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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)

[場所] ハーグ
[年月日] 1983年12月1日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

この条約の署名国は、

子の監護に関する事項において子の利益が最も重要であることを深く確信し、

不法な連れ去り又は留置によって生ずる有害な影響から子を国際的に保護すること並びに子が常居所を有していた国への当該子の迅速な返還を確保する手続及び接触の権利の保護を確保する手続を定めることを希望し、

このための条約を締結することを決定して、次のとおり協定した。

第一章 条約の適用範囲

第一条

この条約は、次のことを目的とする。

a いずれかの締約国に不法に連れ去られ、又はいずれかの締約国において不法に留置されている子の迅速な返還を確保すること。

b 一の締約国の法令に基づく監護の権利及び接触の権利が他の締約国において効果的に尊重されることを確保すること。

第二条

締約国は、自国の領域内においてこの条約の目的の実現を確保するため、全ての適当な措置をとる。このため、締約国は、利用可能な手続のうち最も迅速なものを用いる。

第三条

子の連れ去り又は留置は、次のa及びbに該当する場合には、不法とする。

a 当該連れ去り又は留置の直前に当該子が常居所を有していた国の法令に基づいて個人、施設又は他の機関が共同又は単独で有する監護の権利を侵害していること。

b 当該連れ去り若しくは留置の時にaに規定する監護の権利が共同若しくは単独で現実に行使されていたこと又は当該連れ去り若しくは留置がなかったならば当該権利が共同若しくは単独で現実に行使されていたであろうこと。

aに規定する監護の権利は、特に、法令の適用により、司法上若しくは行政上の決定により、又はaに規定する国の法令に基づいて法的効果を有する合意により生ずるものとする。

第四条

この条約は、監護の権利又は接触の権利が侵害される直前にいずれかの締約国に常居所を有していた子について適用する。この条約は、子が十六歳に達した場合には、適用しない。

第五条

この条約の適用上、

a 「監護の権利」には、子の監護に関する権利、特に、子の居所を決定する権利を含む。

b 「接触の権利」には、一定の期間子をその常居所以外の場所に連れて行く権利を含む。

第二章 中央当局

第六条

締約国は、この条約により中央当局に対して課される義務を履行するため、一の中央当局を指定する。

連邦制の国、二以上の法制を有する国並びに自治権及び領域的管轄を有する組織を有する国は、二以上の中央当局を指定し、その権限が及ぶ領域の範囲を定めることができる。二以上の中央当局を指定した国は、申請が自国内の適当な中央当局に移送されるよう、申請の送付先となる一の中央当局を指定する。

第七条

中央当局は、子の迅速な返還を確保し、及びこの条約の他の目的を達成するため、相互に協力し、及びそれぞれの国内における権限のある当局の間の協力を促進する。

特に、中央当局は、直接に又は仲介者を通じて、次の事項を目的として、全ての適当な措置をとる。

a 不法に連れ去られ、又は留置されている子の所在を特定すること。

b 暫定措置をとり、又はとらせることによって、子に対する更なる害悪又は利害関係者に対する不利益を防止すること。

c 子の任意の返還を確保し、又は問題の友好的な解決をもたらすこと。

d 望ましい場合には、子の社会的背景に関する情報を交換すること。

e この条約の適用に関連する自国の法令につき一般的な情報を提供すること。

f 子の返還を得るための司法上若しくは行政上の手続を開始し、又は当該手続の開始について便宜を与えること、及び適当な場合には接触の権利について内容を定め、又は効果的な行使を確保するように取り計らうこと。

g 状況により必要とされる場合には、法律に関する援助及び助言(弁護士その他法律に関する助言者の参加を含む。)を提供し、又はこれらの提供について便宜を与えること。

h 子の安全な返還を確保するための必要かつ適当な行政上の措置をとること。

i この条約の実施に関する情報を常に相互に通報し、及びこの条約の適用に対する障害を可能な限り除去すること。

第三章 子の返還

第八条

監護の権利が侵害されて子が連れ去られ、又は留置されたと主張する個人、施設又は他の機関は、当該子の常居所の中央当局又は他の締約国の中央当局に対し、当該子の返還を確保するための援助の申請を行うことができる。

