[内閣名] 第14代第2次西園寺（明44.8.30〜大元12.21）
[国会回次]（帝国）第29回（臨時会）
[演説者] 西園寺公望内閣総理大臣
[演説種別] 大喪費豫算に就ての演説
[衆議院演説年月日] 1912/8/24
[貴族院演説年月日] 1912/8/24
[全文]

諸君、茲に國家の大故に際し、此臨時議會を以て諸君と相見ゆるは本大臣の最も痛恨に堪へぬ次第でござります、　大行天皇の遽に御不豫に渡らせらるヽや、億兆臣民至誠を籠めて偏すら御平癒を祷り奉りたるに、遂に崩御あらせられましたことは、本大臣の諸君と共に恐懼措く能はざるところでござります、恭しく惟ふに 大行天皇には夙に不世出の天資を以て、維新の鴻業を遂げさせられ、爾来開國進取の政日に就り月に將み、内には立憲の制を立てられ、外には友邦の誼を敦くし給ひ、霄衣肝食一意國家の隆昌と臣民の慶福とを念とせられ、以て今日の盛運あるを致させられましたのでござります、其大業は古今に冠絶し、天恩は寔に洪大でござります、今より後益々報效の誠を竭し、諸君と共に皇猷を翼贊し奉り、以て御遺徳の萬分の一に酬い奉らんことを期して居る次第でござります、諸君、今囘の大喪儀は國家の大禮でございまして、之がために特に大喪使を置かれ、諸般の準備今方に進行中でござります、之に關する豫算は其編製を了しまして、昨日之を提出いたしましたのでござります、本大臣は諸君が此際速に協贊を輿へられ、國民の深厚なる誠意を表するに於て遺憾なきを期せられんことを切望致します