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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 太平洋方面に關する日米交換公文(高平・ルート協定,太平洋方面に関する日米交換公文)

[場所] ワシントン
[年月日] 1908年11月30日
[出典] 日本外交年表竝主要文書上巻,外務省,312−313頁.
[備考] 
[全文]

  明治四十一年(一九〇八年)十一月三十日「ワシントン」ニ於テ

  明治四十一年(一九〇八年)十二月二日官報揭載

 帝國大使ヨリ米國國務卿宛往翰

以書柬致啓上候陳者先頃來閣下ト本使トノ間ニ數次ノ會見ヲ遂ケ意見ヲ交換致候結果日本國及合衆國ハ太平洋方面ニ於テ本國ヨリ隔在スル重要ナル島嶼ノ所領ヲ保有スルモノニ有之兩國政府ハ同方面ニ於テ共通ノ目的、政策及旨意ヲ有スルコト明瞭ト相成候

帝國政府ハ該目的、政策及旨意ヲ眞率ニ表明スルハ啻ニ日本國ト合衆國トノ間ニ久シク存在シタル友好善隣ノ關係ヲ鞏固ナラシムルニ至ルヘキノミナラス又以テ大局ノ平和ヲ維持スルニ資スル所大ナルヘキコトヲ信シ該共通ノ目的、政策及旨意ト認ムル所ノ左記綱領ヲ閣下ニ提出スヘキ旨本使ニ訓示有之候

一、太平洋ニ於ケル兩國商業ノ自由平穩ナル發達ヲ獎勵スルハ兩國政府ノ希望タリ

二、兩國政府ノ政策ハ何等侵略的傾向ニ制セラルルコトナク前記方面ニ於ケル現狀維持及淸國ニ於ケル商工業ノ機會均等主義ノ擁護ヲ目的トス

三、從テ兩國政府ハ相互ニ前記方面ニ於テ他ノ一方ノ有スル所領ヲ尊重スルノ强固ナル決意ヲ有ス

四、兩國政府ハ又其ノ權內ニ屬スル一切ノ平和手段ニ依リ淸國ノ獨立及領土保全竝同帝國ニ於ケル列國ノ商工業ニ對スル機會均等主義ヲ支持シ以テ淸國ニ於ケル列國ノ共通利益ヲ保存スルノ決意ヲ有ス

五、前述ノ現狀維持又ハ機會均等主義ヲ侵迫スル事件發生スルトキハ兩國政府ハ其ノ有益ト認ムル措置ニ關シ協商ヲ遂ケムカ爲互ニ意見ヲ交換スヘシ

若シ前記綱領ニシテ合衆國政府ノ見解ト一致スルニ於テハ之ニ對スル閣下ノ確認ヲ得度候

本使ハ茲ニ閣下ニ向テ重テ敬意ヲ表シ候 敬具

 一九千百年十一月三十日

  在華盛頓日本帝國大使館ニ於テ

   日本帝國特命全權大使男爵

    高平小五郞

  北米合衆國國務卿 エリヒュー、ルート閣下

 米國國務卿ヨリ帝國大使宛來翰

以書柬致啓上候陳者先頃來本官ニ於テ數次閣下ト會見シ意見ヲ交換セル結果兩國政府ノ太平洋方面ニ於ケル政策ニ關シテ雙方ノ認識セル所ヲ開列セラレタル本日附貴柬正ニ領收致候

右雙方認識ノ表明ハ能ク兩國ノ親善ナル關係ニ適應シ且兩國政府カ極東ニ關シ從來累次聲明セル協同ノ政策ヲ約述互認スルノ機會ヲ與フルモノニシテ合衆國政府ノ歡迎スル所ニ有之候

茲ニ合衆國政府ヲ代表シ閣下ニ向テ左記兩國政府ノ宣言ヲ確認スルヲ得ルハ本官ノ欣幸トスル所ニ有之候(以下高平公文ト同樣略)

 一千九百八年十一月三十日

  在華盛頓國務省ニ於テ

   北米合衆國國務卿

    エリヒュー、ルート

日本帝國特命全權大使男爵

 高平小五郞閣下