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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 八月十日情報局總裁談及陸軍大臣布吿(八月十日情報局総裁談及陸軍大臣布告)

[場所] 
[年月日] 1945年8月10日
[出典] 日本外交年表竝主要文書下巻,外務省,634-635頁.
[備考] 
[全文]

  情報局總裁談 昭和二〇年八月一〇日午後四時三〇分

敵米英ハ最近頓ニ空襲ヲ激化シ一方本土上陸ノ作戰準備ヲ進メツツアリ、コレニ對シ我陸海空ノ精銳ハコレカ邀擊ノ戰勢ヲ整ヘ今ヤ全軍特攻ノ旺盛ナル鬪志ヲ以テ一擧驕敵ヲ擊摧スヘク滿ヲ持シツツアル。コノ間ニ在ツテ國民アケテヨク惡虐ナル敵ノ爆擊ニ耐ヘツツ義勇公ニ奉スル精神ヲ以テ邁進シツツアルコトハ、誠ニ感激ニ堪ヘサル所テアルカ、敵米英ハ最近新ニ發明セル新型爆彈ヲ使用シテ人類歷史上カツテ見サル殘虐無道ナル慘害ヲ無辜ノ老幼婦女子ニ與ヘルニ至ツタ。加フルニ昨九日ニハ中立關係ニアリシソ連カ敵側ニ加ハリ一方的ナ宣言ノ後我ニ攻擊ヲ加フルニ至ツタノテアル。我軍ハモトヨリ直チニ邀ヘテ容易ニ敵ノ進攻ヲ許ササルモ今ヤ眞ニ最惡ノ狀態ニ立チ至ツタコトヲ認メサルヲ得ナイ。正シク國體ヲ護持シ民族ノ名譽ヲ保持セントスル最後ノ一線ヲ守ルタメ政府ハモトヨリ最善ノ努力ヲナシツツアルカ、一億國民ニアリテモ國體ノ護持ノタメアラユル困難ヲ克服シテ行クコトヲ期待ス


陸軍大臣布吿

全軍將兵ニ吿ク、「ソ」連遂ニ皇國ニ寇ス、明文如何ニ粉飾スト雖モ大東亞ヲ侵略制覇セントスル野望歷然タリ、事茲ニ至ル、又何ヲカ言ハン、斷乎神州護持ノ聖戰ヲ戰ヒ拔カンノミ。

假令、草ヲ喰ミ土ヲ嚙リ野ニ伏ストモ斷シテ戰フトコロ死中自ラ活アルヲ信ス、是卽チ七生報國「我一人生キテアリセハ」テフ楠公救國ノ精神ナルト共ニ、時宗ノ「莫煩惱」「驀直進前」以テ醜敵ヲ擊滅セル鬪魂ナリ、全國將兵宜シク一人ヲ餘サス楠公精神ヲ具現スヘシ、而シテ又時宗ノ鬪魂ヲ再現シテ驕敵擊滅ニ驀直進前スヘシ。

     陸軍大臣

  昭和二十年八月十日