データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[内閣名] 第11代第1次桂(明34.6.2〜39.1.7)
[国会回次](帝国)第18回(特別会)
[演説者] 桂太郎内閣総理大臣
[演説種別] 施政方針演説
[衆議院演説年月日] 1903/5/16
[貴族院演説年月日]
[全文]

 諸君、本大臣は新たに當選の榮を荷はれ、當議場に列せられました所の諸君と茲に相見えまして、政府の所見に付き一言するの機會を得ましたのを光榮と存じます、諸君、政府は曩に明治三十六年度豫算を編成するに當りまして、宇内の大勢に鑑み、世界の進運に徴し、帝國財政の許す範圍に於きまして、國防の充實と民力の發展に必要なる計畫を定め、議會の協贊を求めました、然るに議會は不幸にして解散に終りまして、三十六年度に於ては、前年度豫算を施行することヽなりましたから、政府は國家の進運に大なる妨害なき限り、力めて節約の方針を採り、前年度豫算中に於きまして、節約すべきものは節約を致しましたが、事の既定の計畫に屬し、若くは法律の結果に基く等のため、到底經費増加の避くべからざるもの、及國家の進運上、一日も緩うすることの出來ませぬ事業に於きましては、更に之を要求するの已むを得ざるに至りました、故に政府は時局の趨勢に徴し、緊切急要なりと信じます追加豫算其他の諸案を、本議會に提出致しました次第であります、今囘提出の諸案中には、國防の充實、交通機関の整備、臺灣特別經營等の如きが、其主要なるものでありまして、既に前議會に於きまして、政府の計畫を明示致しましたものでございます、其内容に付きましては、諸君も大要御承知のことヽ存じますが、此等の計畫は一に帝國の國是に從ひ、事局の大勢に鑑み、國家の大計をを遂行せんとするものでありまして、一日も忽諸に付すべからざるものでござりますると云ふことは、諸君の諒知せらるヽ所であると存じます、今や舉國一致、國家の進運を扶植するに急なるの秋に方りまして、帝國の利權を護持するに必要なる施設に對し、諸君が愼重公平に審議を盡され、協贊を與へられんことは、本大臣の切に希望する所でござります