[文書名] 輸入及輸出の禁止及制限の撤廢の爲の國際條約(輸入および輸出の禁止及制限の撤廃のための国際条約、輸出入禁止制限撤廃条約交渉)
一九二七年(昭和二年)一一月八日「ジユネーヴ」ニ於テ署名
一九二九年(昭和四年)九月二八日批准
一九二九年(昭和四年)九月二八日批准書寄託
一九三〇年(昭和五年)一月一日實施
一九三〇年(昭和五年)七月一一日公布
條約
獨逸國大統領、亞米利加合衆國大統領、墺地利共和國聯邦大統領、白耳義國皇帝陛下、「グレート、ブリテン」、「アイルランド」及「グレート、ブリテン」海外領土皇帝印度皇帝陛下、「ブルガリア」國皇帝陛下、「チリ」共和國大統領、丁抹國皇帝陛下、「エジプト」國皇帝陛下、「エストニア」共和國大統領、「フインランド」共和國大統領、佛蘭西共和國大統領、「ハンガリー」國攝政殿下、伊太利國皇帝陛下、日本國皇帝陛下、「ラトヴイア」共和國大統領、「ルクセンブルグ」國大公殿下、諾威國皇帝陛下、和蘭國皇帝陛下、「ポーランド」共和國大統領、「ポルトガル」共和國大統領、「ルーマニア」國皇帝陛下、「セルブ、クロアート、スロヴエーヌ」國皇帝陛下、暹羅國皇帝陛下、瑞典國皇帝陛下、瑞西聯邦政府、「チエツコスロヴアキア」共和國大統領、「トルコ」共和國大統領ハ
千九百二十四年九月二十五日附ノ國際聯盟總會ノ決議ニ鑑ミ
千九百二十七年五月「ジユネーヴ」ニ於テ開催セラレタル國際經濟會議ノ結論ニ誘發セラレタルニ依リ且輸入及輸出ノ禁止竝ニ之ニ起因スル專斷ナル慣行及變裝セル差別待遇ハ右措置ノ重大ナル不利益カ右措置ヲ執レル諸國ノ期待セル財政的利益又ハ社會的福利ニ依リ代償セラレスシテ嘆スヘキ結果ヲ齎シタルコトヲ右會議ト共ニ認ムルニ依リ
世界貿易ノ恢復及其ノ將來ノ發展ノ爲ニハ各政府カ各自ノ利益ト一般ノ利益トニ均シク有害ナル政策ヲ抛棄スヘキコト肝要ナルコトヲ信シ
國際的通商ノ現實ノ自由ニ復歸スルコトハ世界ノ繁榮ノ主要條件ノ一タルコトヲ確信シ且
右目的ハ國際條約ノ形式ニ依ル同時且一致ノ行動ヲ執ルコトニ依リテ最良ク達成セラレ得ルコトヲ思ヒ
左ノ如ク其ノ全權委員ヲ任命セリ
(全權委員名略)
第一條 本條約ノ規定ハ締約國ノ領域ノ生產物又ハ製造品タル貨物ノ他ノ締約國ノ領域ヘノ輸入ニ對シ課セラルル禁止及制限竝ニ締約國ノ領域ヨリ他ノ締約國ノ領域ヘノ貨物ノ輸出ニ課セラルル禁止及制限ニ適用セラルヘシ
第二條 以下諸條ニ規定セラルル例外ハ之ヲ留保シ締約國ハ各自ノ領域ノ關スル限リニ於テ本條約ノ實施セラルル日ヨリ六月ノ期間內ニ輸入及輸出ノ一切ノ禁止及制限ヲ撤廢シ且爾後右禁止又ハ制限ヲ課セサルコトヲ約ス右期間內ニ於テ締約國ハ現存ノ禁止及制限ヲ最少限度ニ減少セシムル爲一切ノ適當ナル措置ヲ執ルヘク且新ナル禁止又ハ制限ヲ課セサルヘシ
右ノ外締約國ハ本條約ノ規定カ中央又ハ地方ノ一切ノ官憲ニ依リ嚴守セラルルコト及右規定ニ違反シテ規則カ發セラレサルコトヲ確保スルニ必要ナル措置ヲ執ルコトヲ約ス
