データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第8回主要国首脳会議における国際通貨面での約束に関する声明(経済宣言)

[場所] ヴェルサイユ
[年月日] 1982年6月6日
[出典] 外交青書27号,447頁.
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.我々は,世界の通貨制度の一層の安定のために努力する共同の責任を受け入れる。我々は,これがインフレの低下,雇用の増大及び経済成長の回復の達成,ひいては我々の通貨の国内的及び対外的価値の維持を目的とする諸政策の調和に主として依存していることを認識する。我々は,すべての関係国及び通貨機関と緊密に協力しつつ,この義務を果たしていく決意である。

2.我々は,通貨機関としてのIMF(国際通貨基金)の役割を大いに重視し,IMFが安定を培うために行っている努力に対し全面的支持を与える。

3.我々は,IMFの監視作業に関し,IMFとの協力を強化し,これをSDRを構成する通貨を特に考慮に入れつつ,多角的に発展させる用意がある。

4.我々は,為替相場を不公正な競争上の優位を得るために利用することを排除する。

5.我々は,必要な場合には,IMF協定第4条に定められているように,混乱した状況に対処するため為替相場への介入を行う用意がある。

6.我々のうち,EMS(欧州通貨制度)の構成国は,我々が行ったこれらの約束は,EMSの枠内で既に負っている安定化義務を補完するものであると考える。

7.我々は皆,通貨の一層の安定は,財・サービス及び資本のより自由な流れを助長するものと確信している。我々は,経済成長と雇用のために,通貨の一層の安定とより自由な貿易と資本の流れが,相互に補強し合うようにしていく決意である。