的の繁栄を破壊するような措置に訴えることなしに国際収支の失調を是正する機会を供することにより加盟国に安心感を与えること。

 (vi)前諸号に従つて、加盟国の国際収支の不均衡の持続期間を短縮し、且つ、その程度を軽減すること。

 基金は、いかなる決定をするについても、本条に掲げる目的を指針としなければならない。

  第二条 加盟国の地位

第一項 原加盟国

 基金の原加盟国とは、連合国通貨金融会議に代表された国でその政府が第二十条第二項(e)に明記する日の前に加盟国の地位を受諾するものをいう。

第二項 その他の加盟国

 加盟国の地位は、基金が定める時期に、且つ、基金が定める条件に従つてその他の国の政府にも開放される。

  第三条 割当額及び出資

第一項 割当額

 各加盟国は、割当額を割り当てられる。連合国通貨金融会議に代表された加盟国で第二十条第二項(e)に明記する日の前に加盟国の地位を受諾するものの割当額は、附表Aに掲げる額とする。その他の加盟国の割当額は、基金が定める。

第二項 割当額の調整

 基金は、五年ごとに加盟国の割当額を検討し、適当と認めるときはその調整を提議する。基金は、また、その他のいかなる時期においても、適当と認めるときは、加盟国の要請に基いてその割当額の調整を考慮することができる。割当額の変更には、総投票権数の五分の四の多数を必要とし、また、加盟国の同意なしにはその割当額を変更しない。

第三項 出資-その払込の時期、場所及び形式

 (a)各加盟国の出資額は、その国の割当額と同額とし、その加盟国が第二十条第四項(c)又は(d)に基いて基金から通貨を買い入れる資格を有するに至る日以前に、適当な寄託所でその全額を基金に払い込むものとする。

 (b)各加盟国は、最小限として、次のもののうち少ない方を金で払い込むものとする。

  (i)自国の割当額の二十五パーセント

  (ii)基金が近く為替取引を開始することができる旨を第二十条第四項(a)に基いて加盟国に通告する日における自国の金及び合衆国ドルの公的純保有額の十パーセント

 各加盟国は、自国の金及び合衆国ドルの公的純保有額の決定に必要な資料を基金に提供するものとする。

 (c)各加盟国は、自国の割当額の残額を自国通貨で払い込むものとする。

 (d)加盟国の領域が敵国に占領されているため前記の(b)(ii)に掲げる日におけるその国の金及び合衆国ドルの公的純保有額を確かめることができないときは、基金は、その額を決定するために適当な代りの日を定める。この日が第二十条第四項(c)又は(d)に基いてその国が基金から通貨を買い入れる資格を有するに至る日の後である場合には、その公的純保有額が確かめられたときにその国と基金との間で適当な調整を行うことを条件として、基金及び当該加盟国は、前記のbに基く金の払込を暫定的に行うことについて協定し、当該加盟国の出資の残額は、その国の通貨で払い込まれるものとする。

第四項 割当額が変更された場合の支払

 (a)自国の割当額の増加に同意した各加盟国は、その同意の日の後三十日以内に、増加額の二十五パーセントを金で、残額を自国通貨で基金に払い込むものとする。但し、加盟国が増加に同意した日にその国の通貨準備が新割当額よりも少いときは、基金は、増加額のうち金で払い込まれるべき割合を減少することができる。

 (b)加盟国が自国の割当額の減少に同意した場合には、基金は、その同意の日の後三十日以内に、減少額に等しい額をその加盟国に払いもどす。この払いもどしは、その加盟国の通貨及び金で行われ、金による払いもどしの額は、基金の当該通貨の保有額が新割当額の七十五パーセント未満に減少するのを防止するために必要な額とする。

第五項 証書による通貨の代用

 基金は、いかなる加盟国の通貨でも、その一部が自己の業務に必要でないと認めるときは、その代りに、当該加盟国又は第十三条第二項に基いて当該加盟国が指定した寄託所が発行する手形その他の債務証書を当該加盟国から受領する。この手形その他の債務証書を当該加盟国から受領する。この手形その他の債務証書は、譲渡禁止且つ無利子のもので、指定寄託所における基金の勘定に貸記することによつて要求次第額面で支払われるものでなければならない。本項は、加盟国が出資する通貨に対してだけではなく、他の事由で基金に支払うべき通貨又は基金が取得すべき通貨にも適用する。

  第四条 通貨の平価

第一項 平価の表示

 (a)各加盟国の通貨の平価は、共通尺度たる金により、又は千九百四十四年七月一日現在の量目及び純分を有する合衆国ドルにより表示する。

 (b)この協定の規定の適用上、加盟国通貨に関するすべての計算は、その平価を基礎として行う。

第二項 平価を基礎とする金の買入れ

 基金は、加盟国による金の取引のために、平価の上下のマージンを定める。加盟国は、平価に所定のマージンを加えた額をこえる価格で金を買い入れ、又は平価から所定のマージンを差し引いた額未満の価格で金を売つてはならない。

第三項 平価による相場を基礎とする外国為替取引

 加盟国の領域内で行われる加盟国通貨間の為替取引の最高及び最低の相場は、平価による相場との間に次の差があつてはならない。

  (i)直物為替取引の場合には、一パーセントをこえる差

  (ii)その他の為替取引の場合には、直物為替取引のためのマージンに基金が合理的と認めるマージンを加えたものをこえる差

第四項 為替の安定に関する義務

 (a)各加盟国は、為替の安定を促進し、他の加盟国との秩序ある為替取極を維持し、且つ、為替の競争的変更を防止するために、基金と協力することを約束する。

 (b)各加盟国は、この協定に合致する適当な方法によつて、自国の領域内では自国通貨と他の加盟国の通貨との間の為替取引が本条第三項に基いて定められる限度内においてのみ行われるようにすることを約束する。加盟国の通貨当局が国際取引の決済のために本条第二項に基いて基金の定める限度内において事実上自由に金を売買しているときは、その加盟国は、この約束を履行しているものとみなす。

第五項 平価の変更

 (a)加盟国は、基礎的不均衡を是正しようとする場合を除く外、自国通貨の平価の変更を提議してはならない。

 (b)加盟国通貨の平価の変更は、その加盟国の提議があつたときに限り、且つ、基金と協議した後に限り行うことができる。

 (c)変更が提議された場合には、基金は、第二十条第四項に基いて決定する加盟国通貨の当初の平価が既に変更されているときは、この変更をまず考慮に入れなければならない。提議された変更が、引上げであると引下げであるとを問わず、従前のすべての変更を算入して、

  (i)当初の平価の十パーセントをこえないときは、基金は、異議を唱えてはならない。

  (ii)当初の平価の十パーセントをこえるが二十パーセントをこえないときは、基金は、同意することも異議を唱えることもできる。但し、その加盟国が要請するときは、基金は、七十二時間以内にその態度を表明しなければならない。

  (iii)前記の(i)又は(ii)に該当しないときは、基金は、同意することも異議を唱えることもできる。但し、その態度を表明するについては、七十二時間をこえることができる。

 (d)本条第七項に基いて行われる平価の一律変更は、提議された変更が前記の(c)の(i)、(ii)又は(iii)のいずれに該当するかを決定するに当つては、考慮に入れない。

 (e)加盟国は、自国通貨の平価の変更が基金加盟国の国際取引に影響を与えない場合には、基金の同意なしにその変更を行うことができる。

 (f)基金は、提議された変更で前記の(c)(ii)又は(c)(iii)の条項に該当するものが基礎的不均衡の是正に必要であると認めるときは、その変更に同意しなければならない。特に、基金は、このように認める限り、変更を提議した加盟国の国内の社会的又は政治的政策を理由としてその変更に異議を唱えてはならない。

第六項 認められていない変更の効果

 基金が異議を唱えることができる場合において、基金の異議があつたにもかかわらず加盟国が自国通貨の平価を変更したときは、その加盟国は、基金が別段の決定をしない限り、基金の資金を利用する資格を失う。相当な期間の経過後もその加盟国と基金との間の意見の相違が継続しているときは、第十五条第二項(b)の規定を適用する。

第七項 平価の一律変更

 本条第五項(b)の規定にかかわらず、基金は、総投票権数の過半数によつて、全加盟国の通貨の平価の一律の比例による変更を、各変更が総割当額の十パーセント以上を有する加盟国のすべてによつて承認されることを条件として、行うことができる。但し、基金の措置の後七十二時間以内に加盟国が自国通貨の平価がこの措置によつて変更されることを希望しない旨を基金に通告したときは、その加盟国の通貨の平価は、この規定に基いて変更されることはない。

第八項 基金の資産の金による価額の維持

 (a)基金の資産の金による価額は、いずれかの加盟国の通貨の平価又は外国為替相場の変動にかかわらず、維持されなければならない。

 (b)(i)加盟国通貨の平価が引き下げられた場合又は(ii)加盟国通貨の外国為替相場がその国の領域内で著しく低落したと基金が認めた場合には、その加盟国は、基金が保有する自国通貨の金による価額の減少に等しい額の自国通貨を相当の期間内に基金に支払わなければならない。

 (c)加盟国通貨の平価が引き上げられた場合には、基金は、基金が保有するその国の通貨の金による価額の増加に等しい額のその国の通貨を相当の期間内にその国に返還しなければならない。

 (d)本項の規定は、全加盟国の通貨の平価の一律の比例による変更に適用する。但し、このような変更が提議された場合において、基金が別段の決定をしたときは、この限りでない。

第九項 加盟国の管轄地域内における別個の通貨

 自国通貨の平価の変更を提議した加盟国は、別段の宣言をしない限り、この加盟国が第二十条第二項(g)に基いてこの協定を受諾したすべての地域の別個の通貨の平価についてこれに相当する変更を提議したものとみなされる。但し、加盟国は、その提議が本国通貨のみに関するものであること、指定する一若しくは二以上の別個の通貨のみに関するものであること又は本国通貨及び指定する一若しくは二以上の別個の通貨に関するものであることを宣言することができる。

