[内閣名] 第14代第2次西園寺(明44.8.30〜大元12.21)
[国会回次](帝国)第28回(通常会)
[演説者] 西園寺公望内閣総理大臣
[演説種別] 施政方針演説
[衆議院演説年月日] 1912/1/23
[貴族院演説年月日] 1912/1/23
[全文]
諸君、本大臣は曩に大命を恪み、重ねて重任を荷ふことに至りました、本日茲に諸君と相見え、施政の方針を陳べまするは本大臣の最も光榮とするところでございます、諸君、帝國と締盟列國との交際は益々親善を加へまして、英國との同盟協約も更に改締を重ねました、又各國との條約改正に就ても、最早其大半を結了致しまして、尚未了に屬する分も、今方に商議を進めつヽあるのでございます、其完結を告ぐるの日、蓋し遠きにあらざることヽ信じます、鄰邦に於ける目下の擾亂は、諸君と共に憂慮に堪へざるところでございます、政府は東亞の大局に鑑み速に秩序の恢復を切望すると共に、絶へず時局の推移に注意致しまして、苟も必要なる措置を執るに於て遺漏なからんことを期して居ります、諸君、本大臣は大命を拜してより、及ばずながら、微力を盡しまして、諸般の政務を振肅し、聊蹇々の誠を致さんことを勉めて居るのでございます、就任日淺く、今猝かに其實を舉ぐることを得ませぬが、既に臨時制度整理局を設けまして、制度、財政、竝に税制の整理に關し、それそれ調査に著手致して居ります、本大臣は閣僚と共に勵精其事に從ひ、緩急を計り、輕重を考へ、各々其宜しきを制し、以て之が成果を收めんことを期して居る次第でございます、帝國の財政に關しては大藏大臣より詳細なる説明を致しまするが大體に於ては國運の進暢に留意し、歳入歳出の均衡を保つの方針を以て、明治四十五年度の豫算案を編成致し、本日之を議會に提出致しました、尚時運に鑑みて必要と認むる諸般の法律案は、順次之を提出致しまして、主務大臣より隨時之が説明を致すでございます、諸君、願くは政府の意の在るところを諒とせられまして、愼重審議以て協贊の任を完うふし、國家の進運を扶翼せられんことを、本大臣は切に冀望致すところでございます