「マライ」及「シャン」地方に於ける「タイ」國の領土に關する日本國「タイ」國間條約（「マライ」及「シャン」地方に於ける「タイ」国の領土に関する日本国「タイ」国間条約）

データベース『世界と日本』（代表：田中明彦）

日本政治・国際関係データベース

政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名]　「マライ」及「シャン」地方に於ける「タイ」國の領土に關する日本國「タイ」國間條約（「マライ」及「シャン」地方に於ける「タイ」国の領土に関する日本国「タイ」国間条約）

[場所]　

[年月日]　1943年8月20日

[出典]　日本外交年表竝主要文書下巻，外務省，587-588頁．

[備考]　

[全文]

　　　昭和一八年（一九四三年）八月二〇日「バンコック」ニ於テ署名

　　　昭和一八年（一九四三年）八月二〇日ヨリ實施

　　　昭和一八年（一九四三年）九月七日（九月八日附官報）公布

大日本帝國政府及「タイ」王國政府ハ

兩國緊密ニ協力シテ米英兩國ニ對スル共同ノ戰爭ヲ完遂シ道義ニ基ク大東亞ヲ建設スルノ不動ノ決意ヲ以テ左ノ通協定セリ

第一條　日本國ハ「タイ」國カ「ケランタン」、「トレンガヌ」、「ケダー」、「ペルリス」各州及附屬島嶼ヲ其ノ領土トシテ編入スルコトヲ承認ス

第二條　日本國ハ「タイ」國カ「シャン」地方ニ於テ「ケントン」及「モンパン」兩州ヲ其ノ領土トシテ編入スルコトヲ承認ス

第三條　日本國ハ本條約實施ノ日ヨリ六十日以內ニ前二條ノ規定スル地域ニ於テ現ニ其ノ行フ行政ヲ終止スヘシ

第四條　第一條及第二條ノ規定スル地域ノ境界ハ本條約調印ノ日ニ於ケル州境ニ據ル

第五條　本條約ノ實施ノ爲必要ナル細目ハ兩國當該官憲間ニ協議決定セラルヘシ

第六條　本條約ハ署名ノ日ヨリ實施セラルヘシ

　右證據トシテ下名ハ各本國政府ヨリ正當ノ委任ヲ受ケ本條約ニ署名調印セリ

　　昭和十八年八月二十日卽チ佛曆二千四百八十六年八月二十日「バンコック」ニ於テ日本文及「タイ」文ヲ以テ本書各二通ヲ作成ス

　　　　特命全權大使

　　　　　　坪上貞二（印）

　　　　內閣總理大臣兼外務大臣事務管掌元帥

　　　　　　ピー、ピブン、ソンクラム（印）

（參考）

「シャン」地方等ニ於ケル「ビルマ」國ノ領土ニ關スル日本國「ビルマ」國間條約

　　　昭和一八年（一九四三年）九月二五日「ラングーン」ニ於テ署名

　　　昭和一八年（一九四三年）九月二五日ヨリ實施

　　　昭和一八年（一九四三年）九月二八日（九月二九日附官報）公布

大日本帝國政府及「ビルマ」國政府ハ

兩國緊密ニ協力シテ米英兩國ニ對スル共同ノ戰爭ヲ完遂シ道義ニ基ク大東亞ヲ建設スルノ不動ノ決意ヲ以テ左ノ通協定セリ

第一條　日本國ハ「ビルマ」國カ「ケントン」及「モンパン」兩州以外ノ「シャン」諸州、「カレンニ」諸州竝ニ「ワー」地方ヲ其ノ領土トシテ編入スルコトヲ承認ス

第二條　日本國ハ本條約實施ノ日ヨリ九十日以內ニ前條ノ規定スル地域ニ於テ現ニ其ノ行フ行政ヲ終止スヘシ

第三條　本條約ノ實施ノ爲必要ナル細目ハ兩國當該官憲間ニ協議決定セラルヘシ

第四條　本條約ハ署名ノ日ヨリ實施セラルヘシ

　右證據トシテ下名ハ各本國政府ヨリ正當ノ委任ヲ受ケ本條約ニ署名調印セリ

　　昭和十八年九月二十五日卽チ「ビルマ」暦千三百五年「トウザリン」月下弦十二日「ラングーン」ニ於テ本書二通ヲ作成ス

　　　　大日本帝國特命全權大使

　　　　　　澤田廉三（印）

　　　　「ビルマ」國內閣總理大臣

　　　　　　バー、モウ（印）