[文書名] 日本國「タイ」國間同盟條約
昭和一六年(一九四一年)一二月二一日「バンコツク」ニ於テ署名
昭和一六年(一九四一年)一二月二一日ヨリ實施
昭和一六年(一九四一年)一二月二七日(同月二九日附官報)公布
大日本帝國政府及「タイ」王國政府ハ東亞ニ於ケル新秩序ノ建設カ東亞興隆ノ唯一ノ方途ニシテ且世界平和ノ恢復及増進ノ絶對要件タルコトヲ確信シ之カ障碍ト爲レル一切ノ禍根ヲ芟除根絶スルノ確乎不動ノ決意ヲ以テ左ノ通協定セリ
第一條 日本國及「タイ」國ハ相互ノ獨立及主權ノ尊重ノ基礎ニ於テ兩國間ニ同盟ヲ設定ス
第二條 日本國又ハ「タイ」國ト一又ハ二以上ノ第三國トノ間ニ武力紛爭發生スルトキハ「タイ」國又ハ日本國ハ直ニ其ノ同盟國トシテ他方ノ國ニ加擔シ有ラユル政治的、經濟的及軍事的方法ニ依リ之ヲ支援スヘシ
第三條 第二條ノ實施細目ハ日本國及「タイ」國ノ權限アル官憲間ニ協議決定セラルヘシ
第四條 日本國及「タイ」國ハ共同シテ遂行セラルル戰爭ノ場合ニ於テハ相互ノ完全ナル了解ニ依ルニ非サレハ休戰又ハ講和ヲ爲ササルヘキコトヲ約ス
第五條 本條約ハ署名ト同時ニ實施セラルヘク且十年間有效トス
締約國ハ右期間滿了前適當ナル時期ニ於テ本條約ノ更新ニ關シ協議スヘシ
右證據トシテ下名ハ各本國政府ヨリ正當ノ委任ヲ受ケ本條約ニ署名調印セリ
昭和十六年十二月二十一日即チ佛暦二千四百八十四年十二月二十一日「バンコック」ニ於テ本書二通ヲ作成ス
特命全權大使
坪上貞二(印)
總理大臣兼外務大臣
ピー、ピブン、ソンクラム(印)