[文書名]　大連開放の件

　明治三十九年四月二日閣議決定

大連開放ノ件ニ關シテハ軍事上ノ差支ノ有無ニ付目下陸軍大臣ニ照會中ニ有之候處右愈差支ナキコトニ決定シタル上ハ大體左記ノ條項ニ基キ諸般ノ準備ヲナシ右準備整ヒ次第左記ノ條項ニ基キ諸般ノ準備ヲナシ右準備整ヒ次第同港ニ對シ外國人及外國船舶ノ出入ヲ許ス樣致度右至急請閣議候也

一、關東總督ニ於テ碼頭棧橋等ノ使用規則ヲ定ムルコト

二、關稅ハ追テ何分ノ義ヲ定ムル迄無稅トナスコト

三、噸稅水先案內料碼頭棧橋ノ使用料等ハ相當ノ額ヲ定メテ關東總督ニ於テ之ヲ徵收スルコト

四、外國人居住區域ハ關東總督ニ於テ之ヲ定ムルコト

五、外國人ノ民刑事事件ハ追テ普通裁判所ノ設立ニ至ル迄現行ノ軍事裁判ニ於テ審理裁判スルコト

六、外國人ノ不動產所有權ニ付テハ追テ何分ノ義ヲ定ムルコトトシ當分ノ間一年又ハ二年ヲ限リ關東總督ニ於テ賃借ヲ許スコト

　　　外務大臣侯爵　西園寺公望

內閣總理大臣侯爵西園寺公望殿

來ル九月一日ヨリ大連ヲ開放スルコトトナリタルニ付テハ外國人ノ居住及土地所有權ニ關スルノ件左ノ如ク決定シ置カンコトヲ希望ス

一、外國人（支那人ヲ除ク）ハ當分ノ內大連及旅順ノ市街地ニ限リ居住ヲ許スコト

二、外國人（支那人ヲ除ク）ニハ當分ノ內大連及旅順ノ市街地內ニ限リ不動產ヲ借受ケ又所有スルコトヲ許スコト

三、露國人ニ對シテハ四平街覺書廢止ノ交涉纒マル迄ハ右二項ヲ適用セサルコト