データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日米通商條約廢棄通吿(日米通商条約廃棄通告)

[場所] 
[年月日] 1939年7月26日
[出典] 日本外交年表竝主要文書下巻,外務省,416頁.
[備考] 
[全文]

昭和十四年七月二十六日在米堀內大使發

有田外務大臣宛電報

七月二十六日「セイヤー」ノ求メニ依リ須磨往訪セル處「セ」ハ左ノ內容ノ公文ヲ手交シ本日ハ之以上申上クル必要ナキニ付御一讀アリタシト述ヘタルニ對シ須磨ハ一讀ノ上突嗟ノ質問ナルカ斯ノ如キ重大決定ハ過般成立セル日比綿布ノ紳士協定ニモ鑑ミ甚シク「アブラプト」ナル措置ト見ラルル處右決定ハ「バンテルベルグ」決議案等ニ見ラルルカ如キ上院內ノ暴論ニ左右セラレタル次第ナリヤト尋ネタルニ「セ」ハ上院方面ノ「サゼスシヨン」ニ依リシモノニアラス又議會ノ空氣ト直接關係ハナキモノニシテ數年ニ亙リ國務省カ研究シ來リタル結果ヲ諒承アリタシト答ヘ「セ」ハ右公文手交直後在京代理大使ニ其ノ旨電報シ直ニ新聞ニ發表スル心算ナリト言ヘルニ依リ須磨ヨリ御申出ハ之ヲ大使ヨリ政府ニ取次カルル前ニ發表セラルルハ徒ニ反響ヲ大ナラシムルモノナルヲ述ヘタルニ「セ」ハ電話ニテ「ウエルス」次官ト相談ノ上我方電報着京ノ頃本日午後一〇時次ノ「テキスト」ヲ內容トスル廢棄通知ヲ其ノ儘發表スルコトニ承諾セリ

「ハル」國務長官發在米堀內大使宛通牒

最近數年間合衆國政府ハ合衆國諸外國間現行通商航海諸條約ヲ右諸條約カ締結セラレタル諸目的ニ一層副ハシメンカ爲ニハ如何ナル變更カ爲サルヘキヤヲ決定スルノ目的ヲ以テ檢討致シ居リ候右檢討中合衆國政府ハ千九百十一年二月二十一日「ワシントン」ニ於テ署名セラレタル合衆國日本國間通商航海條約カ新ナル考慮ヲ要スル條項ヲ包含ストノ結論ニ到達致候右考慮ニ對スル方法ヲ準備シ且新ナル諸事態カ要求スル如ク「アメリカ」ノ諸利益ヲ一層保障シ且伸長センカ爲合衆國政府ハ前記條約第十七條ニ揭ケラルル手續ニ從ヒ茲ニ本條約カ終了セシメラレンコトノ同政府ノ希望ヲ通吿シ且右通吿ニ依リ本條約ハ其ノ附屬議定書ト共ニ本日ヨリ六ケ月ノ期間滿了ヲ以テ終了スヘキコトヲ豫期致候