第三條 締約國カ自國ノ法令ニ從ヒ貨物ノ輸入又ハ輸出ヲ、輸入若ハ輸出ノ方法、形式若ハ一場所又ハ記號ノ押捺ニ關スル或規則又ハ他ノ手續若ハ條件ニ從ハシムル場合ニ於テハ締約國ハ之ヲ以テ變裝セル禁止又ハ專斷ナル制限ノ手段タラシメサルコトヲ約ス
第四條 左ノ種類ノ禁止及制限ハ該禁止及制限カ同一條件ノ下ニ在ル外國間ニ於ケル專斷ナル差別ノ手段又ハ國際貿易上ノ變裝セル制限ト成ルカ如キ方法ニ於テ適用セラレサル限リ本條約ニ依リ禁止セラルルコトナシ
一 公ノ安全ニ關スル禁止又ハ制限
二 道徳上又ハ人道上ノ理由ニ依リ課セラルル禁止又ハ制限
三 兵器、彈藥及軍用材料又ハ例外ノ場合ニ於テハ他ノ一切ノ軍需品ノ取引ニ關スル禁止又ハ制限
四 公共衛生ノ保護ノ爲又ハ病疫、蟲類及有害ナル寄生物ニ對スル動物若ハ植物ノ保護ノ爲ニ課セラルル禁止又ハ制限
五 美術上、歴史上又ハ考古學上價値アル國寳ノ保護ノ爲ノ輸出ノ禁止又ハ制限
六 金、銀、貨幣、紙幣、銀行劵又ハ有價證劵ニ適用セラルル禁止又ハ制限
七 外國產物ニ之ト同種ノ內國產物ノ製產、取引、運迭及消費ニ付國內ニ於テ設定セラレタル禁止及制限ヲ及ホスコトヲ目的トスル禁止又ハ制限
八 製產又ハ取引ニ付國內ニ於テ國ノ獨占事業又ハ國ノ監督ノ下ニ行ハルル獨占事業ニ屬シ又ハ將來屬スルコトアルヘキ產物ニ對シ適用セラルル禁止又ハ制限
第五條 本條約ハ締約國カ非常且變則ノ場合ニ於テ國ノ緊切ナル利益ヲ保護スル爲輸入又ハ輸出ヲ禁止シ又ハ制限スル措置ヲ執ルノ權利ニ毫モ影響スルコトナカルヘシ
右性質ノ措置カ執ラルル場合ニ於テハ右措置ハ他ノ締約國ニ對シ何等ノ專斷ナル差別待遇ト爲ラサル樣適用セラルヘシ右措置ノ繼續期間ハ起因タル事由又ハ情況ノ繼續期閥ニ限定セラルヘシ
第六條
一 締約國ハ其ノ或國カ前諸條ニ依リ負擔セル約束ヲ或特定ノ產物ニ關シ直ニ引受クルコトヲ妨クル事實上又ハ法律上ノ事態ノ右或國ニ存在スルコトヲ認メ右或國カ起因タル情況ノ存在セサルニ至レルトキ直ニ撤回スルコトヲ約スル或一時的除外例ニ關シ留保ヲ爲スコトヲ右或國ニ對シ承認スルコトヲ衡平ナリト思考セリ
二 更ニ締約國ハ其ノ或國ニ依リ適用セラルル或輸入又ハ輸出ノ禁止又ハ制限ノ撤廢カ右或國ヲシテ重大ナル困難ニ陷ラシムルコトアルヘキコト且又右禁止又ハ制限カ他ノ諸國ノ貿易ニ損害ヲ及ホササルコトヲ認メ此等ノ除外例ニ關シ留保ヲ爲スコトヲ右或國ニ對シ承認スルコト又衡平ナリト思考セリ
三 本條約ノ附屬書ニハ同附屬書中ニ國名ヲ揭ケラレ且本日ヲ以テ本條約ニ署名シタル締約國ノ利益ノ爲ニ本日附ヲ以テ同意セラレタル除外例ニシテ前二項ノ規定ノ範圍內ニ屬スルモノヲ記載ス
四 締約國カ本日後ニ於テ要求セント欲スルコトアルヘキ除外例ハ本條約ノ議定書ニ定ムル手續ニ從ヒ處理セラルヘシ
第七條 締約國ノ一カ何レカノ外國ノ產物ニ對シ該國ノ本條約ノ適用セラルル國タルト否トヲ問ハス禁止又ハ制限ノ措置ヲ執ルノ已ムナキニ至リタル場合ニ於テハ右締約國ハ他ノ締約國ノ貿易ニ對スル損害ヲ成ルヘク少カラシムル樣右措置ヲ定ムヘシ
