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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 柳條溝事件に關する在奉天林總領事報吿(柳条溝事件に関する在奉天林総領事報告)(柳条湖事件,満州事変,奉天事件,9・18事件,九一八事変)

[場所] 
[年月日] 1931年9月19日
[出典] 日本外交年表竝主要文書下巻,外務省,180-181頁.
[備考] 
[全文]

 昭和六 一二六七二 暗 奉天  十九日前發

  本省九月十九日前著

  林總領事

 幣原外務大臣

第六二四号

往電第六二三號ニ關シ

中國側ヨリ數回事件圓滿處理方申出次第モアリ、本官ヨリ坂垣參謀ニ電話ヲ以テ、日支兩國ハ未タ正式ニ交戰狀態ニ入リタル譯ニアラサルノミナラス支那側ハ全然無抵抗主義ニ出ツル旨聲明シ居ルヲ以テ此ノ際不必要ニ事件ヲ擴大セサル樣努力スル事肝要ニシテ外交機關ヲ通シ事件ヲ處理スル樣セラレタシト電話シタルカ同參謀ハ國家及ヒ軍ノ威信ニ關スルヲ以テ外國居留民ノ保護ニハ努ムヘキモ、中國軍ハ我カ軍ヲ攻撃セルヲ以テ、徹底的ニヤルヘシトノ軍ノ方針ナリト答ヘ容易ニ肯スルノ風見エサリシニ付本官ヨリ更ニ前記ノ趣旨ヲ繰返シ其ノ注意ヲ喚起シ置キタリ。


  昭和六 一二六六〇 暗 奉天 十九日午前發

本省九月十九日前著

  林總領事

  幣原外務大臣

第六二五號(至急極秘)

往電第六一八號ニ關シ

各方面ノ情報ヲ綜合スルニ軍ニ於テハ滿鐵沿線各地ニ亘リ一齋ニ積極的行動ヲ開始セムトスルノ方針ナルカ如ク推察セラル本官ハ在大連內田總領事ヲ通シテ軍司令官ノ注意ヲ喚起スル樣措置方努力中ナルモ政府ニ於テモ大至急軍ノ行動差止メ方ニ付適當ナル措置ヲ執ラレンコトヲ希望ス


  昭和六 一二六六三 暗 奉天 十九日前發

  本省九月十九日後著

  林總領事

幣原外務大臣

第六三〇號(至急極秘)

參謀本部建川部長ハ十八日午後一時ノ列車ニテ當地ニ入込ミタリトノ報アリ軍側ニテハ極秘ニ附シ居ルモ右ハ眞實ナルヤニ思ハレ又滿鐵木村理事ノ內報ニ依レハ支那側ニ破壞セラレタリト傳ヘラルル鐵道箇所修理ノ爲滿鐵ヨリ線路工夫ヲ派遣セルモ軍ハ現場ニ近寄セシメサル趣ニテ、今次ノ事件ハ全ク軍部ノ計畫的行動ニ出テタルモノト想像セラル。