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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「對支政策に關する外・陸・海三相間諒解」(対支政策に関する外・陸・海間諒解)

[場所] 
[年月日] 1935年10月4日
[出典] 日本外交年表竝主要文書下巻,外務省,303-304頁.
[備考] 
[全文]

   昭和十年十月四日

   外務、陸軍、海軍三大臣諒解

帝國ヲ中心トスル日滿支三國ノ提携共助ニ依リ東亞ノ安定ヲ確保シ其ノ發展ヲ計ルハ我對外政策ノ根基ニシテ我對支政策ノ目的モ亦實ニ茲ニ存ス

右目的ヲ達成スル爲ニハ先ツ左記要綱ニ基キ大義名分ニ卽シ且緩急宜シキヲ制スル方法ニ依リ支那側(中央及地方政權)ヲシテ帝國及滿洲國ニ對スル關係ヲ整調セシメ以テ日滿支三國間ノ根本關係ヲ確立シ得ヘキ狀態ニ至ラシムルヲ要ス

(一)支那側ヲシテ排日言動ノ徹底的取締ヲ行ヒ且歐米依存政策ヨリ脫却スルト共ニ對日親善政策ヲ採用シテ該政策ヲ現實ニ實行シ更ニ具體的問題ニ付帝國ト提携セシムルコト

(二)支那側ヲシテ滿洲國ニ對シ窮極ニ於テハ正式承認ヲ與ヘシムルコト必要ナルモ差當リ滿洲國ノ獨立ヲ事實上默認シ反滿政策ヲ罷メシムルノミナラス少ク共接滿地域タル北支方面ニ於テハ滿洲國トノ間ニ經濟的及文化的ノ融通提携ヲ行ハシムルコト

(三)外蒙等ヨリ來ル赤化勢力ノ脅威カ日滿支三國共通ノ脅威タルニ鑑ミ支那側ヲシテ外蒙接壤方面ニ於テ右脅威排除ノ爲我方ノ希望スル諸般ノ施設ニ協力セシムルコト

以上要綱所載ノ諸點カ着々實行ニ移サレ我方カ日滿兩國トノ親善提携ニ關スル支那側ノ誠意ヲ確認スルニ於テハ先ツ日支間ニ親善協力關係ノ設定ニ關スル包括的取極ヲナシ次テ日滿支間ノ新關係ヲ規律スルニ必要ナル取極ヲ行フモノトス

昭和十年十月四日

外務大臣

陸軍大臣

海軍大臣