データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[内閣名] 第17代第2次大隈(大3.4.16〜大5.10.9)
[国会回次](帝国)第36回(特別会)
[演説者] 大隈重信内閣総理大臣
[演説種別] 施政方針演説
[衆議院演説年月日] 1915/5/22
[貴族院演説年月日] 1915/5/22
[全文]

諸君、本大臣は新に當選の光榮を荷はれて本議場に列せられましたる諸君と、茲に相見え、政府の所見に付きまして一言することを得るのは、本大臣の光榮とするところであります、諸君、政府は東洋の平和を益々鞏固ならしめ、日支兩国の交誼をして愈々深厚ならしめむとするの目的を以て、本年一月支那政府に對し交渉を開始致しましたところ、本月に至りまして、終に案件の解決を得ました、之に依りて極東の平和倍々牢固に、國交愈々親善を加へまするのは、本大臣の期して疑はざるところでございます、唯歐州の戰亂は猶未だ終熄に至らず、聯合作戰國の努力に依り其目的を達し、平和の速に克服するに至りますることは、本大臣の諸君と共に冀望して止まないところでございます、諸君、政府は昨年大命を奉じたる以來、諸般の事項に渉り愼重の審議を悉くし、行政及財政の整理國防の充實等各々其計畫を定め、大正四年度の豫算を編成し、之を舊臘の議會に提出致しました、不幸にして議會は解散になり、其計畫を實行することが出來ないのは遺憾な次第でございます、就きまして大正四年度の豫算は、憲法に遵ひ前年度の豫算を實行することと致しました、然れども國家の進運上緊要なる計畫は、速に之を實行するの必要を認め、追加豫算案及各般の法律案を提出することと致しました、願くは政府の意の在る所を諒せられ、國家の要務に對し、愼重審議協贊を與へられむことを希望致します