データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 大連會議代表に附與の訓令(大連会議代表に附与の訓令)

[場所] 
[年月日] 1921年12月2日
[出典] 日本外交年表竝主要文書上巻,外務省,533‐534頁.
[備考] 
[全文]

大正十年十二月二日閣議決定

大正十年十二月二日本省發電

內田外務大臣

在大連

松島政務部長

第六〇號

貴方會議ノ進行今猶遲々タルノ狀態ニ顧ミ之ヲ促進スルヲ必要ト認ムルニ依リ貴官ハ「ペトロフ」ニ對シ本件交涉ハ元來先方ノ希望ニ應シ開始セラレタルモノニシテ我方ハ速ニ協約成立シ沿海洲ヨリ撤兵シ得ムコトヲ希望シ從テ旣ニ交代期ニ達シタル一部軍隊ノ交代ヲ差控ヘタルハ過般ノ通吿ニヨリ旣ニ承知セラレタル通リナルカ交涉ノ進行遲々トシテ到底近ク纒ルヘキ見込ナク右交代ハ最早遷延シ難キニヨリ帝國政府ハ茲ニ止ムナク右交代ヲ實行スルニ決定セリ然リト雖浦鹽地方駐留軍隊ハ居留民及交通ニ對スル危險竝ニ國境ニ對スル脅威存在スル爲メ已ムヲ得ス駐留セシムルモノニシテ帝國政府ニ於テハ前記各種ノ危險除去ニ關スル保障ヲ得テ撤兵シ得ルノ日速カナルヲ希望スルモノナルヲ以テ先方カ撤兵ヲ希望スルニ於テハ其前提タル基本協約ノ成立ニ付最善ノ方法ヲ以テ促進スルヲ要シ我方對案ニ付テモ修正ヲ求ムル點アラハ一括文書ヲ以テ速ニ申入ルヘキ旨竝ニ我方ニ於テハ駐兵ノ目的ニ顧ミ基本協約ノ成立ニヨリ前記各種ノ危險除去ニ關スル保障ヲ得サル以上來年度ニ入ルモ猶右軍隊ノ駐留ヲ餘儀ナクセラルヘキ旨ヲ通吿セラレタク尙薩哈嗹洲內ノ占領ハ右ト全然別箇ノ問題ナルモ右占領解除ノ前提タル尼港事件解決方法ニ付先方ヨリ充分ノ責任ヲ以テ具體的提案ヲ爲スニ於テハ帝國政府ハ之ヲ考慮スルニ吝ナラサル旨ヲ併セテ申入レラレ先方ノ應答振至急電報アリタシ