  第五条 基金との取引

第一項 基金と取引を行う機関

 各加盟国は、自国の国庫、中央銀行、安定基金その他これに類似する財務機関を通じてのみ基金と取引を行うものとし、基金は、これらの機関とのみ又はこれらの機関を通じてのみ取引を行う。

第二項 基金の取引に対する制限

 この協定中別段の規定がある場合を除く外、基金の計算で行われる取引は、加盟国の発意で、その加盟国に対して、金又は買入れを希望するその国の通貨と引換に他の加盟国の通貨を供給することを目的とする取引に限る。

第三項 基金の資金の利用に関する条件

 (a)加盟国は、次の条件に従つて、自国通貨と引換に他の加盟国の通貨を基金から買い入れることができる。

  (i)通貨の買入れを希望する加盟国が、この協定の規定に合致する支払いをその通貨で行うために、その通貨が現に必要である旨を示すこと。

  (ii)基金が、希望される通貨の基金保有額が不足となつている旨を第七条第三項に基いて通告していないこと。

  (iii)申し込まれた買入れによつて、基金の買入国通貨保有額の増加が買入れの日に終る十二箇月の間に買入国の割当額の二十五パーセントをこえず、また、基金の買入国通貨保有額が買入国の割当額の二百パーセントをこえないこと。但し、二十五パーセントの制限は、基金の買入国通貨保有額が買入国の割当額の七十五パーセント未満である場合には、七十五パーセントをこえる部分に対してのみ適用する。

  (iv)基金が、買入れを希望する加盟国に基金の資金を利用する資格がない旨を本条第五項、第四条第六項、第六条第一項又は第十五条第二項(a)に基いて宣言したことがないこと。

 (b)加盟国は、基金の許可がなければ、先物為替取引のための用意として保有する通貨を取得するために基金の資金を利用することができない。

第四項 条件の免除

 基金は、その裁量により、且つ、その利益を擁護するような条件で、本条第三項(a)に定めるいずれの条件も免除することができる。特に、基金の資金の巨額な又は継続的な利用を回避してきた加盟国の場合には、そうすることができる。条件の免除に当つて、基金は、免除を要請する加盟国の周期的又は例外的需要を考慮に入れる。基金は、また、その利益を保護するのに充分であると認める価額の金、銀、証券その他の受け入れることができる資産を加盟国が担保に提供しようとするときは、その加盟国の意向てを考慮に入れるものとし、また、免除の条件としこのような担保の提供を要求することができる。

第五項 基金の資金を利用する資格の喪失

 基金は、加盟国が基金の目的に反する方法で基金の資金を利用していると認めるときは、基金の見解を述べ且つ適当な回答期限を定めた報告をその加盟国に与えなければならない。この報告を加盟国に与えた後は、基金は、その加盟国による基金の資金の利用を制限することができる。所定の期限までに加盟国から報告に対する回答が得られなかつたとき、又は回答が不満足であつたときは、基金は、その加盟国による基金の資金の利用を引き続き制限し、又は、その加盟国に相当の通告を与えた後、その国が基金の資金を利用する資格がないことを宣言することができる。

第六項 金による基金からの通貨の買入れ

 (a)他の加盟国の通貨を金で直接又は間接に取得することを希望する加盟国は、同等の利益を得てこれをすることができる限りは、基金に金を売ることによつてその通貨を取得しなければならない。

 (b)本項の規定は、加盟国がその領域にある鉱山から新たに生産された金をいかなる市場で売ることも妨げるものとみなしてはならない。

第七項 加盟国による基金保有自国通貨の買いもどし

 (a)加盟国は、自国通貨の基金保有額のうち自国割当額をこえる部分を金で買いもどすことができるものとし、基金は、これに応じて売らなければならない。

 (b)基金の各会計年度末に、加盟国は、附表Bに従つて定められるところにより、自国通貨の基金保有額の一部を金又は交換可能通貨で次の条件で基金から買いもどさなければならない。

  (i)各加盟国は、基金から自国通貨を買いもどすに当つては、自国の通貨準備のうち、その年度内に自国通貨の基金保有額に生じた増価額の半額にその年度内に自国の通貨準備に生じた増加額の半額を加えた額に相当する額又はその年度内に自国通貨の基金保有額に生じた増加額の半額からその年度内に自国の通貨準備に生じた減少額の半額を減じた額に相当する額を使用しなければならない。加盟国の通貨準備が、その年度内に自国通貨の基金保有額が増加した額をこえて減少した場合には、この原則を適用しない。

  (ii)前記の(i)に定める買いもどし(必要とされた場合とする。)が行われた後、加盟国における他の加盟国の通貨(又は同国から取得した金)の保有額が他の諸加盟国又はその領域内にある者とのこの通貨による取引の結果増加していることが明らかになつたときは、この通貨(又は金)の保有額がこうして増加した加盟国は、この増加額を基金からの自国通貨の買いもどしに使用しなければならない。

 (c)前記の(b)に定める調整は、次に掲げる程度に及んではならない。

  (i)その加盟国の通貨準備が割当額未満となる程度

  (ii)その加盟国の通貨の基金保有額が割当額の七十五パーセント未満となる程度

  (iii)買いもどしに使用されるべき通貨の基金保有額が当該加盟国の割当額の七十五パーセントをこえる程度

第八項 手数料

 (a)自国通貨で他の加盟国の通貨を基金から買い入れる加盟国は、平価による相場に基く価格の外、全加盟国にとつて一律である四分の三パーセントの事務手数料を支払わなければならない。基金は、その裁量でこの手数料を一パーセントまで引き上げ、又は二分の一パーセントまで引き下げることができる。

 (b)基金は、基金から金を買い入れ、又は基金に金を売る加盟国に相当の取扱手数料を課することができる。

 (c)基金は、その保有する加盟国通貨の毎日の残高の平均がその国の割当額をこえる部分につき、全加盟国にとつて一律である手数料を課する。手数料の率は、次のとおりである。

  (i)割当額をこえることが二十五パーセント以下である部分については、最初の三箇月間は無料、次の九箇月間は年に二分の一パーセント、その後一年ごとに二分の一パーセント増し

  (ii)割当額をこえることが二十五パーセントをこえ五十パーセント以下である部分については、最初の一年間は二分の一パーセント増し、その後一年ごとに二分の一パーセント増し

  (iii)割当額をこえることが五十パーセントをこえる部分については二十五パーセントごとに、最初の一年間は二分の一パーセント増し、その後一年ごとに二分の一パーセント増し

 (d)加盟国通貨の基金保有額が、いずれかの部分に対していずれかの期間につき課せられる手数料が年に四パーセントの率に達する額になつたときは、基金及び当該加盟国は、その通貨の基金保有額を減少させることができる方法を考慮しなければならない。その後は、手数料は、前記の(c)の規定に従つて五パーセントに達するまで増加し、協定が成立しないときは、基金は、適当と認める手数料を課することができる。

 (e)前記の(c)及び(d)に掲げる率は、総投票権数の四分の三の多数で変更することができる。

 (f)手数料は、すべて金で支払わなければならない。但し、加盟国の通貨準備がその割当額の二分の一未満であるときは、その加盟国は、支払うべき手数料のうち、通貨準備が割当額の二分の一に対して占める割合のみを金で支払うものとし、残額は、自国通貨で支払う。

  第六条 資本移動

第一項 資本移動のための基金の資金の利用

 (a)加盟国は、巨額な又は持続的な資本の流出に応ずるために、純計して基金の資金を利用することとなつてはならない。基金は、基金の資金のこのような利用を防止するための管理を実施するように加盟国に要請することができる。この要請を受けた後、加盟国が適当な管理を実施しなかつたときは、基金は、その加盟国が基金の資金を利用する資格がないことを宣言することができる。

 (b)本項の規定は、

  (i)輸出拡張のため又は貿易業、銀行業その他の事業の通常の経営において必要とされる相当の額の資本取引のために基金の資金を利用することを妨げるものとみなしてはならない。また、

  (ii)加盟国自身の金及び外国為替の資金で行う資本移動に影響を及ぼすものとみなしてはならない。但し、加盟国は、この資本移動を基金の目的に従つて行うことを約束する。

第二項 資本移動に関する特別規定

 加盟国通貨の基金保有額が現に六箇月以上の期間引き続いて割当額の七十五パーセント未満であるときは、その加盟国は、本条第一項、第四条第六項、第五条第五項又は第十五条第二項(a)に基き基金の資金を利用する資格がないことを宣言されていない限り、本条第一項(a)の規定にかかわらず、資本移動を含むいかなる目的のためにも、自国通貨で基金から他の加盟国の通貨を買い入れることができる。但し、本項に基く資本移動のための買入れは、その結果として、買入れを希望する国の通貨の基金保有額がその割当額の七十五パーセントをこえるとき、又は希望される通貨の基金保有額が希望される通貨の属する加盟国の割当額の七十五パーセント未満に減少するときは、許されない。

第三項 資本移動の管理

 加盟国は、国際資本移動の規則に必要な管理を実施することができる。但し、いかなる加盟国も、第七条第三項(b)及び第十四条第二項に定める場合を除く外、経常取引のための支払いを制限し、又は契約の決済上の資金移動を不当に遅延させるような方法で、この管理を実施してはならない。

  第七条 不足通貨

第一項 通貨の一般的不足

 基金は、特定の通貨の一般的不足が進展していると認めたときは、そのことを加盟国に通知し、及び不足の原因を述べ且つ不足の解決のための勧告を含む報告を発表することができる。この通貨の属する加盟国の代表者一人は、この報告の作成に参加する。

第二項 不足通貨の基金保有額を補充する措置

 基金は加盟国通貨の保有額を補充するため適当と認めるときは、次の措置の一方又は双方をとることができる。

  (i)加盟国が基金と加盟国との間で協定した条件で基金に自国通貨を貸し付けること又は基金が加盟国の承認を得てその通貨を加盟国の領域の内外を問わず他の源泉から借り入れることを、加盟国に提議すること。但し、加盟国は、基金にこの貸付をする義務又は自国通貨を基金が他の源泉から借り入れることを承認する義務を負わない。

