データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 停戰に関する協定(塘沽協定)(停戦に関する協定(塘沽協定))

[場所] 
[年月日] 1933年5月31日
[出典] 日本外交年表竝主要文書下巻、外務省、274頁。
[備考] 昭和8年5月31日
[全文]

關東軍司令官元帥武藤信義ハ昭和八年五月二十五日密雲ニ於テ國民政府軍事委員會北平分會代理委員長何應欽ヨリ其ノ軍使同分會參謀徐燕謀ヲ以テセル正式停戰提議ヲ受理セリ

右ニ依リ關東軍司令官元帥武藤信義ヨリ停戰協定ニ關スル全權ヲ委任セラレタル同軍代表關東軍參謀副長陸軍少將岡村寧次ハ塘沽ニ於テ國民政府軍事委員會北平分會代理委員長何應欽ヨリ停戰協定ニ關スル全權ヲ委任セラレタル北支中國軍代表北平分會總參謀陸軍中將熊斌ト左ノ停戰協定ヲ締結セリ

一、中國軍ハ速ニ延慶、昌平、高麗營、順義、通州、香河、實抵、林亭口、寧河、蘆薹、ヲ通スル線以西及以南ノ地區ニ一律ニ撤退シ爾後同線ヲ超エテ前進セス

又一切ノ挑戰攪乱行爲ヲ行フ事ナシ

二、日本軍ハ第一項ノ實行ヲ確認スル爲随時飛行機及其他ノ方法ニ依リ之ヲ視察ス

中國側ハ之レニ對シ保護及諸般ノ便宜ヲ與フルモノトス

三、日本軍ハ第一項ニ示ス規定ヲ中國軍カ遵守スル事ヲ確認スルニ於テハ前期中國軍ノ撤退線ヲ越エテ追撃ヲ續行スル事ナク自主的ニ槪ネ長城ノ線ニ歸還ス

四、長城線以南ニシテ第一項ニ示ス線以北及以東ノ地域内ニ於ケル治安維持ハ中國側警察機關之レニ任ス

右警察機關ノ爲ニハ日本軍ノ感情ヲ刺戟スルカ如キ武力團體ヲ用フル事ナシ

五、本協定ハ調印ト共ニ效力ヲ發生スルモノトス

右證據トシテ兩代表ハ茲ニ記名調印スルモノナリ

昭和八年五月三十一日

関東軍代表 岡村寧次