当該申請には、次のものを含める。

a 申請者、子及び当該子を連れ去り、又は留置しているとされる者の特定に関する情報

b 可能な場合には、子の生年月日

c 申請者が子の返還を請求する根拠

d 子の所在及び子と共に所在すると推定される者の特定に関する全ての入手可能な情報当該申請に次のものを添付し、又は当該申請を次のものにより補足することができる。

e 関係する決定又は合意の写しであって、証明を受けたもの

f 子が常居所を有していた国の関係法令に関する証明書又は宣誓供述書であって、当該国の中央当局その他の権限のある当局又は資格を有する者が作成したもの

g その他の関係文書

第九条

前条に規定する申請を受領した中央当局は、子が他の締約国に現に所在すると信ずるに足りる理由がある場合には、当該申請を当該他の締約国の中央当局に直接かつ遅滞なく移送し、要請を行った中央当局又は申請者に対しその旨を通知する。

第十条

子が現に所在する国の中央当局は、当該子が任意に返還されるよう全ての適当な措置をとり、又はとらせる。

第十一条

締約国の司法当局又は行政当局は、子の返還のための手続を迅速に行う。

関係する司法当局又は行政当局が当該手続の開始の日から六週間以内に決定を行うことができない場合には、申請者は、遅延の理由を明らかにするよう要求する権利を有するものとし、要請を受けた国の中央当局は、自己の職権により又は要請を行った国の中央当局が求めるときは、遅延の理由を明らかにするよう要求する権利を有する。要請を受けた国の中央当局は、その要求への回答を受領したときは、当該回答を要請を行った国の中央当局又は申請者に転送する。

第十二条

子が第三条の規定の意味において不法に連れ去られ、又は留置されている場合において、当該子が現に所在する締約国の司法当局又は行政当局が手続を開始した日において当該子の不法な連れ去り又は留置の日から一年が経過していないときは、当該司法当局又は行政当局は、直ちに、当該子の返還を命ずる。

司法当局又は行政当局は、前項に規定する一年が経過した後に手続を開始した場合においても、子が新たな環境に適応していることが証明されない限り、当該子の返還を命ずる。

要請を受けた国の司法当局又は行政当局は、子が他の国に連れ出されたと信ずるに足りる理由がある場合には、当該子の返還のための手続を中止し、又は当該子の返還の申請を却下することができる。

第十三条

前条の規定にかかわらず、要請を受けた国の司法当局又は行政当局は、子の返還に異議を申し立てる個人、施設又は他の機関が次のいずれかのことを証明する場合には、当該子の返還を命ずる義務を負わない。

a 子を監護していた個人、施設又は他の機関が、連れ去り若しくは留置の時に現実に監護の権利を行使していなかったこと、連れ去り若しくは留置の時以前にこれに同意していたこと又は連れ去り若しくは留置の後にこれを黙認したこと。

b 返還することによって子が心身に害悪を受け、又は他の耐え難い状態に置かれることとなる重大な危険があること。

司法当局又は行政当局は、子が返還されることを拒み、かつ、その意見を考慮に入れることが適当である年齢及び成熟度に達していると認める場合には、当該子の返還を命ずることを拒むことができる。

司法当局又は行政当局は、この条に規定する状況について検討するに当たり、子の社会的背景に関する情報であって当該子の常居所の中央当局その他の権限のある当局により提供されるものを考慮に入れる。

第十四条

要請を受けた国の司法当局又は行政当局は、第三条の規定の意味において不法な連れ去り又は留置があったか否かを確認するに当たり、子が常居所を有していた国の法令及び司法上又は行政上の決定(当該国において正式に承認されたものであるか否かを問わない。)を、当該法令に関する証明のため又は外国の決定の承認のために適用される特定の手続がある場合においてもこれによることなく、直接に考慮することができる。

