[文書名] 日韓暫定合同條欵(日韓暫定合同条款)
明治二十七年八月二十日京城ニ於テ調印(日、漢文)
(大日本、大朝鮮)兩國政府ハ(日本曆明治二十七年七月二十三日、朝鮮曆開國五百三年六月二十一日)漢城ニ於テ兩國兵ノ偶爾衝突ヲ興シタル事件ヲ治メ併ニ將來朝鮮國ノ自由独立ヲ鞏固ニシ且ツ彼此ノ貿易ヲ奬勵シ以テ益々兩國の親密ヲ圖ランカ為ニ茲ニ合同條欵ヲ暫定スルコト如左
暫定合同條欵
一此度日本政府ハ朝鮮國政府ニ於テ內政ヲ改革センコトヲ希望シ朝鮮政府モ亦タ其急務タルヲ知覺シ其勸吿ニ從ヒ勵行スヘキ各節ハ順序ヲ追テ施行スヘキコトヲ保証ス
一內政改革ノ節目中京釜兩地及ヒ京仁兩地間ニ建設スヘキ鐵道一事ハ朝鮮政府ニ於テ其財政未タ裕カナラサルヲ慮リ日本政府若クハ日本ノ或會社ニ訂約シ時機見計ヒ起工センコトヲ願フト雖トモ目下委曲情節アリテ其運ニ及ヒ難シ依テ良法ヲ案出シ可成丈速ニ至ルヲ要ス
一京釜兩地及ヒ京仁兩地間ニ於テ日本政府ヨリ旣ニ架設シタル軍用電信ハ時宜ヲ酌量シテ條欵ヲ訂立シ以テ其存留ヲ圖ル可シ
一將來兩國ノ交際ヲ親密ニシ且ツ貿易ヲ奬勵センカ爲メ朝鮮政府ハ全羅道ノ沿岸ニ於テ一通商港ヲ開ク可シ
一本年七月二十三日王宮近傍ニ於テ起リタル兩國兵員偶爾衝突事件ハ彼此共ニ之ヲ追究セサル可シ
一日本政府ハ素ト朝鮮ヲ助ケテ其獨立自主ノ業ヲ成就セシメンコトヲ希望スルニ因リ將來朝鮮國ノ獨立自主ヲ鞏固ニスル事宜ニ關シテハ兩國政府ヨリ委員ヲ派シ會同議定ス可シ
一以上開ク所ノ暫定條欵ハ畵印盖印ヲ經タル後時宜ヲ酌量シ大闕護衞ノ日本兵員ヲ以テ一律撤退セシム可シ
右暫定合同條欵內永遠ニ循守ス可キ者ハ後日更ニ條約トシテ遵行ス可シ此カ爲メ兩國大臣記名盖印以テ憑信ヲ昭ニス
大日本國明治二十七年八月二十日
特命全權大使 大鳥圭介 <印>
大朝鮮國開國五百三年七月二十日
外務大臣 金允植 <印>
{文中の<印>は、原文は印に四角い囲み線}