第八條 本條約ノ規定(第四條、第五條及第六條竝ニ右諸條ニ關スル議定書ノ規定ヲ除ク)ノ解釋又ハ適用ニ關シテ二以上ノ締約國間ニ紛爭發生シ直接ニ當事國間ニ於テ又ハ合意ニ到達スル他ノ方法ヲ用フルコトニ依リ右紛爭カ解決セラレサルトキハ紛爭當事國ハ其ノ全部ノ合意アル場合ニ限リ仲裁裁判手續又ハ司法手續ニ訴フルニ先チ友誼的解決ノ目的ヲ以テ國際聯盟理事會ノ又ハ關係當事國ノ任命スルコトアルヘキ專門機關ニ右紛爭ヲ付託スルコトヲ得該機關ハ當事國ニ付聽取シ且必要アルトキハ當事國間ノ會合ヲ實現シタル後勸吿的意見ヲ與フルモノトス
前記機關ニ依リ與ヘラレタル勸吿的意見ハ一切ノ紛爭當事國ニ依リ受諾セラルルニ非サレハ紛爭當事國ヲ拘束スルコトナシ又右紛爭當事國ハ其ノ全部ノ合意アル場合ニ於テハ右手續ニ訴ヘタル後又ハ右手續ノ代トシテ其ノ選擇スル仲裁裁判手續又ハ司法手續(常設國際司法裁判所規程ニ依リ該裁判所ノ權限內ニ在ル事項ニ關シテハ該裁判所ニ付託スルコトヲ含ム)ニ訴フルコトヲ得
法律上ノ紛爭カ本條約ノ規定(第四條、第五條及第六條竝ニ右諸條ニ關スル議定書ノ規定ヲ除ク)ノ解釋又ハ適用ニ關シテ發生シタル場合ニ於テハ當事國ハ其ノ何レカノ要求ニ依リ、第一項ニ掲ケラレタル手續ヲ豫メ執リタルト否トヲ問ハス當該事件ヲ常設國際司法裁判所又ハ當事國ノ選擇スル仲裁裁判所ノ決定ニ付スヘシ
紛爭カ法律上ノモノナリヤ否ヤニ關シ意見ノ相違アルトキハ該問題ハ決定ノ爲常設國際司法裁判所又ハ當事國ノ選擇スル仲裁裁判所ニ付託セラルヘシ
前記第一項ニ揭クル機關ニ對スル手續又ハ該機關ニ依リ與ヘラレタル意見ハ如何ナル場合ニ於テモ爭點タル措置ノ停止ヲ齎スモノニ非ス常設國際司法裁判所(該裁判所規程第四十一條ニ依リ該裁判所カ反對ノ決定ヲ爲ササル限リ)又ハ當事國ノ選擇スル仲裁裁判所ニ於テ手續カ行ハルル場合ニ於テモ亦同シ
本條約ハ締約國カ常設國際司法裁判所ノ管轄ニ關シ負擔セル約束又ハ調停若ハ仲裁ニ關スル締約國間ノ二國條約ヨリ生スル締約國ノ權利及義務ヲ害スルモノト解スヘカラス
第九條 締約國ハ第四條、第五條及第六條ノ全部又ハ一部ヲ含ム本條約ノ規定ノ解釋又ハ適用ニ關シ發生スルコトアルヘキ紛爭ニ對シ該紛爭カ法律上ノモノタルト否トヲ問ハス第八條第三項ノ規定ノ適用ヲ及ホスコトヲ同一ノ義務ヲ受諾スル他ノ一切ノ締約國ニ付約スル旨ヲ本條約ノ批准ノ時又ハ其ノ後ニ於テ宣言スルコトヲ得
第四條第五條及第六條又ハ右諸條ノ或一部ニ關シ竝ニ右諸條ニ關スル議定書ノ規定ニ關シ第一項ニ揭クル約束ヲ與ヘサル締約國ハ其ノ相互間ニ於テ第八條第一項及第二項ノ規定ヲ右事項ニ對シ適用アルモノト爲スコトヲ得
第十條 締約國ハ本條約ノ受諾ニ依リ其ノ殖民地、保護領又ハ其ノ宗主權若ハ委任統治ノ下ニ在ル地域ノ全部又ハ何レカニ關シ何等ノ義務ヲモ負擔セサル旨ヲ署名、批准又ハ加入ノ際宣言スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ本條約ハ右宣言ニ揭ケラレタル何レノ地域ニモ適用セラレサルヘシ
