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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 朝鮮國變亂に對する閣議決定(朝鮮国変乱に対する閣議決定)

[場所] 
[年月日] 1894年6月15日
[出典] 日本外交年表竝主要文書上巻,外務省,140‐141頁.
[備考] 
[全文]

  明治二十七年六月十五日

 閣議案

今回ノ朝鮮事變ハ如何ナル結局ニ至ルヤハ今遽カニ斷案ヲ下シ難シト雖トモ假リニ無事平定ノ局ヲ結ビタリトスルモ仰モ朝鮮政府ノ現狀ヨリ預測スルトキハ將來何等ノ事變ヨリ何等ノ顯象ヲ生スベキカ到底永ク國家ノ秩序平和ヲ維持シ得ヘカラサルハ殆ト疑ヲ容レズ果シテ然ルトキハ又復タ今回ノ如ク淸國ニ於テ出兵スレハ我國モ亦タ之ニ應シテ出兵シ以テ均勢ヲ保タサルヲ得サルノ場合ヲ現出スベキハ必至ノ數ニ係リ延ヒテ竟ニ日淸韓ノ葛藤ヲ生ジ東洋大局ノ擾亂ヲ引起スノ虞ナキヲ保セズ今ニ當リテ宜ク日淸韓ノ間ニ於テ將來執ルベキ政策ヲ籌畵シ以テ永ク東洋大局ノ平和ヲ維持スルノ道ヲ講スルハ實ニ急務中ノ急務ト確信ス故ニ先ツ廟議ニ於テ左ノ二ケ條ヲ決定シ置カレン事ヲ希望ス

 第一 朝鮮事變ニ付テハ速ニ其亂民ヲ鎭壓スル事但我政府ハ成ルベク淸國政府ト勠力シテ鎭壓ニ從事スル事

 第二 亂民平定ノ上ハ朝鮮國內政ヲ改良セシムル爲メ日淸兩國ヨリ常設委員若干名ヲ朝鮮ニ置キ先ツ大略左ノ事項ヲ目的トシテ其取調ニ從事セシムル事

  一財政ヲ調査スル事

  一中央政府及地方官吏ヲ陶汰スル事

  一必要ナル警備兵ヲ設置セシメ國內ノ安寧ヲ保持セシムル事

  一歲入ヨリ歲出ヲ省略セシメ剩餘ヲ以テ利子ト爲シ出來得ル丈國債ヲ募集セシメ其金額ヲ以テ國益上ノ利便ヲ與フルニ足ルモノヽ爲メニ支用セシムル事

然ルニ此政策ヲ實行スルニハ固ヨリ帝國政府ト淸國政府ト協心同力ノ行動ヲナスヲ以テ最モ平和ニシテ且ツ適當ナル順序トス而シテ幸ヒ去十三日伊藤總理大臣ト淸國公使汪鳳藻トノ面談ノ節ニ於テ旣ニ日淸兩國相ヒ提絜シテ以テ朝鮮ヲ保護スル事必要ナリトノ點ニ關シ互ニ幾分カノ意見ヲ交換セシ事アレバ此機會ヲ失ハズ茲ニ本大臣ハ先ツ汪公使ニ談判シ其政府ノ意嚮ヲ聞カシメ以テ漸ク商議ノ端緖ヲ開クニ至ラン事ヲ期ス

然リ而シテ今若シ廟議此政策ヲ執行スル事ニ一決シ一タヒ淸國政府ニ向テ發言セシ上ハ其商議ノ結果如何ヲ問ハズ左ノ二件ヲ決行スル事必要ト信ズルヲ以テ是レ亦タ預メ廟議ヲ決定シ置カレン事ヲ望ム

  一淸國政府ト商議ヲ開キタル後ハ其結局ヲ見ルマデハ目下韓地ニ派遣ノ兵ヲ撤回セザル事

  一若シ淸國政府ニ於テ我意見ニ贊同セザルトキハ帝國政府ノ獨力ヲ以テ朝鮮政府ヲシテ前述ノ政治ノ改革ヲ爲サシムル事ヲ努ムル事

右閣僚諸公ノ審議ヲ請フ

 明治廿七年六月十五日

   外務大臣 陸奥宗光

內閣總理大臣伯爵 伊藤博文殿