  (ii)加盟国に対し自国通貨を金で基金に売ることを要求すること。

第三項 基金保有額の不足

 (a)加盟国通貨の需要がその通貨を供給する基金の能力を著しく脅かすことが基金にとつて明白となつたときは、基金は、本条第一項に基いて報告を発表したかどうかを問わず、その通貨が不足であることを公式に宣言し、その後は、加盟国の相対的必要度、一般国際経済情勢その他適切な事情を充分に考慮して、この不足通貨の現在及び将来の基金による供給額を割り当てる。基金は、また、その措置について報告を発表する。

 (b)前記の(a)に基く公式の宣言は、いずれの加盟国に対しても、基金との協議の後、一時的にこの不足通貨の為替取引の自由に制限を課する権限を与える。第四条第三項及び第四項の規定に従うことを条件として、加盟国は、この制限の性質を決定する完全な権限を有するが、この制限は、この不足通貨の需要を現在又は将来の当該加盟国による供給額の範囲内に制限するのに必要である以上に制限的であつてはならない。この制限は、事情の許す限りすみやかに緩和し、且つ、撤廃しなければならない。

 (c)前記の(b)に基く権限は、その通貨が不足でなくなつたと基金が公式に宣言したときに終了する。

第四項 制限の適用

 本条第三項(b)の規定に従い他の加盟国の通貨について制限を課する加盟国は、その制限の適用について当該他の加盟国から受ける申入れに対し好意的な考慮をしなければならない。

第五項 制限に対する他の国際協定の効果

 加盟国は、この協定に先立つて他の加盟国と締結した約定の義務を援用して本条の規定の運用を妨げることをしないことに同意する。

  第八条 加盟国の一般的義務

第一項 序言

 この協定の他の条に基く義務の外、各加盟国は、本条に定める義務を負う。

第二項 経常的支払に対する制限の回避

 (a)第七条第三項(b)及び第十四条第二項の規定を留保して、加盟国は、基金の承認なしに経常的国際取引のための支払及び資金移動に制限を課してはならない。

 (b)加盟国通貨に関する為替契約で、この協定に合致して存続され、又は設定される加盟国の為替管理に関する規制に違反するものは、いずれの加盟国の領域においても強制力をもたない。更に、加盟国は、相互の合意により、相互のいずれの為替管理に関する規制を一層効果的にするための措置についても協力することができる。但し、この措置及び規制は、この協定に合致しなければならない。

第三項 差別的通貨措置の回避

 加盟国は、この協定に基いて権限を与えられ、又は基金の承認を得た場合を除く外、差別的通貨取極若しくは複数通貨措置を行つてはならず、又は第五条第一項に掲げる自国の財務機関がこれを行うことを許してはならない。この協定が効力を生ずる日にそれらの取極及び措置が行われているときは、当該加盟国は、その漸進的撤廃について基金と協議しなければならない。但し、それらが第十四条第二項に基いて存続され、又は設定されるときは、この限りでない。この場合には、同条第四項の規定を適用する。

第四項 外国保有残高の交換可能性

 (a)各加盟国は、外の加盟国が買入れを要請するに当つて次のいずれかの事実を示すときは、その国が保有する自国通貨の残高を買い入れなければならない。

  (i)買い入れられる残高が経常取引の結果最近において取得されたこと。

  (ii)その交換が経常取引のための支払をするのに必要であること。

 買い入れる加盟国は、要請した加盟国の通貨又は金のいずれで支払うかを選択する権利を有する。

 (b)前記の(a)の義務は、次の場合には適用しない。

  (i)その残高の交換可能性が本条第二項又は第六条第三項に合致して制限されている場合

  (ii)第十四条第二項に基いて存続され、又は設定された制限を加盟国が撤廃する前に行われた取引の結果その残高が生じている場合

  (iii)その残高が買入れを要請された加盟国の為替に関する規制に違反して取得されている場合

  (iv)買入れを要請する加盟国の通貨が第七条第三項(a)に基いて不足であると宣言されている場合

  (v)買入れを要請された加盟国が何らかの理由によつて自国通貨で他の加盟国の通貨を基金から買い入れる資格を失つている場合

第五項 情報の提供

 (a)基金は、加盟国に対し、任務の効果的な遂行のために最低限度に必要な次の事項に関するその国の資料を含めて、業務のために必要と認める情報の提供を要求することができる。

  (i)国内及び国外における(1)金及び(2)外国為替の公的保有額

  (ii)公的機関以外の銀行及び金融機関による国内及び国外における(1)金及び(2)外国為替の保有額

  (iii)金の生産

  (iv)相手国別の金の輸出及び輸入

  (v)自国通貨で表示した相手国別の商品の輸出及び輸入の総額

  (vi)(1)商品及び役務の貿易、(2)金の取引、(3)判明している資本取引並びに(4)その他の項目を含む国際収支

  (vii)情報を提供することができる限りにおける国際投資状況、すなわち、加盟国の領域内における外国人所有の投資及び加盟国の領域内にある者が所有する在外投資

  (viii)国民所得

  (ix)物価指数、すなわち、卸売及び小売市場における商品価格の指数並びに輸出及び輸入の価格の指数

  (x)外国通貨の売相場及び買相場

  (xi)為替管理、すなわち、基金に加盟する時に実施中の為替管理の包括的説明及び、その後に変化があつたときは、その詳細

  (xii)公的清算取極があるときは、商業取引及び金融取引に関する未清算額の詳細並びにこの未清算額が存続している期間の詳細

 (b)基金は、情報を要請するに当つて、加盟国が要請された資料を提供する能力に差があることを考慮する。加盟国は、個人又は団体の事情が明らかにされるほど詳細な情報を提供する義務を負わない。但し、加盟国は、希望された情報をできるだけ詳細且つ正確に提供し、また、単なる推定をできる限り避けることを約束する。

 (c)基金は、加盟国との協定によつて、更に他の情報を得るように取りきめることができる。基金は、通貨及び金融の問題に関する情報の収集及び交換の中心となり、こうして、基金の目的を促進する政策の実施について加盟国を援助するような研究が行われることを助長する。

第六項 現行の国際協定に関する加盟国間の協議

 加盟国がこの協定に明記する特別の又は一時的の状況において為替取引に対する制限を存続し、又は設定する権限をこの協定に基いて与えられており、且つ、その制限の適用と抵触する他の約定がこの協定に先立つて加盟国間に締結されているときは、その約定の当事国は、相互に受諾することができる必要な調整をする目的で協議するものとする。本条の規定は、第七条第五項の適用を妨げるものではない。

  第九条 地位、免除及び特権

第一項 本条の目的

 基金が与えられた任務を遂行することができるようにするため、基金に、各加盟国の領域において本条に掲げる地位、免除及び特権を与える。

第二項 基金の地位

 基金は、完全な法人格を有し、特に、次の能力を有する。

  (i)契約をすること。

  (ii)動産及び不動産を取得し、及び処分すること。

  (iii)訴を提起すること。

第三項 訴訟手続の免除

 基金並びに、所在地及び占有者のいかんを問わず、その財産及び資産は、あらゆる形式の訴訟手続の免除を享有する。但し、基金がいずれかの訴訟手続のため又は契約の条件によつて免除を明示的に放棄するときは、この限りでない。

第四項 その他の行為の免除

 基金の財産及び資産は、所在地及び占有者のいかんを問わず、行政上又は立法上の措置による捜索、徴発、没収、収用その他あらゆる形式の強制処分を免除される。

第五項 文書に関する免除

 基金の文書は、不可侵とする。

第六項 資産に対する制限の免除

 基金のすべての財産及び資産は、この協定に定める業務を遂行するために必要な範囲内において、いかなる性質の制限、規則、管理及びモラトリアムも免除される。

第七項 通信に関する特権

 加盟国は、基金の公的通信に対して、他の加盟国の公的通信と同じ待遇を与えなければならない。

第八項 職員及び使用人の免除及び特権

 基金の総務、理事、代理、職員及び使用人は、すべて、

  (i)公的資格で行う行為について訴訟手続を免除される。但し、基金がこの免除を放棄するときは、この限りでない。

  (ii)当該加盟国の国民でないときは、加盟国が他の加盟国の同等の地位の代表者、公務員及び使用人に対して与える出入国制限、外国人登録義務及び国民的服役義務の免除並びに為替制限に関する便宜と同一の免除及び便宜を与えられる。

  (iii)加盟国が他の加盟国の同等の地位の代表者、公務員及び使用人に対して与える旅行の便宜に関する待遇と同一の待遇を与えられる。

第九項 課税の免除

 (a)基金並びにその資産、財産及び収入並びにこの協定によつて認められるその業務及び取引は、すべての内国税及び関税を免除される。基金は、また、公租公課の徴収又は納付の責任を免除される。

 (b)基金がその理事、代理、職員又は使用人に支払う給料その他の給与に対し又はこれらに関しては、これらの者が当該加盟国の市民、臣民その他の国民でないときは、いかなる租税も課してはならない。

 (c)基金が発行する債務証書その他の証書に対しては、その配当又は利子に対する場合を含めて、保有者のいかんを問わず、次のいかなる種類の課税も行つてはならない。

  (i)発行者のみを理由として債務証書その他の証書に対して不利な差別を設ける課税

  (ii)債務証書その他の証書の発行、支払予定若しくは支払実施の場所若しくは通貨又は基金が維持する事務所若しくは業務所の位置を唯一の法律上の基準とする課税

第十項 本条の適用

 各加盟国は、本条に掲げる原則を自国の法律において実施するため自国領域で必要な措置をとり、且つ、その措置の詳細を基金に通報しなければならない。

  第十条 他の国際機関との関係

 基金は、一般的国際機構及び関係分野で専門的責任を有する公的国際機関とこの協定の条項の範囲内で協力する。この協力のための取極でこの協定の規定の変更をもたらすものは、第十七条に基いてこの協定を改正した後に限り、締結することができる。

  第十一条 非加盟国との関係

第一項 非加盟国との関係に関する約束

 各加盟国は、次のことを約束する。

  (i)この協定の規定又は基金の目的に反する取引を非加盟国又はその領域内にある者と行わないこと、また、第五条第一項に掲げる自国の財務機関がこれを行うことを許さないこと。