締約國ハ前項ニ依ル宣言ノ目的ト爲リタル其ノ地域ノ全部又ハ何レカニ本條約ノ適用セラルルコトヲ欲スル旨ヲ爾後何時ニテモ國際聯盟事務總長ニ通吿スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ本條約ハ國際聯盟事務總長カ右通吿ヲ受領シタル後九十日ニシテ右通吿ニ揭ケラレタル地域ニ適用セラルヘシ
締約國ハ本條約カ其ノ殖民地、保護領又ハ其ノ宗主權若ハ委任統治ノ下ニ在ル地域ノ全部又ハ何レカニ適用セラレサルニ至ルコトヲ欲スル旨ヲ何時ニテモ宣言スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ本條約ハ國際聯盟事務總長カ右宣言ヲ受領シタル後一年ニシテ右宣言ニ揭ケラレタル地域ニ適用セラレサルニ至ルヘシ
第十一條 本條約ハ締約國カ當事國タル有效ナル國際條約ヨリ生スヘキ締約國ノ權利及義務ヲ害スルコトナカルヘシ
本條約ハ輸入及輸出ノ禁止又ハ制限ニ關シ本條約ノ規定二依リ設ケラルル所ニ比シ一層自由ナル制度ヲ設ケタル締約國間ニ現在有效ナル二國協定ノ規定ヲ害スコトナカルヘシ
第十二條 本條約ハ國際聯盟規約ヨリ生スル權利及義務ニ何等ノ影響ヲ及ホスコトナカルヘシ
第十三條 締約國ハ本條約ノ規定ヲ實施スル爲執リタル措置ニ關スル報吿ヲ本條約カ其ノ領域內ニ於テ實施セラレタル後十二月以內ニ國際聯盟事務總長ヲ通シテ相互ニ送付スヘシ
第十四條 本條約ハ佛蘭西語及英吉利語ノ本文ヲ以テ共ニ正文トシ本日ノ日附ヲ有スヘシ
國際聯盟ノ聯盟國又ハ本條約ヲ作成シタル會議ニ代表者ヲ出セルカ若ハ署名ノ爲國際聯盟理事會ヨリ本條約ノ謄本ヲ送付セラレタル非聯盟國ノ爲本條約ハ千九百二十九年一月一日迄署名ノ爲開キ置カルヘシ
國際聯盟ノ聯盟國及非聯盟國ニシテ該國ノ爲本條約カ千九百二十八年二月一日前署名セラレタルモノハ第六條第四項ニ揭クル手續ノ利益ヲ享クルコトヲ得
第十五條 本條約ハ批准セラルヘシ
批准書ハ國際聯盟事務總長ニ寄託セラルヘク右事務總長ハ之カ受領ヲ一切ノ聯盟國及前條ニ揭クル非聯盟國ニ通知スヘシ
第十六條 國際聯盟ノ聯盟國又ハ第十四條ニ揭クル非聯盟國ハ千九百二十九年一月一日以後ニ於テ本條約ニ加入スルコトヲ得
右加入ハ國際聯盟事務局ノ記錄ニ寄託スル爲事務總長ニ宛テタル通吿ヲ以テ之ヲ爲スヘシ事務總長ハ直ニ該寄託ヲ本條約ニ署名シ又ハ加入シタル一切ノ國ニ通知スヘシ
第十七條 本條約ハ左ニ規定スル會議ニ於テ決定セラルヘキ條件及日附ノ下ニ實施セラルヘシ
千九百二十八年六月十五日ヨリ七月十五日迄ノ間ニ於テ國際聯盟事務總長ハ國際聯盟ノ聯盟國及非聯盟國ニシテ該國ノ爲本條約カ千九百二十八年六月十五日迄ニ署名セラレタルモノノ正當ニ派遣シタル代表者ヲ會議ニ招請スヘク右代表者ハ右會議ニ於テ左ノ事項ヲ決定スヘシ
(イ)第六條第四項ニ從ヒ締約國ニ通知セラレタル後該締約國ノ承認ヲ經テ批准ノ際爲スコトヲ得ル留保
(ロ)條約ノ實施ニ要スル條件、殊ニ署名國タルト否トヲ問ハス國際聯盟ノ聯盟國及非聯盟國ニシテ其ノ批准又ハ加入ヲ豫メ確保スルコトヲ要スルモノノ數及必要アルトキハ其ノ國名
