[文書名]　日淸兩國間追加通󠄁商航海條約　附屬第一號（日清両国間追加通商航海条約　附屬第一号）

同上附屬第一號

追加內地水路汽船航通󠄁規則

第一條

日本國汽船所󠄁有者ハ水路沿岸ニ於テ二十五年ヲ超エサル期間淸國臣民ヨリ倉庫及埠頭ヲ賃借スルコト自由ニシテ期限滿了ノ時ハ雙方商定ノ條件ヲ以テ之ヲ繼續スルコト隨意タルヘシ日本國商人ニシテ滿足ナル條件ヲ以テ淸國臣民ヨリ倉庫及埠頭ヲ賃借スルコト能ハサルトキハ地方官吏ハ總督巡撫又ハ商務大臣ト協議ノ上前記ノ如ク賃借ヲ繼續シ得ルノ條件ヲ以テ公平ナル時價ニテ貸渡スヘキ倉庫及埠頭ヲ設備スルコトヲ取計フヘシ

第二條

埠頭ハ內地水路ヲ阻碍セス又ハ航行ニ妨ナキ位置ニ限リ最近地方ノ海關稅務司ノ認󠄁可ヲ得テ之ヲ築造󠄁スルコトヲ得但シ右認󠄁可ハ故ナク之ヲ拒ムコトヲ得ス

第三條

日本國商人ハ右倉庫及埠頭ニ對シ其ノ附近ニ於テ同樣ノ財產ヲ所󠄁有スル淸國人ト同樣ニ諸稅及賦課ヲ納󠄁付スヘキモノトス日本國商人ハ內地運槽業ニ從事スル汽船ノ寄港地ニ於テ前記ノ如ク賃借セル倉庫ニ居住シテ業務ニ從事セシムル代理人又ハ雇員ニハ淸國人ノミヲ使用スヘキモノトス但シ日本國商人ハ其ノ事務視察ノ爲メ隨事自ラ該地ニ出張スルコトヲ得淸國臣民ニ對スル淸國ノ現存管轄權ハ本項ノ爲メ何等減損又ハ妨礙セラレサルモノトス

第四條

淸國ノ內地水路ヲ航行スル汽船ハ沿岸又ハ其ノ上ニ於ケル建設物ヲ毀損シ因テ以テ沿岸所󠄁有主ニ及ホシタル損失竝該毀損ノ爲メニ生シタル損失ニ對シ賠償ノ責アルモノトス

若淸國ニ於テ小汽船ノ某淺水水路ヲ使用スルコト沿岸ヲ傷害シ接近地ニ損害ヲ及ホスノ虞󠄁アル爲メ之ヲ禁止セムト欲スル場合ニ其ノ交渉ヲ受ケタル日本國官吏ハ其ノ故障ノ確實ナルヲ認󠄁メタルトキハ日本國小汽船ノ該水路使用ヲ禁止スヘキモノトス但シ淸國小汽船モ亦均シク其ノ使用ヲ禁止セラルルコトヲ要󠄁ス

外國小汽船及淸國小汽船ハ現時內地水路ニ設置セル堰閘ノ工事ヲ傷害シ因テ以テ地方人民ノ用水ニ損害ヲ及ホスヘキ虞󠄁アル箇所󠄁ニ於テハ之ヲ通󠄁過スルコトヲ禁ス

第五條

日本國政府ニ於テ淸國ノ內地水路ヲ汽船ノ航行ニ開放セムト欲スル主旨ハ內外商品ヲシテ迅速運輸ノ便宜ヲ得セシメムトスルニアルヲ以テ同政府ハ現今又ハ今後淸國ノ內地水路ニ使用セラルル日本國汽船ハ其ノ所󠄁有者ニ於テ之ヲ希望スルトキハ右等汽船ノ淸國會社ニ轉賣セラレ同國國旗ノ下ニ移サルルコトニ何等阻碍スル處ナカルヘキコトヲ約ス

淸國法律ニ依リ登錄セラレタル淸國會社ニシテ淸國ノ內地水路ニ於テ汽船ノ航行ヲ業トスルモノ設立セラルル場合ニ於テ日本國臣民カ該會社ノ株主タルノ事實ハ其ノ汽船ニ日本國國旗ヲ揭クル權利ヲ附與セサルモノトス

第六條

登錄セラレタル汽船及其ノ曳船ハ淸國形船舶カ從來常ニ禁止セラレタルと同樣禁制品ヲ輸送スルコトヲ禁ス本規程ニ背キタルトキハ此ノ種ノ違犯ニ關シ條約ニ規定セル罰ヲ課シ且該船ノ携帶スル內地水路航行證ヲ取消シ該船ハ兩後內河航行ヲ禁止セラルヘシ

第七條

汽船ノ來航ニ慣レサル內地居住民ヲシテ之カ爲メ成ルヘク騒擾セシメサラムコト望マシキニ因リ從來汽船ノ往復セサル內地水路ハ商人ノ便宜ニ應シ成ルヘク漸次ニ之ヲ開放シ且汽船所󠄁有者ニ於テ其ノ業務ニ利潤アルヘキ見込アルトキニ限リ開放セラルヘシ

從來汽船ノ往復セシコトナキ水路ニ其ノ航通󠄁ヲ開カムトスル場合ニ於テハ先ツ最近開港所󠄁在稅務司ニ其ノ旨ヲ申出テ該稅務司ハ之ヲ商務大臣ニ通󠄁牒シ同大臣ハ該地方ノ總督又ハ巡撫ト協同シテ本件ニ關スル總テノ情狀ヲ詳査ノ上直チニ許可ヲ與フヘキモノトス

第八條

登錄汽船ハ一港內ニ於テ又ハ開港ヨリ他ノ開港ヘ又ハ開港ヨリ內地へ及內地ヨリ右開港ヘ往復スルコトヲ得又該船ハ海關ヘ正式ノ届書ヲ差出シタル上航行ノ途中通󠄁過スル場所󠄁ニシテ貿易地ト認󠄁メラレタル所󠄁ニ於テ乗客又ハ荷物ヲ陸揚又ハ搭載スルコトヲ得但シ淸國政府ノ承諾ヲ得タル場合ヲ除クノ外專ラ內地間ノミ往復スルコトヲ得ス

第九條

荷船又ハ客船ハ汽船ニテ曳クコトヲ得曳カレ行ク船舶ノ舵手及乗組人ハ淸國人ニ限ルヘシ總テ船舶ハ其ノ所󠄁有者ノ何人タルヲ問ハス內地ヘ向ケ航行スルニ先チ登錄ヲ受クルコトヲ要󠄁ス

第十條

本規則ハ光緖二十四年五月及七月發布ノ內地水路汽船航通󠄁規則ノ追加ニシテ右五月及七月ノ規則ニシテ今囘協定ノ規則ニ依リ改メラレサル條項ハ全然有効トス

本規則竝光緖二十四年五月及七月ノ各規則ハ今後必要󠄁ニ應シ雙方ノ同意ヲ以テ改正スルコト得ヘシ

　明治三十六年十月八日卽

　光緖二十九年八月十八日上海ニ於テ之ヲ作ル

日置益　印

小田切萬壽之助　印

呂海寰

盛宣懷　　　　關防

伍廷芳