データベース『世界と日本』（代表：田中明彦）
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名]　南京政府の日華南京會議提案に關する件（南京政府の日華南京会議提案に関する件）

[場所]　
[年月日]　1936年2月6日
[出典]　日本外交年表竝主要文書下巻，外務省，329-330頁．
[備考]　
[全文]

　　昭一一、二、六

　　參謀本部第二部

　方針

南京政權ノ提案ニ對シ敢テ之ヲ拒否セス其ノ意向ヲ適當ニ誘導シツツ其間北支工作ヲ發展セシメ以テ一層有利ナル機會ヲ捕捉シテ直接交涉ニ依リ國民政府（政策機構等）ノ是正ヲ强要シ以テ兩國關係ノ調整ヲ期ス

　要領

一、大體外務省案（守島私案）ニ據リ南京側ヲ誘導シ少クモ蔣政權ヲシテ逐次左記各項ノ決意ヲ促ス

1、蔣介石自ラ眞ニ解決ノ衝ニ當ル

2、旣成事實ノ承認ヲ確言ス（滿洲國承認ヲ含ム）

3、國民黨各機關ノ改變爲シ得レハ之ヲ撤消ス

4、祕密私黨的諸團體結社ノ解散ヲ實現ス

5、國民政府ノ對內外政策ヲ是正ス（歐米依存ヨリ對日依存ニ轉換スル具體的政策ニ着手ス）

二、三原則ニ關スル具體的主要事項ニ亘リ支那側ニ提示スヘキ交涉案ヲ準備スルト共ニ支那側ヨリ提議セラルヘク豫想セラルル事項ニ對シ對案ヲ策定シ以テ爾後ノ本交涉ヲ準備ス

三、涉定ノ方針ニ基キ冀東、冀察新政權ヲ支持强化シ遂ニ之ヲ合體セシメ北支五省ノ合流ヲ期ス

四、國內外ニ對スル宜傳ヲ統制スルト共ニ現時支那側ノ抱キアル對日疑惑ヲ一掃スルノ策ヲ講ス