第十五条

締約国の司法当局又は行政当局は、子の連れ去り又は留置が第三条の規定の意味において不法なものであるとの決定又は判断を申請者が当該子が常居所を有していた国において得ることができる場合には、当該子の返還を命ずる前に、当該申請者に対し当該決定又は判断を得るよう要請することができる。締約国の中央当局は、申請者が当該決定又は判断を得ることをできる限り援助する。

第十六条

子が自国に連れ去られ、又は自国において留置されている締約国の司法当局又は行政当局は、当該子が第三条の規定の意味において不法に連れ去られ、又は留置されている旨の通知を受領した後は、この条約に基づいて子が返還されないことが決定されるまで又はこの条約に基づく申請が当該通知を受領した後合理的な期間内に行われない場合を除くほか、監護の権利についての本案の決定を行わない。

第十七条

要請を受けた国において監護に関する決定が行われたという事実又は当該国において当該決定が承認され得るという事実のみをもって、この条約に基づく子の返還を拒む根拠としてはならない。もっとも、要請を受けた国の司法当局又は行政当局は、この条約の適用に当たり、当該決定の理由を考慮することができる。

第十八条

この章の規定は、司法当局又は行政当局が有するいつでも子の返還を命ずる権限を制限するものではない。

第十九条

この条約に基づく子の返還に関する決定は、監護の権利についての本案の判断としてはならない。

第二十条

第十二条の規定に基づく子の返還については、要請を受けた国における人権及び基本的自由の保護に関する基本原則により認められないものである場合には、拒むことができる。

第四章 接触の権利

第二十一条

接触の権利について内容を定め、又は効果的な行使を確保するように取り計らうことを求める申請は、締約国の中央当局に対して、子の返還を求める申請と同様の方法によって行うことができる。

中央当局は、接触の権利が平穏に享受されること及び接触の権利の行使に当たり従うべき条件が満たされることを促進するため、第七条に定める協力の義務を負う。中央当局は、接触の権利の行使に対するあらゆる障害を可能な限り除去するための措置をとる。

中央当局は、接触の権利について内容を定め、又は保護するため及び接触の権利の行使に当たり従うべき条件が尊重されることを確保するため、直接に又は仲介者を通じて、手続を開始し、又はその開始について援助することができる。

第五章 一般規定

第二十二条

いかなる保証、担保及び供託(その名称のいかんを問わない。)も、この条約の適用を受ける司法上又は行政上の手続に要する費用の支払を保証するために要求してはならない。

第二十三条

認証その他これに類する手続は、この条約との関係において要求することができない。

第二十四条

要請を受ける国の中央当局に送付される申請、連絡その他の文書は、原語によるものとし、当該国の公用語又はこれが実現不可能な場合にはフランス語若しくは英語による翻訳を添付する。

ただし、締約国は、第四十二条の規定に従って留保を付することにより、自国の中央当局に送付される申請、連絡その他の文書におけるフランス語又は英語のいずれか一方の使用を拒むことができる。

第二十五条

締約国の国民及び締約国に常居所を有する者は、この条約の適用に関係のある事項に関し、他の締約国において、当該他の締約国の国民及び当該他の締約国に常居所を有する者と同一の条件で法律に関する援助及び助言を受けることができる。

第二十六条

各中央当局は、この条約を適用するに当たり要する自己の費用を負担する。

中央当局その他締約国の公の当局は、この条約に基づいて行われた申請に係るいかなる手数料も徴収してはならない。これらの当局は、特に、手続の費用及び弁護士その他法律に関する助言者が参加した場合にはその参加により生ずる費用の支払を申請者に要求することができない。ただし、これらの当局は、子の返還の実施のために要した費用又は将来要する費用の支払については、要求することができる。

前項の規定にかかわらず、締約国は、第四十二条の規定に従って留保を付することにより、前項に規定する費用であって弁護士その他法律に関する助言者の参加又は裁判所における手続により生ずるものを自国の法律に関する援助及び助言に係る制度によって負担することができる場合を除くほか負担する義務を負わない旨を宣言することができる。