(ハ)批准書ヲ寄託シ得ル最終ノ日及前號ニ基キ必要ナル條件カ充タサレタル場合ニ本條約ノ實施セラルヘキ日
右期間カ滿了シタルトキ本條約實施ノ條件タル批准カ確保セラレサリシ場合ニ於テハ國際聯盟事務總長ハ國際聯盟ノ聯盟國及非聯盟國ニシテ該國ノ爲本條約カ批准セラレタルモノト協議シ該國カ右ニ拘ラス本條約ノ實施ヲ欲スルヤ否ヤヲ確ムヘシ
第十八條 本條約ハ其ノ實施セラルヘキ日ヨリ起算シ五年ノ期間ノ滞了シタル後ハ國際聯盟事務總長ニ宛テタル書面ニ依ル通吿ヲ以テ國際聯盟ノ聯盟國又ハ非聯盟國ノ爲廢棄セラルルコトヲ得右廢棄ハ國際聯盟事務總長カ之カ通吿ヲ受領シタル日ノ後十二月ニシテ致力ヲ生スヘク且國際聯盟ノ聯盟國又ハ非聯盟國ニシテ該國ノ爲右廢棄カ行ハレタルモノニ付テノミ效力アルヘシ
尤モ本條約ハ、其ノ日附ヨリ起算シ第三年ノ満了シタル後ニ於テ第六條第一項ニ依リ承認セラレタル除外例ノ何レカカ尙存在スルトキハ、右期間ノ滿了後國際聯盟ノ聯盟國又ハ非聯盟國ノ爲廢棄セラルルコトヲ得右廢棄ハ事務總長カ之カ通吿ヲ受領シタル日ノ後六月ニシテ効力ヲ生スヘク且國際聯盟ノ聯盟國又ハ非聯盟國ニシテ該國ノ爲右廢棄カ行ハレタルモノニ付テノミ效力アルヘシ
尙本條ハ、其ノ日附ヨリ起算シ第五年ノ滿了シタル後ニ於テ國際聯盟ノ聯盟國又ハ非聯盟國カ第十七條ニ規定スル會議ニ於テ締約國ニ依リ承認セラレタル除外例ノ何レカカ本條約ノ效果ヲ阻害シタリト認ムルトキハ右期間ノ滿了後右國際聯盟ノ聯盟國又ハ非聯盟國ノ爲廢棄セラルルコトヲ得
右廢棄ハ事務總長カ之カ通吿ヲ受領シタル日ノ後六月ニシテ效力ヲ生スヘク且國際聯盟ノ聯盟國又ハ非聯盟國ニシテ該國ノ爲右慶棄カ行ハレタルモノニ付テノミ效力アルヘシ
前諸規定ニ從ヒ行ハルル廢棄ハ國際聯盟事務總長ニ依リ直ニ他ノ一切ノ締約國ニ通知セラルヘシ
第十七條ニ規定スル會議ニ於テ締約國カ定ムルコトアルヘキ本條約實施ノ爲ノ條件カ廢棄ノ結果トシテ爾後充タサレサル場合ニ於テハ締約國ハ右ニ依リ生スル事態ヲ審議スル爲會議ヲ招請スルコトヲ國際聯盟事務總長ニ請求スルコトヲ得本條約ヲ存續セシムルコトノ合意成立セサルトキハ各締約國ハ右會議ノ招請ノ原因ト爲レル廢棄カ效力ヲ生スル日ヨリ其ノ義務ヲ免ルヘシ
第十九條 本條約ノ適用アル國際聯盟ノ聯盟國及非聯盟國ノ三分ノ一カ本條約ノ修正セラルルコトヲ希望スル旨ヲ國際聯盟事務總長ニ知ラシムル爲ノ通吿カ右三分一ノ諸國ノ爲ニ第十八條第一項ニ揭クル五年ノ期間ノ満了前ニ右事務總長ニ送付セラレタルトキハ本條約ノ適用アル一切ノ國際聯盟ノ聯盟國及一切ノ非聯盟國ハ之カ爲行ハルルコトアルヘキ協議ニ參加スルコトヲ約ス
本條約ノ實施ノ日ヨリ起算シ第五年ノ滿了前ニ右修正アリタル場合ニ於テハ修正セラレタル條約ヲ受諾セサル國際聯盟ノ聯盟國又ハ非聯盟國ハ第十八條第四項ニ規定スル五年ノ期間ニ拘ラス本條約ヲ廢棄スル權利ヲ有スヘシ右廢棄ハ修正セラレタル條約カ實施セラルル日ニ於テ效力ヲ生スヘシ
本條約ノ實施ノ日ヨリ起算シ第五中ニ右修正アリタル場合ニ於テハ第十八條第一項ニ揭クル廢棄期間ハ一年延長セラルヘシ