  (ii)この協定の規定又は基金の目的に反する慣行について非加盟国又はその領域内にある者と協力しないこと。

  (iii)この協定の規定又は基金の目的に反する取引を非加盟国又はその領域内にある者と行うことを防止する適当な措置を自国の領域内において実施するため基金と協力すること。

第二項 非加盟国との取引に対する制限

 この協定の規定は、加盟国が非加盟国又はその領域内にある者との為替取引に制限を課する権利を害するものではない。但し、その制限が加盟国の利益を害し、且つ、基金の目的に反すると基金が認定したときは、この限りでない。

  第十二条 組織及び運営

第一項 基金の機構

 基金に、総務会、理事会、専務理事一人及び職員を置く。

第二項 総務会

 (a)基金のすべての権限は、各加盟国がその決定する方法で任命する総務一人及び代理一人からなる総務会に付与される。各総務及び代理は、任命した加盟国に異議がない限り、五年間在在するものとし、再任されることができる。代理は、総務が不在である場合を除く外、投票することができない。総務会は、総務のうちの一人を議長に選定する。

 (b)総務会は、その権限を行使することを理事会に委任することができる。但し、次の権限を除く。

  (i)新加盟国の加盟を承認し、及びその加盟の承認の条件を決定する権限

  (ii)割当額の改訂を承認する権限

  (iii)全加盟国の通貨の平価の一律変更を承認する権限

  (iv)他の国際機関と協力するための取極(暫定的又は事務的性質の非公式取極を除く。)を結ぶ権限

  (v)基金の純収入の分配を決定する権限

  (vi)加盟国に脱退を要求する権限

  (vii)基金を清算することを決定する権限

  (viii)理事会が行つたこの協定の解釈に関する異議の申立を裁決する権限

 (c)総務会は、年次会合の外、総務会が定め、又は理事会が招集する会合を開く。理事会は、五加盟国又は投票権数の合計が総投票権数の四分の一に達する諸加盟国が要請したときに、総務会を招集する。

 (d)総務会の会合の定足数は、総務の過半数でその行使する投票権数が総投票権数の三分の二以上であるものとする。

 (e)各総務は、本条第五項に基いて各自を任命した加盟国に割り当てられた票数を投票する資格を有する。

 (f)総務会は、規則を設けることによつて、理事会が基金に最も有利であると認めるときに総務会の会合を招集することなしに特定の問題に関する総務の表決を得ることができる手続きを定めることができる。

 (g)総務会及び、委任された範囲内で、理事会は、基金の業務上必要な又は適当な規則及び細則を採択することができる。

 (h)総務及び代理は、その資格においては、基金から報酬を受けないで勤務する。但し、基金は、これらの者に、会合への出席に際して負担する相当の費用を支払う。

 (i)総務会は、理事に支払う報酬並びに専務理事の給料及び勤務に関する契約の条件を定める。

第三項 理事会

 (a)理事会は、基金の一般的業務を運営する責任を有し、このため、総務会から委任されたすべての権限を行使する。

 (b)理事は、十二人以上とし、総務であることを必要としない。そのうち、

  (i)五人は、最大の割当額を有する五加盟国が任命する。

  (ii)二人以下は、次の(c)の規定を適用するときに任命する。

  (iii)五人は、理事を任命する資格がない加盟国でアメリカの諸共和国以外のものが選挙する。

  (iv)二人は、理事を任命する資格がないアメリカの諸共和国が選挙する。

 本項(b)の適用上、加盟国とは、第二十条又は第二条第二項のいずれに従つて加盟国となつたかを問わず、附表Aに掲げる国の政府をいう。その他の国の政府が加盟国となつたときは、総務会は、選任されるべき理事の数を総投票権数の五分の四の多数により増加することができる。

 (c)理事の第二回定期選挙の時以後に、前記の(b)(i)に基いて理事を任命する資格がある加盟国のうちに、加盟国通貨の基金保有額の過去二年間における平均額が割当額未満に減少しており、且つ、その減少の絶対額を共通尺度としての金で表示したものが最大であつた二加盟国を含まないときは、場合により、その加盟国の一又は二は、理事を任命する資格を有する。

 (d)第二十条第三項(b)に従うことを条件として、選任理事の選挙は、基金が適当と認める規則で補足する附表Cの規定に従つて、二年ごとに行う。総務会は、前記の(b)に基いて選任されるべき理事の数を増加するときは、附表Cの規定に基く理事の選任に必要な票数の割合を適当に変更する規則を設ける。

 (e)各理事は、不在のときに自己に代つて行動する完全な権限を有する代理を任命する。代理を任命した理事が出席しているときは、代理は、会合に参加することはできるが、投票することはできない。

 (f)理事は、後任者が任命され、又は選任されるまで在職する。選任された理事が任期終了前九十日をこえて欠員となつたときは、前任理事を選挙した加盟国は、残任期間のため別の理事を選挙する。選任は、投票の過半数を必要とする。欠員の間は、前任理事の代理は、代理を任命する権限を除く外、理事の権限を行使する。

 (g)理事会は、基金の主たる事務所で常にその職務を行い、基金の業務の必要に応じて会合する。

 (h)理事会の会合の定足数は、理事の過半数で投票権数の二分の一以上を代表するものとする。

 (i)各任命理事は、本条第五項に基いて各自を任命した加盟国に割り当てられた票数を投票する資格を有する。各選任理事は、各自の選出のために算入された票数を投票する資格を有する。本条第五項(b)の規定が適用される場合には、その適用がない場合に理事が投票する資格を有する票数は、これに応じて増加され、又は減少される。理事が投票する資格を有する票数は、すべて一括して投票しなければならない。

 (j)総務会は、規則を採択することによつて、前記の(b)に基いて理事を任命する資格がない加盟国が、自国の行つた要請又は自国に特に関係がある事項について審議が行われている間理事会の会合に出席する代表者一人を送ることができるようにする。

 (k)理事会は、有益と認める委員会を任命することができる。委員会の委員は、総務若しくは理事又はそれらの代理に限る必要はない。

第四項 専務理事及び職員

 (a)理事会は、専務理事一人を選定する。専務理事は、総務又は理事であつてはならない。専務理事は、理事会の議長となるが、可否同数の場合の決定投票を除く外、投票権を有しない。専務理事は、総務会の会合に参加することができるが、その会合では投票してはならない。専務理事は、理事会の決定により退任する。

 (b)専務理事は、基金に従事する職員の長であつて、理事会の指揮の下に、基金の通常業務を行う。専務理事は、理事会の一般的監督の下に、基金の職員の組織及び任免の責任を負う。

 (c)基金の専務理事及び職員は、その職務の執行に当つて、基金に対してのみ責任を負うものとし、その他の当局に対しては負わない。各加盟国は、この責任の国際的な性質を尊重し、職員の職務執行についてこれらの者を左右しようとするすべての企図を慎まなければならない。

 (d)職員の任命に当つては、最高水準の能率及び技術的能力を確保することが最も重要であるが、専務理事は、職員をなるべく広い地理的基礎に基いて採用することの重要性についても充分な考慮を払わなければならない。

第五項 投票

 (a)各加盟国は、二百五十票の外、自国の割当額の十万合衆国ドル相当額ごとに各一票の票数を有する。

 (b)第五条第四項又は第五項に基いて投票が必要であるときは、各加盟国が前記の(a)に基いて与えられた票数は、次の調整を受ける。但し、買入れ又は売却の純額は、いかなるときにも、その加盟国の割当額に等しい額をこえないものとみなす。

  (i)投票が行われる日までにその加盟国が行つた自国通貨の売却の純額の売却の純額の四十万合衆国ドル相当額ごとに各一票を加える。

  (ii)投票が行われる日までにその加盟国が行つた他の加盟国の通貨の買入れの純額の四十万合衆国ドル相当額ごとに各一票を減ずる。

 (c)本項に基くすべての計算上、合衆国ドルは、千九百四十四年七月一日現在の量目及び純分のものとみなす。但し、第四条第七項に基く一律変更の場合において、同条第八項(d)に基いて免除を行つたときは、その変更に応じて調整する。

 (d)別段の明文規定がある場合を除く外、基金のすべての決定は、投票の過半数によつて行う。

第六項 純収入の分配

 (a)総務会は、毎年、基金の純収入のうち準備金への繰入額及び、分配するときは、分配額を決定する。

 (b)分配を行うときは、各加盟国に対し、まず、その割当額の七十五パーセントが当該年度におけるその国の通貨の基金保有額の平均をこえる額について二パーセントの非累積的支払を行う。残額は、すべての加盟国に対しその割当額に比例して支払う。各加盟国に対する支払は、その国の通貨で行う。

第七項 報告の公表

 (a)基金は、監査済の計算書を含む年次報告を公表し、且つ、三箇月以内の期間ごとに、取引並びに金及び加盟国通貨の保有額に関する概要書を発表する。

 (b)基金は、その目的の達成に望ましいと認めるその他の報告を公表することができる。

第八項 加盟国に対する見解の通知

 基金は、いかなるときにも、この協定に基いて生ずる事項について基金の見解を加盟国に非公式に通知する権利を有する。基金は、加盟国の通貨又は経済の状態及び動向で直接に諸加盟国の国際収支の重大な不均衡を生ずる傾向を有するものについてその加盟国に与えた報告の公表を、総投票権数の三分の二の多数によつて決定することができる。その加盟国は、理事を任命する資格を有しないときは、本条第三項(j)に従つて代表者を出す資格を有する。基金は、加盟国の経済組織の基本的機構を変更することを内容とする報告を公表してはならない。