司法当局又は行政当局は、この条約に基づいて子の返還を命じ、又は接触の権利に関する命令を発する際に、適当な場合には、子を連れ去り、若しくは留置した者又は接触の権利の行使を妨げた者に対し、申請者により又は申請者のために支払われた必要な費用(旅費、子の所在を特定するために要した費用又は支払、申請者の法律上の代理人に係る費用及び子の返還に要する費用を含む。)を支払うよう命ずることができる。

第二十七条

申請がこの条約に定める要件を満たしていないこと又は申請に十分な根拠がないことが明白である場合には、中央当局は、当該申請を受理する義務を負わない。この場合において、中央当局は、その理由を申請者又は当該申請を移送した中央当局に対して直ちに通知する。

第二十八条

中央当局は、申請者のために行動する権限又は申請者のために行動する代理人を指名する権限を当該中央当局に委任する書面を申請に添付するよう要求することができる。

第二十九条

この条約は、第三条又は第二十一条の規定の意味における監護の権利又は接触の権利の侵害があったと主張する個人、施設又は他の機関が、締約国の司法当局又は行政当局に直接に申請(この条約に基づくものであるか否かを問わない。)を行うことを妨げるものではない。

第三十条

この条約に従い締約国の中央当局に対して又は直接司法当局若しくは行政当局に対して行われた全ての申請は、これに添付され、又はいずれかの中央当局によって提供された文書その他の情報と共に、締約国の裁判所又は行政当局において受理されるものとする。

第三十一条

子の監護に関して領域内の異なる地域に適用される二以上の法制を有する国に関し、

a 当該国における「常居所」というときは、当該国の領域内のいずれかの地域における常居所をいうものとする。

b 「常居所を有していた国の法令」というときは、当該国の領域内の地域であって子が常居所を有していたものの法令をいうものとする。

 第三十二条

子の監護に関して異なる範疇の者に適用される二以上の法制を有する国に監視、「国の法令」というときは、当該国の法令において特定する法制をいうものとする。

 第三十三条

子の監護に関する法令を領域内の地域ごとに異にする国は、単一の法制を有する国がこの条約を適用する義務を負わない場合には、この条約を適用する義務を負わない。

 第三十四条

この条約及び千九百六十一年十月五日の未成年の保護に関する当局の権限及び準拠法に関する条約の双方の締約国の間においては、この条約の適用範囲内の事項については、この条約が優先して適用される。この条約は、不法に連れ去られ、若しくは留置された子の変換を得ること又は接触の権利の内容を定めることを目的として、要請を行う国と要請を受ける国との間で効力を有するほかの国際文書又は要請を受ける国のほかの法令を適用することを制限するものではない。

第三十五条

この条約は、締約国間において、この条約が当該締約国について効力を生じた後に行われた不法な連れ去り又は留置についてのみ適用する。

第三十九条又は第四十条の規定に基づく宣言が行われた場合には、前項に規定する「締約国」とは、この条約が適用される領域内の地域をいうものとする。

第三十六条

この条約のいかなる規定も、二以上の締約国が、子の返還に関して受ける制約を限定するため、この条約の規定であってこのような制約を伴い得るものの適用を排除することをこれらの締約国の間において合意することを妨げるものではない。

第六章 最終条項

第三十七条

この条約は、ハーグ国際私法会議の第十四回会期の時に同会議の構成国であった国による署名のために開放しておく。

この条約は、批准され、受諾され、又は承認されなければならない。批准書、受諾書又は承認書は、オランダ王国外務省に寄託する。

第三十八条

その他の国は、この条約に加入することができる。

加入書は、オランダ王国外務省に寄託する。

この条約は、これに加入する国については、加入書の寄託の後三番目の月の初日に効力を生ずる。

加入は、加入国とその加入を受け入れる旨を宣言した締約国との間においてのみ効力を有する。いずれかの国の加入の後この条約を批准し、受諾し、又は承認する構成国は、その旨の宣言を行わなければならない。これらの宣言は、オランダ王国外務省に寄託するものとし、同省は、その認証謄本を外交上の経路を通じて各締約国に送付する。

