データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[内閣名] 第11代第1次桂(明34.6.2〜39.1.7)
[国会回次](帝国)第21回(通常会)
[演説者] 桂太郎内閣総理大臣
[演説種別] 施政方針演説
[衆議院演説年月日] 19041203
[貴族院演説年月日]
[全文]

諸君、本大臣は臨時議會に於きまして、諸君と共に軍國の大事を翼贊するの光榮を荷ひましたが、今や時局に關する要務を議するために、茲に再び諸君と相會することを得まするのは、本大臣の最も欣幸とする處でございます、諸君、開戰以降我軍が連戰連捷、戰局漸次其歩を進めまするのは一に 陛下に御稜威に因る次第でございます、而して陸海軍人が作戰宜しきを得、隆暑に耐へ沍寒を冒し、萬難を凌いで克く其忠勇を致しまするのと、國民が一致協同愛國の至誠を竭し、資源の培養に勉め、軍資の供給を豐にする等、此時局に處するの途を得て居りまするとは、又實に今日ある所以であると云ふことを疑ひませぬ、併ながら前途は尚遼遠でございまする、本大臣は諸君と共に 聖旨を奉體致しまして、堅忍持久、終局の目的を達しますることの責任は、重且つ大なることであると信じます、前議會に於きまして、諸君の協贊を得ましたる臨時軍事費豫算の期限も、既に其終りに近づきましたが、時局の趨勢は、前途尚十分なる計畫を要しまする次第でございまする、而して其計畫の大要は既に 聖旨を奉じまして、提出致し置きましたところの豫算案及法律案等に依って、諸君の御承知になって居ることヽ存じまする、本大臣は諸君と共に當初の決心に基きまして、交戰の目的を貫徹すると申すことに付きましては、苟も遺算なきやう致したいと存じます、又明治三十八年度の豫算案其他の議案に付きましても、諸君が愼重審議、速に協贊を與へられますることは、本大臣の切に希望致します次第でございます