  第十三条 事務所及び寄託所

第一項 事務所の所在地

 基金の主たる事務所の所在地は、最大の割当額を有する加盟国の領域内とする。代理事務所又は支事務所は、その他の加盟国の領域に置くことができる。

第二項 寄託所

 (a)各加盟国は、自国通貨の基金保有全額の寄託所として中央銀行を指定し、また、中央銀行がないときは、基金が受託することができる他の機関を指定する。

 (b)基金は、金を含む他の資産を、最大の割当額を有する五加盟国が指定した寄託所及び基金が選定するその他の指定された寄託所において保有することができる。当初は、基金保有額の少くとも五十パーセントは、基金の主たる事務所がある加盟国が指定した寄託所において保有し、少くとも四十パーセントは、前記の五加盟国のうちの残余の四国が指定した寄託所において保有する。この場合において、すべて基金による金の移動は、輸送費及び予想される基金の必要に充分な考慮を払つて行わなければならない。緊急のときは、理事会は、基金の金保有額の全部又は一部を、適当に保護することができるいかなる場所にも移すことができる。

第三項 基金の資産の保障

 各加盟国は、基金の全資産について、自国が指定した寄託所の過失又は債務不履行から損失が生じないように保障する。

  第十四条 過渡期

第一項 序言

 基金は、救済若しくは復興のための便宜を与え、又は戦争から生じた国際の債務を処理することを目的とするものではない。

第二項 為替制限

 戦後の過渡期には、加盟国は、この協定の他の条の規定にかかわらず、経常的国際取引のための支払及び資金移動に対する制限を存続し、及び変化する状況に適応させること(領域を敵国に占領されている加盟国の場合には、必要なとき設定すること)ができる。この場合において、加盟国は、その外国為替政策について基金の目的を常に尊重しなければならない。また、事情の許す限りすみやかに、国際支払及び為替安定の維持を容易にするような通商上及び金融上の取極を他の加盟国と締結するため、すべての可能な措置をとらなければならない。特に、加盟国は、本項に基いて存続し、又は設定した制限がなくても、基金の資金の利用を過度に行わないような方法で支払残高を決済することができると認めたときは、その制限を直ちに撤廃しなければならない。

第三項 基金に対する通告

 各加盟国は、本条第二項の過渡的取極の利用を意図するか、又は第八条第二項、第三項及び第四項の義務を受託する用意があるかを、第二十条第四項(c)又は(d)に基いて基金から通貨を買い入れる資格を有するに至る前に基金に通告しなければならない。過渡的取極を利用する加盟国は、その後前記の義務を受託する用意ができたときは、直ちに基金に通告しなければならない。

第四項 制限に関する基金の措置

 基金は、業務を開始した日の後三年以内に及びその後毎年、本条第二項に基いてなお実施されている制限について報告する。第八条第二項、第三項又は第四項に合致しない制限をなお存続している加盟国は、基金が業務を開始した日の五年後及びその後毎年、将来の存続について基金と協議しなければならない。基金は、例外的状況において必要と認めたときは、この協定の他の条の規定に合致しない制限の特定のものの撤廃又は全般的な廃止に好都合な事情にあることを加盟国に表明することができる。加盟国は、その表明に回答するために適当な期間を与えられるものとする。加盟国が基金の目的に合致しない制限の存続を固執すると基金が認めたときは、その加盟国は、第十五第二項(a)の適用を受ける。

第五項 過渡期の性質

 基金は、加盟国との関係において、戦後の過渡期が変化及び調整の期間であることを認め、それに起因する加盟国提出の要請について決定するに当り、相当の疑義に対しては加盟国に有利に決する。

  第十五条 脱退

第一項 加盟国の脱退権

 加盟国は、基金に対する通告書を主たる事務所に送付することによつて、いつでも基金から脱退することができる。脱退は、通告を受領した日に効力を生ずる。

第二項 強制的脱退

 (a)加盟国がこの協定に基くいずれかの義務を履行しなかつたときは、基金は、その加盟国が基金の資金を利用する資格がないことを宣言することができる。本項の規定は、第四条第六項、第五条第五項又は第六条第一項の規定を制限するものとみなしてはならない。

 (b)相当の期間の経過後加盟国がこの協定に基くいずれかの義務の不履行を続けているとき、又は第四条第六項に基く加盟国と基金との間の意見の相違が継続しているときは、総務の過半数で総投票権数の過半数を代表するものによつて行われる総務会の決定によつて、その加盟国に基金からの脱退を要求することができる。

 (c)前記の(a)又は(b)に基いて加盟国に対して措置がとられるに先立つて、加盟国が相当の期間前に自国に対する抗議を受けて口頭及び書面の双方で釈明する適当な機会を与えられるようにするために、規則が採択されるものとする。

第三項 脱退した加盟国との勘定の決済

 加盟国が基金から脱退したときは、その国の通貨による基金の正常な取引を停止し、その国と基金との間のすべての勘定の決済を双方の間の協定によつて遅滯なく行う。協定がすみやかに成立しないときは、附表Dの規定を勘定の決済に適用する。

  第十六条 緊急措置

第一項 一時的停止

 (a)緊急の場合又は基金の業務を脅かす不測の事態が生じた場合には、理事会は、全会一致の表決により、百二十日以内の期間次の規定のいずれの適用も停止することができる。

  (i)第四条第三項及び第四項(b)

  (ii)第五条第二項、第三項、第七項並びに第八項(a)及び(f)

  (iii)第六条第二項

  (iv)第十一条第一項

 (b)理事会は、前記の規定のいずれかの適用を停止することを決定したときは、それと同時に、できる限り早い日に総務会の会合を招集する。

 (c)理事会は、百二十日をこえる期間にわたつて停止をすることができない。但し、総務会が総投票権数の五分の四の多数で決定したときは、更に二百四十日以内の期間この停止を延長することができる。この停止は、第十七条に基くこの協定の改正による場合を除く外、更に延長することができない。

 (d)理事会は、総投票権数の過半数によつて、この停止をいつでも解くことができる。

第二項 基金の清算

 (a)基金は、総務会の決定による場合を除く外、清算することができない。緊急の場合において、理事会は、基金の清算が必要であることを認めると決定したときは、総務会の決定があるまでの間、すべての取引を一時停止することができる。

 (b)総務会が基金を清算すると決定したときは、基金は、その資産の秩序ある取立及び清算並びにその負債の決済に附随する活動を除く外、いかなる活動に従事することも直ちに停止する。この協定に基く加盟国のすべての義務は、本条、第十八条(c)、附表Dの7及び附表Eに定めるものを除く外、終了する。

 (c)清算は、附表Eの規定に従つて行う。

  第十七条 改正

 (a)この協定を変更しようとする提案は、加盟国、総務又は理事会のいずれから提議されたものであつても、総務会の議長に送付し、議長は、この提案を総務会に提出する。改正案を総務会が承認したときは、基金は、すべての加盟国に対し改正案を受託するかどうかを同文の書簡又は電報で照会する。加盟国の五分の三で総投票権数の五分の四を有するものが改正案を受諾したときは、基金は、すべての加盟国にあてた公式の通報によつてその事実を確認する。

 (b)前記の(a)にかかわらず、次のものを変更する改正の場合には、すべての加盟国の受諾が必要である。

  (i)基金から脱退する権利(第十五条第一項)

  (ii)加盟国の割当額の変更はその国の同意なしに行つてはならないという規定(第三条第二項)

  (iii)加盟国通貨の平価はその国の提議があつたときを除く外変更することができないという規定(第四条第五項(b))

 (c)改正は、公式の通報の日の後三箇月ですべての加盟国について効力を生ずる。但し、同文の書簡又は電報中にそれより短い期間を明記したときは、この限りでない。

  第十八条 解釈

 (a)この協定の規定の解釈について加盟国と基金との間又は基金の加盟国相互の間に生ずる疑義は、理事会に提出して解決する。疑義が理事を任命する資格がない加盟国に特に関係があるときは、その加盟国は、第十二条第三項(j)に従つて代表者を出す資格を有する。

 (b)理事会が前記の(a)に基いて決定を与えた場合には、加盟国は、その疑義を総務会に付託することを要求することができる。総務会の決定は、最終的とする。総務会への付託の結果が判明するまでの間、基金は、必要と認める限り、理事会の決定に基いて行動することができる。

 (c)基金と脱退した加盟国との間又は、基金の清算中において、基金と加盟国との間に意見の相違が生じたときは、この意見の相違は、三人の仲裁人による仲裁に付する。仲裁人の一人は基金が、他の一人は加盟国又は脱退した加盟国が任命し、審判すべき一人は、当事者が別に協定しない限り、常設国際司法裁判所長又は基金が採択した規則で定める他の当局が任命する。審判すべき人は、いかなる手続問題に関して当事者の意見が相違する場合にも、その問題を解決する完全な権限を有する。

  第十九条 用語の説明

 この協定の規定を解釈するに当つては、基金及び加盟国は、次に定めるところによる。

 (a)加盟国の通貨準備とは、加盟国の、金、他の加盟国の交換可能通貨及び基金が指定する非加盟国の通貨の公的純保有額をいう。

 (b)加盟国の公的保有額とは、中央保有額(すなわち、国庫、中央銀行、安定基金その他これに類似する財務期間の保有額)をいう。

 (c)加盟国の他の公的機関又はその領域内の他の銀行の保有額は、個個の場合につき、基金が、当該加盟国と協議した後、運転資金を実質的にこえる部分に限り、公的保有額とみなすことができる。但し、個個の場合について保有額が運転資金をこえているかどうかを決定するためには、前記の保有額から、加盟国又は次の(d)に基いて推定される非加盟国の公的機関及びそれらの領域内の銀行に支払うべき通貨の額を控除しなければならない。

 (d)加盟国の交換可能通貨の保有額とは、第十四条第二項に基く過渡的取極を利用していない他の加盟国の通貨の保有額に、基金が随時指定する非加盟国の通貨の保有額を加えたものをいう。この(d)の適用上、通貨という語は、鋳貨、紙幣、銀行残高、銀行引受手形及び十二箇月をこえない期限で発行される政府債務証書を含むものとし、且つ、これらに限られない。

 (e)加盟国の通貨準備は、中央保有額から、他の加盟国又は前記の(d)に基いて指定される非加盟国の国庫、中央銀行、安定基金その他これに類似する財務機関に対する通貨債務並びに他の加盟国又は前記の(d)に基いて指定される非加盟国の他の公的機関及びそれらの領域内の他の銀行に対する類似の債務を控除して、計算する。これらの純保有額には、前記の(c)に基いて他の公的機関及び他の銀行の公的保有額とみなされる額を加えるものとする。

