[内閣名] 第5代第2次伊藤(明25.8.8〜29.9.18)
[国会回次](帝国)第7回(臨時会)
[演説者] 伊藤博文内閣総理大臣
[演説種別] 日清交戰に就ての演説
[衆議院演説年月日] 1894/10/20
[貴族院演説年月日]
[全文]
諸君、日清交戰の事起りし以來我 皇上陛下は統帥の事を親しく行はせ給ひ既に大纛を此地に移させらる、而して立法の急務を舉行せらるヽため臨時議會を大本營の下に於て兵馬倥偬の間に召集せらる、諸君、今や我陸軍は櫛風沐雨久しく異郷に曝露し成歡に平壌に既に赫々の偉勳を奏し、又海軍は遠く風濤の険を越え豐島に黄海に硝烟弾霧の中に於て奕々の大功を顯す、本大臣は諸君と共に之を稍揚慶画すると同時に我交戰の目的を達するに於て前途尚ほ幾多の艱辛に處することを覺悟せざるべからず、而して軍事に關する國家の急用なる議案は既に旨を奉じて本院に提出し諸君の机上に横れり、諸君は既に聖詔を忝うせらる、希はくは方今の時局に鑑み協同一致以て軍國の大事を翼贊せられ、政務軍務の當局をして聖裁を大權の下に仰ぎ、機宜の處斷を行ふに於て後顧の憂なからしめらるヽは本大臣が信じて疑はざる所なり