[文書名] 友好關係の存續及相互の領土尊重に關する日本國「タイ」國間條約(友好関係の存続及相互の領土尊重に関する日本国「タイ」国間条約)
昭和一五年(一九四〇年)六月一二日東京ニ於テ署名
昭和一五年(一九四〇年)一二月二三日「バンコック」ニ於テ批准書交換
昭和一五年(一九四〇年)一二月二三日ヨリ實施
昭和一五年(一九四〇年)一二月二七日(一二月二八日附官報)公布
大日本帝國天皇陛下及「タイ」國皇帝陛下ハ
日本國「タイ」國間ノ傳統的友好關係ヲ再確認シ且之ヲ益强固ナラシムルノ眞摯ナル希望ニ均シク促サレ
東亞ノ平和及安定カ兩國ノ均シク懸念スル所ナルコトヲ確信シ
條約ヲ締結スルコトニ決シ之カ爲左ノ如ク各其ノ全權委員ヲ任命セリ
大日本帝國天皇陛下
外務大臣正三位勳一等 有田八郞
「タイ」國皇帝陛下
日本國駐箚特命全權公使「ナイト、グランド、クロス、オヴ、ザ、モスト、ノーブル、オーダー、オヴ、ザ、クラウンオヴ、タイランド」
「ピア、シー、セナ」
右各全權委員ハ互ニ其ノ全權委任狀ヲ示シ之カ良好妥當ナルヲ認メタル後左ノ諸條ヲ協定セリ
第一條 締約國ハ相互ニ他方ノ領土ヲ尊重スヘク且兩國間ニ存在スル永久ノ平和及無窮ノ友好關係ヲ茲ニ再確認ス
第二條 締約國ハ生スルコトアルヘキ共通ノ利害問題ニ關シ情報ヲ交換シ及協議スル爲互ニ友好的接觸ヲ保ツヘシ
第三條 締約國ノ一方カ一又ハ二以上ノ第三國ヨリ攻擊ヲ受クル場合ニハ他方ハ攻擊セラルル締約國ニ反シテ右第三國ヲ援助セサルコトヲ約ス
第四條 本條約ハ批准セラルヘク且其ノ批准書ハ成ルヘク速ニ「パンコック」ニ於テ交換セラルヘシ
第五條 本條約ハ批准書交換ノ日ヨリ實施セラルヘク且同日ヨリ五年間引續キ效力ヲ有スヘシ
締約國ノ何レノ一方モ本條約ヲ終了セシムルノ意思ヲ右五年ノ期間滿了ノ六月前ニ他方ニ通吿セサル場合ニハ本條約ハ締約國ノ何レカノ一方カ右通吿ヲ爲シタル日ヨリ一年ノ期間ノ滿了ニ至ル迄引續キ效力ヲ有スヘシ
右證據トシテ各全權委員ハ本條約ニ署名調印セリ
昭和十五年六月十二日卽チ佛曆二千四百八十三年三月十二日
西曆千九百四十年六月十二日東京ニ於テ本書二通ヲ作成ス
有田八郞(印)
ピア、シー、セナ(印)