 (f)加盟国通貨の基金保有額は、第三条第五項に基いて基金が受領した証書を含むものとする。

 (g)基金は、第十四条第二項に基いて過渡的取極を利用している加盟国と協議した後、当該加盟国の通貨で他の通貨又は金に交換される特定の権利を伴うものの保有額を、通貨準備の計算上、交換可能通貨の保有額とみなすことができる。

 (h)第三条第三項に基く金出資額の計算上、加盟国の金及び合衆国ドルの公的保有額は、金及び合衆国通貨の公的保有額から、自国通貨の他国の中央保有額並びに自国通貨の他の公的機関及び他の銀行の保有額を、その自国通貨が金又は合衆国通貨に交換される特定の権利を伴う場合には、控除したものからなる。

 (i)経常取引のための支払とは、資本移動を目的としない支払をいい、次のものを含むものとし、且つ、これらに限られない。

  (1)外国貿易、役務を含むその他の経常的業務並びに正常な短期の銀行及び信用操作にして行われなければならないすべての支払

  (2)貸付に対する利子として及びその他の投資による純収入として行わなければならない支払

  (3)貸付の賦払償還又は直接投資の消却のための多額でない支払

  (4)家族の生計費のための多額でない送金

 基金は、関係加盟国と協議した後、個個の取引を経常取引と認めるか資本取引と認めるかを決定することができる。

  第二十条 最終規定

第一項 効力発生

 この協定は、割当額の合計が附表Aに掲げる割当額の総額の六十五パーセントに達する諸政府のために署名され、且つ、本条第二項(a)に掲げる文書がこれらの政府のために寄託された時に、効力を生ずる。但し、いかなる場合にも、千九百四十五年五月一日前に効力を生ずることはない。

第二項 署名

 (a)この協定の各署名政府は、その国内法に従つてこの協定を受諾したこと及びこの協定に基くすべての義務を履行するため必要なすべての措置をとつたことを述べた文書をアメリカ合衆国政府に寄託するものとする。

 (b)各政府は、前記の(a)に掲げる文書を寄託した日から基金の加盟国となる。但し、いかなる政府も、この協定が本条第一項に基いて効力を生ずる前に加盟国となることはない。

 (c)アメリカ合衆国政府は、附表Aに列記するすべての国の政府及び第二条第二項に従つて加盟を承認されたすべての政府に、この協定のすべての署名及び前記の(a)に掲げるすべての文書の寄託を通知する。

 (d)各政府は、この協定に署名した時に、基金の運営費に充てるため、当該政府の総出資額の一パーセントの百分の一を金又は合衆国ドルでアメリカ合衆国政府に送付するものとする。アメリカ合衆国政府は、この資金を特別預り金勘定として保有し、基金の総務会に、本条第三項に基いてその最初の会合が招集された時に送付するものとする。この協定が千九百四十五年十二月三十一日までに効力を生じなかつたときは、アメリカ合衆国政府は、この資金を送付した政府にその資金を返却するものとする。

 (e)この協定は、千九百四十五年十二月三十一日まで、附表Aに列記する国の政府のワシントンにおける署名のために開放しておく。

 (f)この協定は、千九百四十五年十二月三十一日後は、第二条第二項に従つて加盟を承認された国の政府の署名のために開放しておく。

 (g)すべての政府は、この協定の署名により、その政府のためにも、また、そのすべての殖民地、海外領土及びその保護、宗主権又は権威の下にあるすべての地域並びにその政府が委任統治を行うすべての地域についても、この協定を受諾する。

 (h)本土地域が敵国の占領下にある政府の場合には、前記の(a)に掲げる文書の寄託は、その地域が解放された日の後百八十日間延期することができる。但し、これらのいずれかの政府がこの期間の満了前に寄託をしなかつたときは、その政府が行つた署名は、無効となり、前記の(d)に基いて払い込んだ一部分の出資額は、その政府に返却するものとする。

 (i)本項(d)及び(h)は、各署名政府についてその署名の日から効力を生ずる。

第三項 基金の発足

 (a)この協定が本条第一項に基いて効力を生じたときは、直ちに、各加盟国は、総務を任命し、最大の割当額を有する加盟国は、総務会の第一回会合を招集する。

 (b)総務会の第一回会合では、臨時の理事の選定のための取極を行う。附表Aに最大の割当額を掲げられる五国の政府は、臨時の理事を任命する。これらの政府のうち一又は二以上が加盟国となつていないときは、当該一又は二以上の政府が任命する資格がある理事の職は、その政府が加盟国となる時又は千九百四十六年一月一日いずれか早い方の時まで空席とする。七人の臨時の理事は、附表Cの規定に従つて選任され、千九百四十六年一月一日後においてできる限り早く行われる理事の第一回定例選挙の日まで在任する。

 (c)総務会は、理事会に委任することができない権限を除く外、いかなる権限も臨時の理事会に委任することができる。

第四項 平価の第一次決定

 (a)基金は、近く為替取引を開始すべき状況になると認めたときは、加盟国にその旨を通告し、且つ、各加盟国に、この協定の効力発生の日の六十日前に行われていた為替相場に基くその国の通貨の平価を三十日以内に通知するように要請する。本土地域が敵国に占領されている加盟国は、その地域が主要な敵対行為の舞台である間又は基金が決定するその後の期間、この通知をすることを要求されない。その加盟国が自国通貨の平価を通知するときは、本項(d)の規定が適用される。

 (b)本土地域が敵国に占領されていない加盟国が通知した平価は、この協定の適用上、その加盟国の通貨の平価とする。但し、前記の(a)に掲げる要請を受けた後九十日以内に、(i)当該加盟国がその平価を不満足であると認める旨を基金に通告したとき、又は(ii)基金が、その平価を維持すれば基金及び諸加盟国に有害な程度に当該加盟国又はその他の加盟国が基金に依存することとなると認める旨を当該加盟国に通告したときは、この限りでない。前記の(i)又は(ii)に基いて通告が行われたときは、基金及び当該加盟国は、関係のあるすべての事情に照らして基金が定める期間内に、当該通貨について適当な平価を協定しなければならない。基金及び当該加盟国が前記の所定期間内に協定に達しないときは、その加盟国は、その期間の満了の日に基金から脱退したものとみなす。

 (c)加盟国通貨の平価が前記の(b)に基いて通告なしで九十日の期間の満了により又は通告後の協定により確定したときは、その加盟国は、この協定で許される最大限度まで他の加盟国の通貨を基金から買い入れる資格を有する。但し、基金が既に為替取引を始めている場合に限る。

 (d)本土地域が敵国に占領されている加盟国の場合には、前記の(b)の規定は、次のように変更して適用する。

  (i)九十日の期間は、基金と当該加盟国との間の協定で定める日に終るように延長する。

  (ii)その延長された期間内に、当該加盟国は、基金が既に為替取引を始めているときは、自国通貨で他の加盟国の通貨を基金から買い入れることができる。但し、基金が定める条件及び金額においてのみ行う。

  (iii)前記の(i)に基いて定める日の前はいつでも、前記の(a)に基いて通知した平価は、基金との協定で変更することができる。

 (e)本土地域が敵国に占領されている加盟国が前記の(d)(i)に基いて定める日の前に新しい通貨単位を採用したときは、その加盟国は、新単位について定めた平価を基金に通知するものとし、この場合には、前記の(d)の規定が適用される。

 (f)本項に基いて基金と協定した平価の変更は、提議された変更が第四条第五項(c)(i)、(ii)又は(iii)のいずれに該当するかを決定するに当り、考慮に入れない。

 (g)本土地域の通貨の平価を基金に通知する加盟国は、同時に、本条第二項(g)に基いて、この協定を受諾した地域に別個の通貨があるときは、それらの各通貨について本土地域の通貨による価値を通知しなければならない。但し、加盟国は、敵国に占領されている地域の別個の通貨については、その地域が主要な敵対行為の舞台である間又は基金が決定するその後の期間、通知することを要求されない。基金は、こうして通知された平価を基礎として別個の通貨のおのおのの平価を計算する。前記の(a)、(b)又は(d)に基く通貨の平価に関する基金への通知又は通告は、反対の表明がない限り、前記のすべての別個の通貨の平価に関する通知又は通告ともみなされる。但し、加盟国は、本土地域の通貨又はいずれかの別個の通貨のみに関する通知又は通告をすることができる。加盟国がこの通知又は通告をしたときは、本項(g)(別個の通貨が存する地域が敵国に占領されているときは、前記の(d)を含む。)の規定が、これらの通貨のおのおのに各別に適用される。

 (h)基金は、割当額の合計が附表Aに掲げる割当額の総額の六十五パーセントに達する諸加盟国が本項(a)から(g)までに従つて他の加盟国の通貨を買い入れる資格を有するに至つた後において基金が決定する日に、為替取引を開始する。但し、いかなる場合にも、ヨーロッパにおける主要な敵対行為が終了する前には、開始しない。

 (i)基金は、いずれかの加盟国と為替取引をすれば、その国の状況上、この協定の目的に反し、又は基金若しくは諸加盟国の利益を害するような基金の資金の利用を招来することとなると認めるときは、その国との為替取引を延期することができる。

 (j)千九百四十五年十二月三十一日後に加盟国となる希望を表明した政府の通貨の平価は、第二条第二項の規定に従つて決定する。

 本書一通をワシントンで作成した。この本書は、アメリカ合衆国政府の記録に寄託しておく。同政府は、附表Aに列記するすべての政府及び第二条第二項に従つて加盟を承認されたすべての政府に、その認証謄本を送付する。

 (署名省略)



附表A

割当額

              (単位 百万合衆国ドル)

オーストラリア    二〇〇

ベルギー       二二五

ボリヴィア      一〇

ブラジル   一五〇

カナダ    三〇〇

チリ     五〇

中国    五五〇

コロンビア   五〇

コスタ・リカ  五

キューバ   五〇

チェッコスロヴァキア  一二五

デンマーク   (注)

