データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[内閣名] 第18代寺内(大5.10.9〜大7.9.29)
[国会回次](帝国)第40回(通常会)
[演説者] 寺内正毅内閣総理大臣
[演説種別] 會期終了に付ての演説
[衆議院演説年月日] 1918/3/26
[貴族院演説年月日] 1918/3/26
[全文]

諸君、第四十囘帝國議會の將に終りを告げんとするに當りまして、茲に重ねて所思を披瀝することを得まするのは本大臣の洵に光榮とする所でございます、政府は時局の重大なるに鑑み、國防の充實、その他緊切急務なりと認めたる豫算及法律案を提出いたしましたる所が、諸君は愼重審議の結果、重要なる諸案に對して速かに協贊を與へられました、此事たる一に諸君が國家の將來を念とせらるる愛國的精神の發露に外ならざるものと信じます、茲に深厚なる敬意を表する次第でございます、將來時局の推移は今より豫言は出來難いのでありますが、露獨單獨講和の結果、獨逸の勢力は漸次極東に波及し、東洋の平和を亂さんとする虞がありますのであります、政府は萬一帝國の安危利害には拘はり、又は聯合與國の共同の利益を保護する必要ある場合に臨みましては、斷乎たる機宜の處置を執ることを決心して居るのでございます、諸君、凡そ國難の處するに當りまして奉公の至誠を盡すことは我國民固有の美性でありまして、内外に對して竊に誇とする所であります、今や時局愈々重大ならむとする時に當りまして、茲に政府の意嚮を表明して國民の自覺を促がす必要ありと認めます次第であります、終りに臨み諸君連日の御盡瘁を感謝すると同時に、時局の進展如何に依りましては、重ねて近く諸君の來會を煩はすことがあるかも知れませぬ、此一事は豫め諸君の御念頭に置かれむことを希望いたす次第でございます