この条約は、加入国とその加入を受け入れる旨を宣言した国との間においては、受け入れる旨の宣言の寄託の後三番目の月の初日に効力を生ずる。

第三十九条

いずれの国も、署名、批准、受諾、承認又は加入の際に、自国が国際関係について責任を有する領域の全部又は一部についてこの条約を適用することを宣言することができる。その宣言は、この条約が当該国について効力を生ずる時に効力を生ずる。

この宣言及びその後の適用領域の拡大は、オランダ王国外務省に通告する。

第四十条

この条約が対象とする事項に関して異なる法制が適用される二以上の地域をその領域内に有する締約国は、署名、批准、受諾、承認又は加入の際に、この条約を自国の領域内の全ての地域に適用するか又は一若しくは二以上の地域についてのみ適用するかを宣言することができるものとし、別の宣言を行うことによりその後いつでもこの宣言を変更することができる。

これらの宣言は、オランダ王国外務省に通告するものとし、この条約が適用される領域内の地域を明示する。

第四十一条

締約国が自国内において行政上、司法上及び立法上の権限が中央の当局とその他の当局とに配分された統治体制を有する場合には、当該締約国がこの条約に署名し、これを批准し、受諾し、若しくは承認し、若しくはこれに加入し、又は前条の規定に基づき宣言を行うことは、当該締約国内における権限の配分に何ら影響を及ぼすものではない。

第四十二条

いずれの国も、批准、受諾、承認若しくは加入の時までに又は第三十九条若しくは第四十条の規定に基づく宣言を行う時に、第二十四条又は第二十六条第三項に規定する留保の一方又は双方を付することができる。その他のいかなる留保も、認められない。

いずれの国も、いつでも、自国が付した留保を撤回することができる。撤回は、オランダ王国外務省に通告する。

留保は、前項の通告の後三番目の月の初日に効力を失う。

第四十三条

この条約は、第三十七条及び第三十八条に規定する批准書、受諾書、承認書又は加入書のうち三番目に寄託されるものの寄託の後三番目の月の初日に効力を生ずる。

その後は、この条約は、次の日に効力を生ずる。

1 その後にこの条約を批准し、受諾し、若しくは承認し、又はこれに加入する国については、その批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の後三番目の月の初日

2 第三十九条又は第四十条の規定に従ってこの条約が適用される領域又は領域内の地域については、これらの規定による通告の後三番目の月の初日

第四十四条

この条約は、前条第一項の規定に従って効力を生じた日から五年間効力を有する。その日以後にこの条約を批准し、受諾し、若しくは承認し、又はこれに加入する国についても、同様とする。

この条約は、廃棄されない限り、五年ごとに黙示的に更新される。

廃棄は、当該五年の期間が満了する少なくとも六箇月前にオランダ王国外務省に通告する。廃棄は、この条約が適用される領域又は領域内の地域のうち特定のものに限定して行うことができる。

廃棄は、これを通告した国についてのみ効力を生ずるものとし、その他の締約国については、この条約は、引き続き効力を有する。

第四十五条

オランダ王国外務省は、ハーグ国際私法会議の構成国及び第三十八条の規定に従って加入した国に対し、次の事項を通報する。

1 第三十七条に規定する署名、批准、受諾及び承認

2 第三十八条に規定する加入

3 第四十三条の規定に従ってこの条約が効力を生ずる日

4 第三十九条に規定する適用宣言

5 第三十八条及び第四十条に規定する宣言

6 第二十四条及び第二十六条第三項に規定する留保並びに第四十二条に規定する留保の撤回

7 前条に規定する廃棄

以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの条約に署名した。

千九百八十年十月二十五日にハーグで、ひとしく正文である英語及びフランス語により本書一通を作成した。本書は、オランダ王国政府に寄託するものとし、その認証謄本は、外交上の経路を通じてハーグ国際私法会議の第十四回会期の時の各構成国に送付する。

(署名欄は省略)