データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[内閣名] 第16代第1次山本(大2.2.20〜大3.4.16)
[国会回次] (帝国)第30回(通常会)
[演説者] 山本權兵衞内閣総理大臣
[演説種別] 施政方針演説
[衆議院演説年月日] 1913/2/27
[貴族院演説年月日] 1913/2/27
[全文]

諸君、本大臣は今囘は揣らずも大命を拜しまして、今日茲に諸君と相見ゆるの機會を得ましたるは、實に本大臣の光榮と致しまするところでござります、諸君、帝國と列國との交際は曩に前内閣總理大臣が本議場に於きまして開陳致しましたる如く、益々親善を加へ、英國との同盟は愈々鞏固に、日佛日露の兩協約は益々實效を收めつヽありまするのは、諸君と共に大に喜ぶところでござります、行政及財政の整理を致しまするの必要あることは、前々内閣の當時既に之を認めまして、其實行を企畫しつヽあるに際して、當局の更迭を見ました、本大臣は即ち其の計畫に基きまして、更に調査を遂げ、是が實行を期せんことを期しておりまする、大正二年度の豫算案は行政及財政の整理と相俟ちまして、新に之を編成すべき筈でござりますけれども、帝國議會の會期既に半を過ぎ、而も新會計年度の開始も剩すところ僅に一箇月でありまして、整理の結果を具體的に豫算に實現することの出來ませぬのは、誠に已むを得ざる次第でございます、即ち茲に徹囘致しましたる同一の豫算案を、再び本院に提出致しました、諸君に於かれましても現下の事態に察せられまして、協贊を與へられんことを希望致すのでござります、現今の税制は負擔の均衡を得ざるもの、其他整理を要するもの尠からざるは、既に久しく一般の認めて居りますところであります、即ち之を整理致しまして其均衡を得せしめ、又財政の許す範圍内に於きまして、負擔の輕減を圖りますることは、現下の國情に照しまして其最も緊切なることを信ずるものでございます、本大臣は行政及財政の整理と共に、更に必要なる調査を遂げまして、是が計畫を立てんことを期して居ります、而して所得税法の改正は、從來數々本院の議に上り、其實行を緩うすべからざることを察しまして、本會期中に於て之を本院に提出するの運びと致します、本大臣は豫め茲に之を言明致して置きます、以上は大臣が差當り行はんとするところの大要でございます、若夫れ産業の振興、其他國力の充實に必要なる施設を爲し、兼て施政の改善を圖ることの如きは、茲に特に之を言明致さずとも、本大臣は須叟も留意を缺くことなかるべきは固より當然のことでござります、諸君願くは本大臣の意の在るところを諒察せられむことを望みます