ドミニカ共和国   五

エクアドル     五

エジプト      四五

サルヴァドル   二・五

エティオピア   六

フランス    四五〇

ギリシャ    四〇

グァテマラ     五

ハイティ      五

ホンデュラス     二・五

アイスランド    一

インド    四〇〇

イラン   二五

イラーク  八

リベリア   〇・五

ルクセンブルグ  一〇

メキシコ    九〇

オランダ    二七五

ニュー・ジーランド   五〇

ニカラグァ    二

ノールウェー   五〇

パナマ    〇・五

パラグァイ   二

ペルー    二五

フィリピン連邦  一五

ポーランド   一二五

南アフリカ連邦   一〇〇

ソヴィエト社会主義共和国連邦   一二〇〇

連合王国    一三〇〇

合衆国        二七五〇

ウルグァイ      一五

ヴェネズエラ    一五

ユーゴースラヴィア    六〇

(注)デンマークの割当額は、デンマーク政府がこの協定に署名する用意があることを宣言した後、署名を行う前に、基金が定める。



附表B

加盟国による基金保有自国通貨の買いもどしに関する規定

1 第五条第七項(b)に基く基金からの加盟国通貨の買いもどしを各種の通貨準備、すなわち、金及び各交換可能通貨で行う範囲を定めるに当つては、次の2を留保して、次の原則を適用する。

 (a)加盟国の通貨準備がその年度内に増加しなかつたときは、基金に支払うべき金額は、その年度末において加盟国が保有する各種の通貨準備の額により、すべての種類の通貨準備にあん{前二文字傍点あり}分する。

 (b)加盟国の通貨準備がその年度内に増加したときは、基金に支払うべき金額のうちこの増加の半額相当額は、各種の通貨準備の増加額により、増加した種類の通貨準備にあん{前二文字傍点あり}分する。基金に支払うべき金額の残額は、加盟国が保有する各種の通貨準備の残額により、すべての種類の通貨準備にあん{前二文字傍点あり}分する。

 (c)第五条第七項(b)に基き必要なすべての買いもどしを行えば第五条第七項(c)に明記する限度のいずれかをこえる結果となるときは、基金は、加盟国がこの限度をこえない方法で比例的に買いもどしを行うことを要求する。

2 基金は、非加盟国の通貨を第五条第七項(b)及び(c)に基いて取得することはない。

3 第五条第七項(b)及び(c)の適用上通貨基準及び年度内の通貨準備の増加を計算するに当つては、従前交換不能であつた通貨で年度内に交換可能となつたもの、年度内に契約された長期若しくは中期の借款により得た保有額又は次年度内の借款の償還のために振替され若しくは保留されている保有額に基く通貨準備の増加は、算入しない。但し、加盟国がこれらの通貨又は保有額について別に控除しているときは、この限りでない。

4 本土地域が敵国に占領されている加盟国の場合には、本土地域内にある鉱山からこの協定の効力発生後五年間に新たに生産される金は、その国の通貨準備又はその増加の計算に入れない。



附表C

理事の選挙

1 選任理事の選挙は、第十二条第三項(b)(iii)及び(iv)に基いて投票する資格を有する総務の投票による。

2 第十二条第三項(b)(iii)に基いて選出すべき理事五人について投票するに当つては、投票する資格を有する各総務は、第十二条第五項(a)に基いて与えられたすべての票数を一人に投票しなければならない。最大の票数を得た五人は、理事となる。但し、得票数が投票可能の票数(有権票数)の総数の十九パーセントに達しなかつた者は、選出されなかつたものとする。

3 第一回の投票で五人が選出されなかつたときは、第二回の投票を行う。この投票においては、第一回の投票で最小の票数を得た者は、選出される資格がないものとし、(a)第一回の投票で選出されなかつた者にその際投票した総務及び(b)総務のうち、次の4に基いて、第一回の投票で選出された者にその際投票した票数によつてその者の得票数が有権票数の二十パーセントをこえることとなつたとみなされる者のみが投票する。

4 いずれの総務が投票した票数によつてある者の得票数が有権票数の二十パーセントをこえることとなつたとみなすかを決定するに当つては、この二十パーセントは、まずその者に対して最大の票数を投票した総務の票数を、次に第二位の票数を投票した総務の票数を、以下順次二十パーセントに達するまでの票数を含むものとみなす。

5 ある者の得票数が十九パーセントをこえることとなるためにいずれかの総務の票数の一部が計上されなければならないときは、その総務のすべての票数は、その者の得票数がこれにより二十パーセントをこえるときでも、その者に投票したものとみなす。

6 第二回の投票後五人が選出されなかつたときは、五人が選出されるまで同じ原則で更に投票を行う。但し、四人が選出された後は、第五の者は、残余の票数の単純多数決で選出することができるものとし、その者は、残余の票数のすべてによつて選出されたものとみなす。

7 第十二条第三項(b)(iv)に基いてアメリカの諸共和国が選挙すべき理事は、次のとおり選出する。

 (a)各理事は、別個に選出する。

 (b)第一の理事の選挙では、選挙に参加する資格を有するアメリカの共和国を代表する各総務は、与えられたすべての票数を一人に投票する。最大の票数を得た者は、得票数が総票数の四十五パーセントに達しなかつた場合を除く外、選出されたものとする。

 (c)第一回の投票で何人も選出されなかつたときは、一人が前記の(b)に基いて選出されるに足りる票数を得るまで、更に投票を行う。その各投票においては、前回の投票で最小の票数を得た者は、投票される資格がない。

 (d)総務のうちその票数が第一の理事の選出に寄与した者は、第二の理事の選挙に参加しない。

 (e)第一の理事の選挙で当選しなかつた者は、第二の理事として選出されることを妨げない。

 (f)第二の理事の選出には、投票可能の票数の過半数を必要とする。第一回の投票で何人も過半数を得なかつたときは、何人かが過半数を得るまで、更に投票を行う。その各投票においては、前回の投票で最小の票数を得た者は、投票される資格がない。

 (g)第二の理事は、その者が選出された投票において投票可能であつた票数のすべてによつて選出されたものとみなす。



附表D

脱退した加盟国との勘定の決済

1 基金は、脱退した加盟国に対し、その割当額に等しい額に基金が支払うべき他の額を加えた額から、脱退の日の後に生じた手数料を含めて基金に支払われるべき額を減じたものを支払う義務を有する。但し、脱退の日の六箇月後までは支払を行わない。支払は、脱退した加盟国の通貨で行う。

2 脱退した加盟国の通貨の基金保有額が基金の支払うべき純額に足りないときは、残額は、金又は協定する他の方法で支払う。基金及び脱退した加盟国が脱退の日から六箇月以内に協定に達しなかつたときは、基金が保有する脱退した加盟国の通貨は、その国に直ちに支払う。支払うべき残額は、その後の五年間に十回の半年賦で支払う。この各賦払は、基金の選択により、脱退後に取得したその国の通貨で又は金の引き渡しによつて行う。

3 基金が前記の2に従つて支払うべき賦払を行わなかつたときは、脱退した加盟国は、第七条第三項に基いて不足であることを宣言された通貨を除く外、基金が保有するいずれかの通貨で賦払を行うことを基金に要求する資格を有する。

4 脱退した加盟国の通貨の基金保有額がその国に支払うべき額を超過している場合において、脱退の日から六箇月以内に勘定の決済の方法に関する協定が成立しなかつたときは、その旧加盟国は、その超過している通貨を金又は、自国の選択により、当時交換可能の加盟国通貨と引換に回収する義務を有する。回収は、基金からの脱退の時の平価による相場で行う。脱退した加盟国は、脱退の日から五年以内又は、基金がそれより長い期間を定めたときは、その期間内に回収を完了しなければならない。但し、いずれの半年の期間内にも、脱退の日におけるその通貨の基金の超過保有額の十分の一にその半年の期間内におけるその通貨の新規取得額を加えた額をこえる額の回収を要求されることはない。脱退した加盟国が前記の義務を履行しなかつたときは、基金は、回収されるべき額の通貨をいかなる市場においても秩序ある方法で清算することができる。

5 脱退した加盟国の通貨を取得することを希望する加盟国は、その加盟国が基金の資金を利用することができる限度及び脱退した加盟国の通貨が前記の4に基いて使用可能である限度までは、基金からの買入れによつてその通貨を取得しなければならない。

6 脱退した加盟国は、前記の4及び5に基いて処分された通貨を貨物の買入れ又は自国若しくはその領域内の者に支払われるべき金額の支払のためいつでも無制限に使用することができるように保障するものとする。その国は、脱退の日におけるその通貨の平価と前記の4及び5に基く処分に当つて基金が得たその通貨の価値との差から生ずる損失を基金に補償しなければならない。

7 加盟国が脱退した日から六箇月以内に基金が第十六条第二項に基いて清算を開始する場合には、基金とその国の政府との勘定は、第十六条第二項及び附表Eに従つて決済する。



附表E

清算の執行

1 清算の場合には、出資額の返還以外の基金の負債は、基金の資産の分配において優先する。この負債を弁済するに当つては、基金は、その資産を次の順序で使用する。

 (a)その負債の支払に充てることができる通貨

 (b)金

 (c)その他のすべての通貨。但し、できる限り加盟国の割当額に比例して使用することを要する。

2 前記の1に従つて基金の負債を弁済した後は、基金の資産の残額は、次のとおり分配し、及び割り当てる。

 (a)基金は、金の保有額を、加盟国のうちその国の通貨の基金保有額が割当額未満であるものの間に分配する。これらの加盟国は、こうして分配される金を、割当額が自国通貨の基金保有額をこえる額に比例して分配される。

 (b)基金は、各加盟国にその国の通貨の基金保有額の二分の一を分配する。但し、この分配は、その国の割当額の五十パーセントをこえてはならない。

 (c)基金は、各通貨の保有額の残額を、前記の(a)及び(b)に基く分配の後に各加盟国に支払うべき額に比例して全加盟国の間に割り当てる。

3 各加盟国は、前記の2(c)に基いて他の加盟国に割り当てられた自国通貨の保有額を回収し、清算の決定後三箇月以内に、この回収のための秩序ある手続について基金と協定しなければならない。

