データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日獨伊防共協定强化に關する有田外相內奏要旨(日独伊防共協定強化に関する有田外相内奏要旨)

[場所] 
[年月日] 1939年1月22日
[出典] 日本外交年表竝主要文書下巻,外務省,408頁.
[備考] 
[全文]

   昭和十四年一月二十二日

日獨伊防共協定强化ノ問題ハ客年五相會議ニ於テ蘇聯ニ對スルヲ主トシ英佛等ハ蘇側ニ參加スル場合ニ於テ對象トナルモノニシテ英佛等ノミニテ對象トナルモノニ非サル主旨ヲ決定シ宇垣外務大臣ヨリ內奏ヲ經タリ然ルニ五相會議決定ノ主旨充分ニ出先ニ徹底セサリシ結果今回獨伊側ヨリ日獨伊三國同盟案ヲ正式ニ提案(提案內容內奏ス)シ來タルニ依リ先般來關係各大臣ニ於テ熟議ヲ重ネタル結果本月十九日別紙ノ通リ政府ノ方針ヲ決定セリ(方針內容內奏ス)抑モ今次ノ日本案ハ前回五相會議決定ノ主旨ニ變更ヲ加ヘ「コミンテルン」ノ破壞工作ト關係ナキ場合ニモ共同ノ利益ヲ擁護スル必要アル場合ニハ蘇聯以外ノ第三國ヲモ對象トスルコトトシタルモノナルカ若シ前回ノ五相會議決定ノ主旨ヲ貫徹セントスレハ從來ノ經緯ニ鑑ミ獨伊側ニ對スル日本ノ不信行爲トモナルヘク其ノ結果ハ折角樹立サレ居ル右兩國トノ親交關係ニモ惡影響ヲ及ホスヘキコトヲモ考慮シ獨伊案ノ主旨ヲ取入レタルモ實質的ニ出來得ル限リ我國ノ蒙ルコトアルヘキ不利ヲ少ナカラシムルコトニ努ムル一方外部ニ對シテハ防共協定ノ强化ニ外ナラサル樣說明シテ第三國ヨリ來ルコトアルヘキ惡影響ヲ少カラシメタルモノナリ

尙蘇聯以外ノ第三國ト「コミンテルン」ノ破壤工作ニ對スル以外ノ理由ニテ獨伊カ交戰スル場合ニ於テハ現在ハ勿論近キ將來ニ於テモ武力的援助ハ實際ニ於テ之レヲ與ヘサル方針ナリ