データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第6回主要国首脳会議における難民に関する声明

[場所] ヴェネチア
[年月日] 1980年6月22日
[出典] 外交青書25号,455−456頁.
[備考] 外務省仮訳
[全文]

 7カ国元首及び首相は,世界中において増加する一方の難民の窮状を深く憂慮している。既に何十万人もの人々がインドシナ半島及びキューバを後にした。その多くは海を越えての逃亡という危険を冒している。パキスタンとイランはアフガニスタンから100万人に近い難民を受入れた。アフリカでは難民は数百万人を数えている。

 7カ国元首及び首相は,強い遺憾の意をもって,難民人口が増加し続けていること及び主要な国際的救済努力にもかかわらず,難民の苦痛が継続していることに留意する。7カ国元首及び首相は,影響を受けた地域の諸国が難民を受入れるに際して示した寛容と忍耐に対し賛辞を呈する。サミット参加諸国としては,難民に対する援助及びその再定住への呼びかけに対し既に十分に対応してきた。サミット参加諸国は,今後もかかる対応を続けるが,その資源は無限ではない。サミット参加諸国は他の諸国に対し,この苦痛の緩和に資するべく共に努力するよう呼びかける。

 しかし,国際社会の努力がいかに大であろうと,かかる努力を何時までも維持し続けることは困難である。難民問題にはその根源から取組まなければならない。

 従って7カ国元首及び首相は,難民問題に責任を有する諸政府に対しこの広範囲にわたる人間の悲劇の原因を除去するよう,また国民の多数を自国外へ追い立てる政策を追求しないよう強く呼びかける。