4 加盟国が前記の3に掲げる三箇月の期間内に基金と協定することができなかつたときは、基金は、前記の2(c)に基いてその加盟国に割り当てられた他の加盟国の通貨を、他の加盟国に割り当てられたその加盟国の通貨を回収するために使用する。協定することができなかつた加盟国に割り当てられた各通貨は、できる限り、その国の通貨で前記の3に基いて基金と協定した加盟国に割り当てられたものを回収するために使用する。

5 加盟国が前記の3に従つて基金と協定したときは、基金は、前記の2(c)に基いてその加盟国に割り当てられた他の加盟国の通貨を、この加盟国の通貨で前記の3に基いて基金と協定した他の加盟国に割り当てられたものを回収するために使用する。こうして回収される額は、割当を受けた加盟国の通貨で回収する。

6 前記の1から5までを実施した後は、基金は、各加盟国に対し、その国の勘定で保有する残余の通貨を支払う。

7 自国通貨が前記の6に基いて他の加盟国に分配された各加盟国は、その通貨を金若しくは、自己の選択により、回収を要請する加盟国の通貨又は両国間で協定する他の方法で回収する。関係加盟国が別に協定した場合を除く外、回収する義務を負う加盟国は、分配の日から五年以内に回収を完了しなければならない。但し、いずれの半年の期間内にも、他の加盟国に分配された額の十分の一をこえる額の回収を要求されることはない。加盟国が前記の義務を履行しなかつたときは、回収されるべき額の通貨は、いかなる市場においても秩序ある方法で清算することができる。

8 自国通貨が前記の6に基いて他の加盟国に分配された各加盟国は、自国通貨を貨物の買入れ又は自国若しくはその領域内の者に支払われるべき金額の支払のためいつでも無制限に使用することができるように保障する。この義務を負う各加盟国は、基金の清算の決定の日における自国通貨の平価と自国通貨の処分に当つて当該他の加盟国が得た自国通貨の価値との差から生ずる損失を当該他の加盟国に補償することに同意する。



条及び項の目次

一 目的

二 加盟国の地位

 一 原加盟国

 二 その他の加盟国

三 割当額及び出資

 一 割当額

 二 割当額の調整

 三 出資——その払込の時期、場所及び形式

 四 割当額が変更された場合の支払

 五 証書による通貨の代用

四 通貨の平価

 一 平価の表示

 二 平価を基礎とする金の買入れ

 三 平価による相場を基礎とする外国為替取引

 四 為替の安定に関する義務

 五 平価の変更

 六 認められていない変更の効果

 七 平価の一律変更

 八 基金の資産の金による価額の維持

 九 加盟国の管轄地域内における別個の通貨

五 基金との取引

 一 基金と取引を行う機関

 二 基金の取引に対する制限

 三 基金の資金の利用に関する条件

 四 条件の免除

 五 基金の資金を利用する資格の喪失

 六 金による基金からの通貨の買入れ

 七 加盟国による基金保有自国通貨の買いもどし

 八 手数料

六 資本移動

 一 資本移動のための基金の資金の利用

 二 資本移動に関する特別規定

 三 資本移動の管理

七 不足通貨

 一 通貨の一般的不足

 二 不足通貨の基金保有額を補充する措置

 三 基金保有額の不足 

 四 制限の適用

 五 制限に対する他の国際協定の効果

八 加盟国の一般的義務

 一 序言

 二 経常的支払に対する制限の回避

 三 差別的通貨措置の回避

 四 外国保有残高の交換可能性

 五 情報の提供

 六 現行の国際協定に関する加盟国間の協議

九 地位、免除及び特権

 一 本条の目的

 二 基金の地位

 三 訴訟手続の免除

 四 その他の行為の免除

 五 文書に関する免除

 六 資産に対する制限の免除

 七 通信に関する特権

 八 職員及び使用人の免除及び特権

 九 課税の免除

 十 本条の適用

十 他の国際機関との関係

十一 非加盟国との関係

 一 非加盟国との関係に関する約束

 二 非加盟国との取引に対する制限

十二 組織及び運営

 一 基金の機構

 二 総務会

 三 理事会

 四 専務理事及び職員

 五 投票

 六 純収入の分配

 七 報告の公表

 八 加盟国に対する見解の通知

十三 事務所及び寄託所

 一 事務所の所在地

 二 寄託所

 三 基金の資産の保障

十四 過渡期

 一 序言

 二 為替制限

 三 基金に対する通告

 四 制限に関する基金の措置

 五 過渡期の性質

十五 脱退

 一 加盟国の脱退権

 二 強制的脱退

 三 脱退した加盟国との勘定の決済

十六 緊急措置

 一 一時的停止

 二 基金の清算

十七 改正

十八 解釈

十九 用語の説明

二十 最終規定

 一 効力発生

 二 署名

 三 基金の発足

 四 平価の第一次決定



附表

附表A 割当額

附表B 加盟国による基金保有自国通貨の買いもどしに関する規定

附表C 理事の選挙

附表D 脱退した加盟国との勘定の決済

附表E 清算の執行



締約国一覧表(昭三九、九、一調)

国名署名の日受諾書寄託の日
アフガニスタン    一九五五、七、四
アルゼンティン    一九五六、九、二〇
オーストラリア一九四七、八、五一九四七、八、五
オーストリア一九四八、八、二七一九四八、八、二七
ベルギー一九四五、一二、二七一九四五、一二、二七
ボリヴィア一九四五、一二、二七一九四五、一二、二七
ブラジル一九四五、一二、二七一九四六、一、一四
ビルマ一九五二、一、三一九五二、一、三
カメルーン    一九六三、七、一〇
カナダ一九四五、一二、二七一九四五、一二、二七
中央アフリカ共和国    一九六三、七、一〇
セイロン一九五〇、八、二九一九五〇、八、二九
チャード    一九六三、七、一〇
チリ一九四五、一二、三一一九四五、一二、三一
中国一九四五、一二、二七一九四五、一二、二七
コンゴー(ブラザヴィル)    一九六三、七、一〇
コロンビア一九四五、一二、二七一九四五、一二、二七
コスタ・リカ一九四五、一二、二七一九四六、一、八
キューバ一九四五、一二、三一一九四六、三、一四
ダホメ    一九六三、七、一〇
デンマーク一九四六、三、三〇一九四六、三、三〇
ドミニカ一九四五、一二、二八一九四五、一二、二八
エクアドル一九四五、一二、二七一九四五、一二、二八
エル・サルヴァドル一九四五、三、一四一九四六、三、一四
エティオピア一九四五、一二、二七一九四五、一二、一二
フィンランド一九四八、一、一四一九四八、一、一四
フランス一九四五、一二、二七一九四五、一二、二七
ドイツ一九五二、八、一四一九五二、八、一四
ガーナ    一九五七、九、二〇
ギリシャ一九四五、一二、二七一九四五、一二、二六
グァテマラ一九四五、一二、二七一九四五、一二、二七
ハイティ一九五三、九、八一九五三、九、八
ホンデュラス一九四五、一二、二七一九四五、一二、二六
アイスランド一九四五、一二、二七一九四五、一二、二七
インド一九四五、一二、二七一九四五、一二、二七
インドネシア    一九五四、四、一五
イラン一九四五、一二、二八一九四五、一二、二九
イラク一九四五、一二、二七一九四五、一二、二六
アイルランド    一九五七、八、八
イスラエル一九五四、七、一二一九五四、七、一二
イタリア一九四七、三、二七一九四七、三、二七
象牙海岸    一九六三、三、二
ジャマイカ    一九六三、二、二一
日本国一九五二、八、一四一九五二、八、一四
ジョルダン一九五二、八、二九一九五二、八、二九
ケニア    一九六四、二、三
朝鮮    一九五五、八、二六
クウェイト    一九六二、九、一三
ラオス    一九六一、七、五
レバノン一九四七、四、一四一九四七、四、一一
リビア    一九五八、九、一七
ルクセンブルグ一九四五、一二、二七一九四五、一二、二六
マラヤ    一九五八、三、七
メキシコ一九四五、一二、三一一九四五、一二、三一
モロッコ    一九五八、四、二五
オランダ一九四五、一二、二七一九四五、一二、二六
ニカラグァ一九四六、三、一四一九四六、三、一四
ニジェール    一九六三、四、二四
ナイジェリア    一九六一、三、三〇
ノールウェー一九四五、一二、二七一九四五、一二、二七
パキスタン一九五〇、七、二一九五〇、七、二
パナマ一九四六、三、一四一九四六、三、一四
パラグァイ一九四五、一二、二七一九四五、一二、二八
ペルー一九四五、一二、三一一九四五、一二、三一
フイリッピン一九四五、一二、二七一九四五、一二、二一
ポルトガル    一九六一、三、二九
サウディ・アラビア    一九五七、八、二六
セネガル    一九六二、八、三一
シエラ・レオーネ    一九六二、九、一〇
ソマリア    一九六二、八、三一
スペイン    一九五八、九、一五
スーダン    一九五七、九、五
スウェーデン一九五一、八、三一一九五一、八、三一
シリア    一九四七、四、一〇
タンガニイカ    一九六二、九、一〇
タイ一九四九、五、三一九四九、五、三
トーゴー    一九六二、八、一
テュニジア    一九五八、四、一四
トルコ一九四七、三、一一一九四七、三、一一
南アフリカ連邦一九四五、一二、二七一九四五、一二、二六
アラブ連合一九四五、一二、二七一九四五、一二、二六
連合王国一九四五、一二、二七一九四五、一二、二七
アメリカ合衆国一九四五、一二、二七一九四五、一二、二〇
ウルグワイ一九四五、一二、二七一九四六、三、一一
ヴェネズェラ一九四六、一二、三〇一九四六、一二、三〇
ヴィエトナム    一九五六、九、二一
ユーゴースラヴィア一九四五、一二、二七一九四五、一二、二六