データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第2回先進国首脳会議首脳共同会見の席における三木内閣総理大臣の冒頭ステートメント

[場所] サンファン
[年月日] 1976年6月28日
[出典] 三木内閣総理大臣演説集,145−146頁.
[備考] 
[全文]

 私は,今度の会議は極めて実りの多いものであったと考えます。

 ここに参加した先進民主主義諸国は,ますます相互依存関係にある世界経済において,全世界の総生産の六割と貿易の五割を占めるのみならず,自由民主主義を信奉する政治的信条を同じくするものであります。従って,世界経済とデモクラシーの将来の発展に大きな貴任を有しております。

 カリブ海における今度の首脳会談において,われわれは民主主義諸国間における経済面での協力に関し意見を交換するとともに,開発途上国及び社会主義諸国とわれわれとの間の変りつつある関係について,更めて検討する機会を持ちました。私は,今回も意見交換がわれわれすべてにとって極めて有益であったと確信しております。

 われわれが目指す目標は同じであります。すなわち,ようやく不況から脱した世界経済の回復を持続させること,インフレを起さず物価を安定させること,自由貿易の原則のもと世界の貿易を着実に拡大し経済を発展させることがそれであります。

 これらのことは,われわれすべての国民の繁栄の基礎をなすものであります。これらは,また,全世界の人々が均しく安定した繁栄を分ちあうための基礎でもあります。

 日本は他の先進民主主義諸国とともに,協調の精神のもとこれらの目標に向って邁進しております。私は,この首脳会議が,われわれの共通認識と決意を強化することに大変役立ったと信じております。これからの世界は,世界とともに歩むものでなくてはやってゆけません。

 私は,この会議を主催されたフォード大統領,また親切なプエルト・リコの人々を含め,素晴しい準備をされたすべてのアメリカの友人に対し,心から感謝の意を表します。

 最後に,私は,昨年十一月ランブイエに始まり,ここブエルト・リコで極めて成功裡に引き継がれたこの非常に有益な会議を,次回はアジアで,日本が主催することを希望するものであります。